【FP座談会03】初めてのFP相談には、夢と家計簿を持って行こう!
「お金」「投資」にまつわる素朴な疑問や悩みを、経験・専門分野が異なるFPのみなさんにお聞きする座談会企画!第3回は、「ライフプランは必要?」「FPに相談するには?」をお届けします。
第1回「お金」編はこちら
第2回「投資」編はこちら
(編集部)それでは、ニッセイアセット公式note編集部に寄せられた、最後の質問です。
今のままで十分なのに、ライフプランって必要?
Q 実家暮らしで、今の生活に特に不満はありません。世間では「ライフプランが大切」「老後に向けた資産形成を」と言われていますが、ピンとこないです。
(35歳・男性・未婚)
(編集部)あまり先のことを考える必要性を感じない、そもそも先のことは分からない、という方も実は多いのかなと思いました。
登:実際に20年後、30年後にどんな悩みが出てくるのか具体的にイメージするのは難しいかもしれないですね。まずは自分が20年後、30年後、どんなふうに過ごしたいのかを考えてみましょう。例えば、休日に近所の公共施設を有効活用してのんびり過ごすのか、毎週のようにゴルフに行って美味しいものを食べるのか。実際にその世代の人たちの様子を見て、イメージしてみるのをおすすめします。そうすると、ライフプランや資産形成の必要性についても考えやすくなります。
また、会社員で定年まで勤める気概があっても、親の介護が発生することや自分が要介護者になって施設に入る可能性もあります。この方は働いているのかなと思うのでぴったり当てはまるわけではありませんが、「8050問題(※)」をテーマにした本や記事を読んでみるのもいいですね。
(※)高齢の親と働いていない独身の50代の子とが同居している世帯に係る問題(令和 5 年版 厚生労働白書より)
https://www.mhlw.go.jp/content/001124666.pdf
水野:30代の方で、毎月のキャッシュフローを確認して余裕があれば、新NISAを始めることを優先的に検討したいですね。私は、「ライフプランがフワッとしている方こそ、新NISAがいい!」と思っています。つみたて投資枠で複利効果を活かした長期積立投資を行えば、まさに時間が味方になってくれるわけです。この先、40代になってライフプランが見えてくるかもしれないし、お金が増えればライフプランを描きやすくなるかもしれないですよね。だからこそ、まずは投資を始めておくのがおすすめです。
尾崎:たしかに、「あれがしたい、これがしたい!」がなくても、お金と時間がある方は、新NISAとの相性がよさそうですね。あとは、「ライフプラン」「老後に向けた資産形成」がピンとこないのであれば、ご自身にとっての「人生の楽しみ方」を考えてみるのはどうでしょうか。今、楽しく過ごせていれば素敵ですが、もしも退屈に感じている気持ちがあるならば、趣味を見つけたり新しいことに挑戦してみたりすることで、この先の人生も豊かになるのかなと思います。
長島: 私は相続に関する相談を多く受けているので、その観点で少しアドバイスをしますね。実家の名義が親御さんになっていて急に亡くなられた場合、ご自身で現金化(売却など)をしたくても、準備に時間がかかってしまう場合があります。また、不動産は資産に占める割合が大きく、相続税も高額になりがちです。
ですので、親御さんがお元気なうちに、実家については将来誰か住みたい人はいるか、施設入所を視野にいれた際、経済的に売却する必要があるかなどを話しておくと良いでしょう。また、信頼できる家族へ資産を託し管理する方法もあります。なかなか話しにくいこともありますが、亡くなってから意向を聞くことはできないので、家族への想いなどを前もって確認しておけるといいですね。そして相続税対策や生前贈与など分からないことがあれば、FPに相談をしてもらえたらと思います。
(編集部)「争続」にならないように準備が大切だと聞きますね。ただ、親と相続や財産について話すのは、きっかけを掴みにくいですし、ついためらってしまいそうです。
長島:どうしても構えてしまうところがありますよね。死というものを身近に感じたり、相続が話題になったりしやすい法事などの機会に家族会議を行う人も多いようです。
FPに相談したい!どうすればいい?
