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投資信託の売買判断を磨く|金融政策の影響

投資家から集めたお金を、運用のプロであるファンドマネージャーが運用する投資信託。少額から投資できることもあり、投資の入口として初心者にもおすすめしたい金融商品のひとつです。投資信託には比較的高いリターンを目指して株式に投資したり、安定した利回りを目的に債券を中心に運用したりするものなど、さまざまな種類が存在します。ただ、それら投資先は、世界経済の先行きや各国の金融政策などに大きな影響を受けることも事実。
「ニッセイアセットアカデミー」第 5回は、世界中の投資家が注目する各国の金融政策と金融マーケットの関係性について考えていきます。

第1回「投資信託とは?賢く選ぶコツやリスクを押さえておこう」
第2回「投資信託の買い方|購入前に理解しておくべきポイントや情報収集方法を解説」
第3回「投資信託は定期リバランスによるメンテナンスが重要|リバランスの方法を詳しく解説」
第4回「投資信託の売買判断を磨く|政治と株価の関係」


金融政策が株式市場に与える影響とは?

株価の上昇や下落は、専門家でさえも予測が困難ですが、過去の経験則や、ある程度の知識を身に着けておけば、相場の大局観を捉えることができるかもしれません。

その代表的な例として「相場サイクル」が挙げられます。これは、株式市場には主に4つのサイクル(局面)が存在するというものです。それが第2回「投資信託の買い方|購入前に理解しておくべきポイントや情報収集方法を解説」でも解説した「金融相場」「業績相場」「逆金融相場」「逆業績相場」で、基本的には、この4つの局面を繰り返していきます。

「金融相場」は不景気の時期に始まります。落ち込んだ景気を回復させるために、各国の中央銀行が政策金利を引き下げる傾向にあります。金利が下がると、企業はお金を借りやすくなり、借りたお金は設備投資などに回ります。一方、お金が借りやすくなったことで、株式や不動産などのリスク資産にもお金が流入します。その結果、株式市場は上昇しやすくなります。経済が最悪の状況から脱却する第一歩となるわけです。株式市場では、将来を先取りするかたちで成長株(グロース株)や新興市場の銘柄が買われやすくなります。

次にやってくるのが「業績相場」です。金融相場によって企業業績が回復していくことで、株式市場では株価が上昇していきます。金融相場では、将来への期待感から株価が上昇していきますが、業績相場では実際の企業業績の回復を確認して、好業績銘柄が物色されやすくなります。企業業績が本格的に拡大していくことで、これまで低く抑えられていた政策金利も徐々に上昇に転じていきます。

金利が上昇していくことで、今度は好調だった企業業績が徐々に悪化に転じていき、「逆金融相場」へと移行していきます。逆金融相場では、金利上昇を嫌気して株価が下落していきます。株式市場では、借金の少ない好財務企業や割安株(バリュー株)などが買われやすくなります。

逆金融相場が続くと、本格的に企業業績が悪化し、「逆業績相場」へと移行していきます。ここでは、消去法的な考えから生活必需品である食品や医薬品、電力やガスといったいわゆる「ディフェンシブ銘柄」が買われやすくなります。逆業績相場が続くと、経済は不景気となっていき、再び金融相場へ発展していきます。

上記の4つのサイクルをまとめたものが下の図になります。これら4つのサイクルは時間の経過とともに明らかになるもので、ピンポイントで入口や出口を判断することは大変困難です。ただ、金利と株価の推移を検証することで、ある程度は判断がつくことがあります。このサイクルを知っておくことで、投資信託の売買タイミングの一助となるはずです。

相場サイクル


世界が注目する米国の金融政策

4つのサイクルでの金利と株価の関係をご紹介しましたが、現在では、インフレを抑制するために欧米各国による政策金利の引き上げが続いています(2023年10月現在)。米国では、2022年3月から2023年10月までに合計11回にわたって政策金利を引き上げてきました。これにより、2022年2月には0.25%だった政策金利が、2023年10月現在では5.50%まで上昇しています。政策金利の引き上げは、株式市場にとってはネガティブ要因となります。

日米欧の政策金利の推移
※各国の政策金利は、財務省財務総合政策研究所のデータをベースに作成。米国は政策金利の上限金利。

米国の金融政策は、年に8回開催されるFOMC(連邦公開市場委員会)で決定します。足元の株式市場は、FOMCの結果やそれに影響を与える重要経済指標の発表などに敏感に反応する場面も多くみられます。基本的には、金利の引き上げが継続しそうな局面では株式市場は下落し、金利引き上げの打ち止めや金利引き下げの可能性が高まると上昇しています。なお、現在では、米国の利上げもそろそろピークと考えられる見方が多く、マーケットでは利下げ時期についての議論が活発化しています。

仮に現在が逆金融相場で、今後、逆業績相場を経て金融相場へと移行していくとすると、過去の経験則では、成長株や新興市場の銘柄に物色の矛先が向かう可能性もあります。少なくとも現在は、米国の度重なる利上げが株式市場の上値を抑えている一因となっていると考えることもできます。今後、米国が利下げに向かうのであれば、株式市場にとってもプラス材料となる可能性も考えられます。


日本も金融緩和の修正に向かう可能性

欧米各国が政策金利を引き上げる一方で、依然として金融緩和が継続しているのが日本です。2023年9月には、日銀総裁である植田和男氏が大手新聞のインタビューに対し、「マイナス金利政策の解除を含めて、いろいろなオプション(選択肢)がある」と述べたことが明らかになりました。この報道を受けて、日本株市場は一時大きく下落してしまいました。

その後、植田日銀総裁は「金融緩和の継続」をアピールしていますが、足元で物価が上昇し始めていることを考えると、近い将来、日本も金融緩和の出口に向かうことが考えられます。日本の金融政策については今後も注視しておきましょう。ちなみに、金利の上昇局面で買われやすいのは、収益の改善が期待できる銀行や生損保などの金融セクターとされています。

最後に、金利の上昇は株式市場にとって基本的にはネガティブ要因ですが、一方で金利が上昇すると比較的リスクの低い債券に注目が集まります。例えば、2022年2月には2%を割り込んでいた米国債(10年物国債)は、2023年10月には一時5%を突破しました。このように、株式市場の先行きが不透明なケースでは、債券などに投資する投資信託の魅力が高まるわけです。

前述した相場サイクルを理解していれば、株式市場に投資して積極的なリターンを狙うのか、それとも比較的安全な債券型の投資信託で運用すべきなのかの判断材料になる可能性があります。このように各国の金融政策と金融マーケットの関係性については理解しておくことが大切といえそうです。


ここまでの内容を理解できたかテストで確認!

本記事で紹介した内容を、以下のテスト形式でおさらいしてみましょう。

問①
株式市場には「相場サイクル」と呼ばれる○つのサイクル(局面)が存在する。
 

→4

問②
「○○相場」は、落ち込んだ景気を回復させるために、各国の中央銀行が政策金利を引き下げることで、結果的に株価が上昇に転じていく局面。

 
→金融

問③
「○○相場」は、実際に企業業績が回復することで株価も上昇し、低く抑えられていた政策金利も徐々に上昇に転じていく局面。

 
→業績

問④ 
米国の金融政策は、年に8回開催される○○○○(連邦公開市場委員会)で決定する。
 

→FOMC



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