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【FP座談会01】「お金」に向き合うことは、自分の「価値観」を見つめ直すことだった!

「お金」「投資」にまつわる素朴な疑問や悩みが尽きないという方も多いのではないでしょうか。そこでニッセイアセット公式note編集部では、みなさんの質問を集めて、FP座談会を企画しました!
その様子を3回に分けてお届けします。

第1回は、「お金」の基本編。
経験・専門分野が異なるFP4名の回答に共通するキーワードとは……?

座談会に参加いただいたFPの皆さん



カップル・夫婦にありがち!? 「お金」のすれ違い

Q 私は彼氏より給料が少なく、私は節約しているのに彼氏だけ友達と旅行に行ったりしています……。お金の価値観のすれ違いに悩んでいるのですが、おすすめの解消法はありますか?
(20代・女性・未婚)

(編集部)結婚前も結婚後も、パートナー間での「お金」の問題はありがちですね。特に結婚前は、話し合うのもなかなかハードルが高いというか……。

長島:やっぱりお金は、それぞれの価値観があるんですよね。また、退職世帯の夫婦間でも「お互いの年収を知らない」というケースもあるなど、お金への向き合い方はご家庭によって異なります。この方が悩んでいるのであれば、お金への姿勢を話し合う時間をつくれるとよいですね。重い感じではなくて、たとえば「2人共通の財布」をつくってみるとか。貯金箱みたいなものを二人が見えるところに置いておいて、お互いにお金を入れていく。「1ヶ月間でけっこうたまったから、何に使う?」みたいなスモールステップからスタートすると、お金のことを気軽に話せる仕掛けとしておすすめですよ。

登:相手の価値観を変えるというのは結構大変というか、変えられないのかなと思います。でも、仕組みでストレスを軽減することはできそうですね。それこそ結婚してからは、「共有の口座を作って、決めた額を入金すればあとは自由」というルールにすれば、価値観のずれに苦しむことはないはず!

水野:お金の価値観のすれ違いが、将来結婚したときに問題になることが多いのは事実。登さんが「変えられない」というように、お金の価値観は育った家庭の考えを引き継いでいるケースもあるので、確認しておきたいですね。早いうちに自分の考えを直接伝えておいたほうが、長い目でみればいいのかなと思います。

結婚後のルールでいえば、共働き・30代のご夫婦におすすめなのが、より収入がある方の収入で生活費、住宅ローン、教育費をすべて賄えるようにする。そして、もう一人の収入は預貯金や投資に回す。すごく効率がいいし、意外とできるものです。

尾崎:まさに、わが家も今そうしています!夫の収入を知っているので、家計全体を考えたときにバランスがいいかなと。たまに、自分の収入を自由に使ってしまうこともありますけどね(笑)。

水野:ありがちですよね(笑)。ちなみに、わが家もお互いの収入を知っています。極論ですが、離婚時は夫婦の財産を2人で分けることになりますので、夫婦どちらかの名義になっている財産でも、実際には婚姻中に夫婦の協力によってつくられたものであれば、それらはすべて財産分与の対象になります。そういう意味では、収入を隠す必要がないとも言えますので、子どもの教育費についての相談など必要な場面ではオープンに話し合うのがおすすめです。

水野さん


ぼんやりした「ライフプラン」に、どう備える?

Q 「老後2,000万円問題」が話題になったけど、将来どれくらいの金額が必要になるか分からない。だから危機感もなくて、逆に大丈夫かなと思っていますが、実際どうなんでしょうか?ちなみにライフプランは、結婚して子ども2人。将来は海辺の戸建で自然に囲まれながら過ごして、老後はゴルフやサーフィンを楽しみたいです。
(33歳・男性・未婚)

(編集部)海辺の戸建、ゴルフ、サーフィン……夢が広がっていますね!

登:たとえば、どこの海辺の戸建なのかで、けっこう変わってきますよね。地域や物件によっては、数百万円で買えることも。今だったら手軽に物件情報を調べられるし、実際に行ってみたら、「人気リゾート地じゃなくて、田舎が好きだな」「やっぱり海より山だな」などと考えが明確になったり、考えを変えたりするかもしれません。。

そうやって自ら行動して、憧れとのギャップを埋めていくことが大切ではないでしょうか。家だけじゃなくて、一つひとつのライフプランについて、アンテナを張って実際に足を運んだり、数字に落とし込んだりして、肌感覚でつかむことをおすすめします。

登さん

水野:まさに数字に落とし込む作業が、FPが作るキャッシュフロー表ですね。それこそ子どもの教育費も、家庭によって大きく違います。幼稚園から大学まですべて私立で、しかも音楽を学ばせるとなれば相当かかる……わが家のことですけどね(笑)。

ご質問に戻ると、「老後2,000万円問題」については、人によって老後に必要な金額が異なりますし、将来の働き方によっても変わります。私も多くの相談を受けてきていますが、ライフプランをお聞きした上で、「物価上昇率」を踏まえた現実に気づいていただくことから始めています。まさに、「見える化」ですよね。保険加入時や住宅を購入する際にライフプランニングを受ける方も多いと思いますが、そういう機会に限らずFPに相談してほしいと思います。

尾崎:私も、水野さんと一緒で一度FPに相談してみるといいのかなと思います。ライフプランについて自分の考えを口に出してみるのは、頭を整理するちょうどいい機会になるかなと。それこそ私は、営業を前提としたライフプランニングを受けたことがありますが、気づきが得られたし、「この人の意見をそのまま受け入れるだけじゃなくて、自分でも勉強してみよう」と思えて、それがFP資格取得のきっかけだったりします。


決めきれない!「固定金利or変動金利」問題の答えは?