(編集部)ここまで、「お金」や「投資」にまつわる疑問やお悩みに対して、ご意見をお聞きしてきましたが、この記事を読んだみなさんが実際にFPの方に相談するにはどうすればいいのでしょうか。
水野:いきなりどこかのFP事務所に問い合わせをするのは大変ですよね。そんな方のために、FP協会では無料体験相談を実施しています。電話、対面、オンラインの中から、ご自身に合った相談方法を選ぶことができます。
(編集部)初めてFPの方に相談する際は、どのような準備をしておくといいですか。
水野:一般的なご相談の流れは、希望確認→家計の現状把握→家計の分析・評価→改善策などを具体的に盛り込んだプラン作成→改善策を行うための支援となります。
最初の相談で、2ヶ月分ぐらいの家計簿で収支を確認することができると、現状把握の精度が上がります。逆にお持ちいただけないと、初回のアドバイスが「まずは家計簿をつけて、収支を『見える化』してみましょう」となってしまい、家計の分析・評価まで進めなくなってしまいます。あとは、源泉徴収票や住宅ローンの残高が分かるもの、保険証券などをお持ちいただければと思います。
(編集部)2ヶ月分の家計簿であれば、アプリなどを活用して手軽に準備ができますね。通常、FPの方への相談料はいくらぐらいなのでしょうか。
水野:FP協会の「2021年度ファイナンシャル・プランナー実態調査」では、1時間当たりの相談料は、5,000円〜10,000円未満が47.3%と最も多く、10,000〜20,000円未満が33.5%となっています。
最初のハードルを下げるために、FP協会は無料相談を実施しているので、ぜひ興味のある方はご利用いただきたいですね。そして、より詳しく相談したいと感じた方は有料相談に進んでいただけるといいのかなと思います。
(編集部)FPの方への相談は、かなり個人的なお話しをすることになりますよね。ちょっと緊張してしまいそうです。
登:家族ではない、知り合いでもないからこそ相談しやすいのかなと思います。友人に、収支の話などはしにくいですよね……!
(編集部)たしかに、そうかもしれないですね。先ほどの相談フローの中で「希望確認」というのがありましたが、これはどんなことをお話しすればいいのでしょうか。
水野:ご自身の夢や目標ですね!私は、相談者の方といろいろとお話しする中で、潜在的な欲求を見つけられたらと考えています。どういうことかというと、人の欲求は氷山に例えられるのですが、見えているのは上の方のごく一部で、その下にいっぱいあるはずなのです。相談者の方がご自身の本当の夢に気づき、目が輝く瞬間を何度も経験しています。
(編集部)自分で自覚できていない夢がありそうです。それを見つけられると思うと、ワクワクしますね!
長島:本当にそうだと思います。FPは、その人に寄り添い、夢の実現をお手伝いするのが仕事です。だからこそ、最初のステップを重視していますし、お客さまに価値を提供したいという思いから必死に勉強を続けています。
そして、心がけているのは相談者の方が判断をするための検討材料として客観的な数字などをご提供しながら、その方のマインドやフェーズに合わせたサポートです。私からマインドの変化を促したり、決断を迫るようなプレッシャーをかけたりしないように意識しています。
(編集部)いろいろな方のご相談を受けてきて、印象的なことはありますか。
登:お金がたくさんあるかどうかにかかわらず、お悩みに共通点を感じることがあります。例えば、富裕層の方がお子さんのゲーム課金に悩まれている場合、実際に課金している額は一般的な感覚より1桁多いとしても、お子さんの金融教育をどうするかというお悩みは同じです。
また、活躍されているデイトレーダーの中には、トレーディングを最優先して質素に暮らしている方もいます。投資の仕方は尖っていますが、自分の価値観や人生観に沿ってお金を使っているんだなと感じます。
まとめ
(編集部)ライフプランを考えるとや投資をすることは、それ自体が目的ではなく、自分の価値観を知り人生を豊かにするための手段なのだと、今回の対談を通して改めて感じることができました。座談会に参加いただいたFPのみなさん、ありがとうございました!
※当資料で、筆者の紹介のある記事においては、掲載されている感想や評価はあくまでも筆者自身のものであり、ニッセイアセットマネジメントのものではありませんが、ニッセイアセットマネジメントと筆者との間でこれらの表示に係る情報等のやり取りを直接的又は間接的に行っているため、実質的にはニッセイアセットマネジメントの広告(「不当景品類及び不当表示防止法」におけるニッセイアセットマネジメントの表示)等に該当する場合がございますので、ご留意願います。