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投資信託の売買判断を磨く|政治と株価の関係

投資信託は、「ファンドマネージャー」と呼ばれる運用のプロが、投資家から集めた資金を運用し、その利益を投資家に分配する金融商品です。そのため、基本的には、デイトレーダーのように投資家側が投資信託を頻繁に売買する必要はありません。
ただ、その運用先は株式や債券などが中心で、各国の政治要因などに運用の成果が大きく左右されるケースがあります。たとえば、投資先地域に政治的なリスクがある場合は、株式市場の下落によって投資信託に損失が出てしまうこともあります。

投資家としては、このあたりのリスクも考慮しながら、長期で保有すべきなのか、運用先の異なる投資信託に乗り換えるべきなのかを検討することが大切です。そこで今回は、株式市場に大きな影響を与える政治的イベントについて考えていきます。

第1回「投資信託とは?賢く選ぶコツやリスクを押さえておこう」
第2回「投資信託の買い方|購入前に理解しておくべきポイントや情報収集方法を解説」
第3回「投資信託は定期リバランスによるメンテナンスが重要|リバランスの方法を詳しく解説」
第5回「投資信託の売買判断を磨く~金融政策の影響~」
(各リンク)

政治と株価は切っても切れない関係

一口に投資信託と言っても、さまざまな種類があります。なかでも、S&P500やナスダック指数など米国の主要株価指数に連動する投資信託は個人投資家にも人気があります。これらは米国の経済成長に伴う全体相場の株価上昇を期待して投資するものです。一方で、個別の会社の株価は基本的には、企業業績によって変化することが多いです。しかし、大きな視点で見ると、世界経済の先行きや政局に不安が生じるような局面では、好業績企業でさえも売られてしまうケースもめずらしくありません。

そこからさらに相場が下落する余地があると考えるのであれば、保有している投資信託の売却を検討するタイミングといえるかもしれません。しかし、下落が一時的なもので、将来的に株式市場が上昇すると考えるなら、投資信託を買い増す“好機”と捉えることもできます。

足元の世界情勢がどのように変化しているのか、また、例えば、米国の大統領や日本の首相が誰になり、その人物がどのような政策を推し進めていくのかなども、今後の相場の状況を見極めるための重要なポイントとなります。

2024年は米国大統領選挙の年

折しも、来年の2024年は米国大統領選挙の年です。過去の経験則では、大統領選挙の前年は米国株が上昇する確率が高いといわれています。この株価の上昇確率はあくまでも統計上の話ですが、現職大統領が選挙を有利に戦うために、大規模な経済対策や景気刺激策などを打ち出すことが理由のひとつと考えられています。昨今の日本株市場は、米国株の値動きに敏感に反応しますので、米国株の上昇は日本株にとっても大歓迎となります。

下の図は、過去40年間の米国大統領選挙とNYダウの年間騰落率の比較です。これを見ると、大統領選挙の前年だけではなく、前後の年も比較的好調なパフォーマンスとなっていることがわかります。

※1983年~2023年までのNYダウの年間騰落率(米ドルベース)を計算
(2023年は10月11日現在まで)(「Trading View」参照)

トランプ氏、2020年のジョー・バイデン氏の就任は記憶に新しいところですが、ともに投票が行われた11月から年末にかけては株価が上昇しています。

「国策に売りなし」、首相の政策と株価の関係

一方、日本の株式市場には、「国策に売りなし」という相場格言があります。これは、国の政策に関連する業種や会社は、売る人が少なく、株価の上昇が期待できるという意味です。

例えば、故安倍晋三氏が推進した「アベノミクス」では、「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」とする「3本の矢」と呼ばれる経済政策が打ち出されました。ここでは、規制改革を受けた業種や建設関連の会社の株価が大きく上昇しました。投資信託では、アベノミクス相場で日本の成長株に投資する投資信託が大きなリターンを上げています。

これらのいわゆる「アベノミクス相場」の起点は、第2次安倍政権が始まった2012年12月26日とされています。この政権は、2020年の夏場頃まで続き、日本憲政史上最長となる約7年8カ月にも及びました。第2次安倍政権の発足までは、短期政権が続いていたこともあり、不安定な政局への懸念が国内外の投資家から度々指摘されていました。株式市場にとっては、安定した政権がプラス材料として受け止められやすい傾向にあります。
下のチャートは、2000年以降の政権と株価の関係を示したものです。

※2000年1月~2023年10月までの日経平均株価を記載(「Trading View」参照)

では、現在の首相である岸田文雄氏は、どのような政策を打ち出しているのでしょうか? 首相官邸のホームページによると、「岸田内閣の主要政策」として、「新しい資本主義」「こども・子育て政策」「外交・安全保障」「国民生活の安心・安全」の4つが取り上げられています。

「新しい資本主義」のひとつの目玉としては、2024年からスタートする「新NISA(新しいNISA)」が挙げられます。これにより、貯蓄好きと言われる日本人の投資意欲が刺激されれば、株式市場にとってもプラス要因になるはずです。また、「こども・子育て政策」や「国民生活の安心・安全」といった主要政策に関連する銘柄も、折につけ株式市場で物色されていますので、今後も投資チャンスが訪れるかもしれません。

さまざまな投資先が存在する投資信託

投資信託には、日米の主要株価指数などに連動する「インデックス型」や、特定の指数を上回る運用成績を目指す「アクティブ型」、株式を組み入れず、国債などの公社債を中心に運用する「公社債投信」 など、さまざまな種類が存在します。 日米の政権の重点政策を読み解き、それにマッチしたテーマの投資信託を探してみてはいかがでしょうか?

なかには、複数の投資信託を保有して、さまざまな投資先に分散投資している方もいると思います。このようなケースでも、投資信託ごとの分散の比率(アロケーション)を変化させることで、効率の良い資産運用を目指すことができるはずです。投資信託を購入した後も、その時々のイベントに合わせて、リバランス(資産の配分)を検討してみることが大切です。

これまで説明した通り、日米の政策により物色されやすい銘柄の傾向が変わるため、日米の政権がどのような政策を押し進めようとしているのか、足元の世界経済がどのような方向に進んでいるのかなどを敏感に察知し、必要であれば、投資信託の入れ替えや売買タイミングを検討してみてはいかがでしょうか?

ここまでの内容を理解できたかテストで確認!

本記事で紹介した内容を、以下のテスト形式でおさらいしてみましょう。

問①
投資信託は、各国の○○要因(○○的イベント)などに運用の成果が左右されるケースがある。


→政治

問②
過去の経験則では、大統領選挙の前年は米国株が〇〇する確率が高いといわれている。


→上昇

問③
日本の株式市場には、「〇〇に売りなし」という相場格言がある。


→国策

問④ 
日米の政権の○○〇〇を読み解き、それにマッチしたテーマの投資信託を見つけ出せれば、資産運用の成績アップにつながる可能性がある。


→重点政策

まとめ

投資信託は、ファンドマネージャーと呼ばれるプロの運用者が、投資家に代わって運用してくれる便利な金融商品です。ただ、その運用先は株式や債券などが中心のため、世界経済の環境や政治的イベントなどによって運用の成果は大きく左右されてしまいます。

ですので、投資家としては各国の政策や経済状況を意識しながら、投資信託自体の買い時や売り時、また、長期保有すべき銘柄なのか、それとも新しいテーマの投資信託に入れ替えたほうがいいのかなど、タイミングを見て検討する必要があります。

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