Q 住宅ローンを検討していて、ずっと固定金利か変動金利で悩んでいます。
(40歳・男性・既婚)

(編集部)各メディアで、定期的に特集が組まれるテーマですね!

尾崎:分かります!わが家もかなり迷って、変動金利を選びました。皆さんご存じのとおり、固定のいいところは返済計画が立てやすいところだと思うんですけど、それよりも金利が低いことのほうがわが家にはメリットが大きいと感じました。変動リスクがあるのは承知の上で、繰り上げ返済も視野に入れた返済計画を立てて、最後は納得して決めました。どちらが合っているかは、性格にもよるかもしれないですね。

水野さんと尾崎さん

登:そうですね、性格、価値観。銀行員時代、住宅ローンを取り扱ったことがありますが、「変動するなんて、絶対にイヤ」と、迷わず固定金利を選ばれるお客様も。

あとは、「今、本当に家を買う必要があるのか」改めて考えてみるとよいかもしれません。空き家問題も言われていますし、会社で異動の可能性があるのか、子どもが成長した後もその土地に住み続けたいのか……。思い込みではなく、自分の価値観を見直してみる。それこそ「高級老人ホームに入りたい」と考えるなら、持ち家はいらないかもしれません。

水野:まずデータとして、国土交通省の「令和5年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」によると、77.9%(令和4年度)の人が変動金利型を選択しています。悩ましいのが、建築業界2024年問題で建築費が上がる=物件価格が上がることも予想されていますよね。不動産は、リテラシー(知識や情報の活用の仕方)で差がついてしまいやすいといわれています。

長島:本当に、勉強する・しないで大きな違いが出てきますよね……!マイナス金利政策が解除されて、変動金利の引き上げがあるんじゃないかと心配している方もいると思いますが、どんなに金利が上昇しても、当初5年は毎月返済額が変わらないルールや、返済額増の上限125%ルールなどもあります。今後、各金融機関のローン条件も変わる可能性もあるので、慌てて借り換えの必要はないかと思います。

長島さん


適正金額はどれくらい?気になる「家計」管理

Q ムダ遣いしているわけではないけど、食費がふくらみがち。具体的には月3万円ぐらいですが、「コンビニじゃなくてスーパーで買えばもっと安く済ませられたんじゃないか……」など、罪悪感があります。
(24歳・女性・未婚)

Q 月収:20万、支出:食費75,000円(自炊15,000円、外食60,000円)、スマホ代:3,300円です。食費や携帯代の適正金額と、続けやすいお金の管理方法を教えてください。
(27歳・男性・独身)

(編集部)家計に関するお悩みです。お二人とも、金額は把握できているようですね。

尾崎:家計について考えてようとしているだけでも偉いと思います。というのも、私は結婚前、赤字になっていなければOKという感じで入ってきたお金は使っていました。この二人には、自分でお金を使う優先順位とバランスを決めること、節約するだけでなく副業で収入を増やすという選択肢を検討することをおすすめしたいです。

水野:特に上の方がそうですが、食費を減らすのには限界がありますよね。下の方の場合、スマホ代も3,300円であれば、すでに格安SIMにされているのでしょうか、適正範囲かなと思います。お金の管理ついては、家計簿アプリがおすすめです。

長島:便利ですよね。最初に設定してしまえば、クレジットカード、銀行口座、証券口座と連携すれば、一元管理できますから。

水野:家計簿アプリが向いていないなと思う人は、3つの銀行口座を開設して、「毎月使う口座」「もしもに備え貯める口座」「投資で増やす口座」を分けて管理する方法もあります。

登:適正金額のご質問があったので一応答えると、食費は収入の2割が適正と言われています。そうすると、下の方は超えていることになりますが、ここでも価値観に注目したいです。「おいしいものを食べること」が好きで幸せを得られるなら、ほかで削れるものがないかを考えた方が人生の幸福度が上がるという考え方も。

長島:そうですね。会社にお弁当を持参する、友人との外食を減らすなどは節約になりますが、「外食が趣味で優先度が高い」のであれば、私もOKという気がします。

お金って、他人との比較ではないんですよね。比べた瞬間に、「何を意識して、ご自身の人生を歩んでますか」という話になります。世の中的に「多い」「少ない」といわれている金額も、その人のライフスタイルや収支によって感じ方が変わります。ぜひ、この二人には「自分にとって」今の家計が合っているのかというところから考えてみてほしいですね!


まとめ

「お金」に向き合うことは、自分の「価値観」と向き合うこと。お金のことで悩んだときこそ、自分の価値観を見つめ直すチャンスなのかもしれませんね。

次回は…FPの皆さんのホンネが炸裂した、『FPが考える「投資」との向かい方〜「投資に取り残されたと感じるあなたへ〜』をお届けします。お楽しみに!


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