タクシー初乗り料金、全国・東京・大阪で比較|東京と大阪でいくら違う?
タクシー初乗り料金は、地域によって異なる仕組みになっています。そのため自分が住んでいる地域の初乗り料金と旅行先で乗ったタクシーの料金は、異なることもあるでしょう。本稿では、全国と東京・大阪でどのくらいタクシーの初乗り料金が違うのかについて検証します。
タクシー初乗り運賃、都道府県ランキング
タクシー初乗り運賃の都道府県別のランキングは、以下のとおりです。一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会公式サイトで公表しているデータをもとに、安いエリアと高いエリアの上位10位までをピックアップしています。
<ランキングの決定方法>
・初乗り運賃の車種は普通車(中型車)
・公式サイトに複数の地区が掲載されている場合は代表的な地区(公式サイトの表組の一番上に掲載されている地区)の料金とする
・順位は下限料金の順とし、下限料金が同じ場合は上限料金によって差をつけている。下限も上限も同じ場合は、初乗り距離で差をつける
タクシー初乗り運賃が安い都道府県ランキング
順位/都道府県/初乗り運賃(下限~上限)/初乗り距離
1位 茨城県全域 450~500円 1.1キロメートル
2位 京都府(京都市域地区) 450~500円 1.0キロメートル
3位 神奈川県(京浜地区) 460~500円 1.091キロメートル
4位 栃木県全域 460~500円 1.0キロメートル
5位 千葉県(A地区※1) 470~500円 1.155キロメートル
6位 埼玉県(A地区※2) 470~500円 1.121キロメートル
7位 東京都(特別区・武三区) 470~500円 1.096キロメートル
8位 愛知県(名古屋地区) 470~500円 1.011キロメートル
9位 滋賀県(大津地区) 480~500円 1.0キロメートル
10位 大分県全域 500~550円 1.0キロメートル
〜
13位 大阪府(大阪地区) 540~600円 1.3キロメートル
※1 京葉交通圏、東葛交通圏、千葉交通圏、北総交通圏
※2 県南中央交通圏、県南東部交通圏、県南西部交通圏
出典:一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会公式サイト「地域別タクシー運賃表」をもとにニッセアセット作成
初乗り運賃が安い傾向があるのは、関東地方です。上位9位までのエリアは、初乗り運賃が400円台後半~500円までのため、1キロメートル程度までの距離なら気軽に利用できるでしょう。ただし初乗り運賃が安い都道府県は、初乗り距離が短く設定されている傾向があるため、早めに加算運賃になる点はデメリットかもしれません。
タクシー初乗り運賃が高い都道府県ランキング
順位/都道府県/初乗り運賃(下限~上限)/初乗り距離
1位 福岡県(福岡A地区※1) 770~830円 1.6キロメートル
2位 島根県(島根県本土地区) 760~810円 1.5キロメートル
2位 佐賀県全域 760~810円 1.5キロメートル
4位 宮崎県全域 740~770円 1.5キロメートル
5位 山口県全域 710~760円 1.5キロメートル
6位 香川県(香川地区) 700~750円 1.5キロメートル
6位 広島県(広島A地区※2) 700~750円 1.5キロメートル
8位 鳥取県全域 690~740円 1.5キロメートル
9位 宮城県(宮城県A地区※3) 680~710円 1.4キロメートル
10位 長野県(長野県A地区※4) 660~700円 1.18キロメートル
※1 福岡市、春日市、大野城市、筑紫野市、太宰府市、古賀市、糸島市、那珂川市、糟屋郡
※2 広島市、廿日市市、安芸郡府中町、海田町、熊野町、坂町の区域
※3 仙台市
※4 平成17年1月1日合併前の長野市及び平成17年1月1日に編入された旧更級郡大岡村、旧上水内郡戸隠村・鬼無里村の区域)、千曲市、埴科郡の区域
出典:一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会公式サイト「地域別タクシー運賃表」をもとにニッセアセット作成
初乗り運賃が高い傾向にあるエリアは、九州地方と中国地方です。関東地方は、入っていないため、タクシー初乗り運賃は西高東低の傾向と考えてよいでしょう。ただし初乗り運賃が高い都道府県は、初乗り距離が長いため、1.5キロメートル程度まで乗る場合は西も東もそれほど差がないと考えることができます。
東京と大阪の初乗り運賃の差は?
東京と大阪を比較すると、東京都の初乗り運賃が1.096キロメートルまで470~500円、大阪府が1.3キロメートルまで540~600円となっています。東京のほうが70~100円ほど安いです。
しかし、初乗り距離は大阪のほうが長いため、1キロメートルあたりで換算すると東京が約429~456円(1円以下四捨五入、以下同)、大阪が約415~462円となります。下限で比較すると、大阪のほうが14円ほど安いと考えられます。
全国で見ると、初乗り運賃の安い都道府県ランキングで東京が7位、大阪が13位という位置づけでした。
タクシー運賃の仕組み
次に、タクシー運賃の仕組みについて確認しておきましょう。タクシー運賃は、定められた範囲内で各タクシー会社が設定しています。
「運賃」と「料金」の違い
タクシーを利用して支払うお金は、主に「タクシー運賃」と「タクシー料金」の2つで構成されており、運賃と料金は似たような言葉ですが、両者には明確な違いがあります。
・運賃
タクシー会社が国土交通大臣から認可を受けて、法律により設定された金額です。そのためタクシー会社が自由に値上げすることはできません。
・料金
運賃以外の支払いを指します。よく利用する例では「迎車料金」や「深夜早朝割増料金」などが該当します。
「初乗り運賃」と「加算運賃」の仕組み
タクシー運賃には「初乗り運賃」と「加算運賃」があります。
・初乗り運賃
タクシーに乗って最初にかかる初乗り距離範囲内の運賃です。初乗り距離は、ランキングにあるように、都道府県それぞれに定められています。
・加算運賃
タクシーの走行距離や走行時間に応じて加算される運賃です。走っている時間だけでなく、交通渋滞などで停車している場合もタクシーメーターは動いているため、運賃は加算されていきます。したがって、時間や曜日の融通が利くのであれば、道路が混んでいる時間帯や曜日を避けて利用すると加算運賃を少なくすることが可能です。
初乗り運賃には地域差がある
上記ランキングのように、タクシー運賃は全国一律ではなく、初乗り運賃も地域によって差があります。そのため自宅がある地域で乗るタクシー初乗り運賃をイメージしながら旅行先でタクシーを利用すると、“思いのほか高かった”というケースもあるでしょう。また初乗り距離も都道府県によって差があるため、安さは初乗り運賃と初乗り距離を総合して判断することが必要です。
迎車にするといくら?追加料金一覧
タクシーに乗る場合、状況によっては迎車を利用することもあるかもしれません。タクシーは、基本運賃のほかに以下のような追加料金があります。
●迎車料金
最もよく利用するサービスかもしれません。歩道に立ってタクシーをつかまえるのが難しい場合、タクシー会社に電話して自宅の前や出先の施設に迎えに来てもらうときにかかる料金です。料金は、タクシー会社によって異なりますが、一般的に数百円程度といわれています。数百円の違いであれば、それほどの負担感はないでしょう。最近利用者が増えているタクシーアプリ「GO」も有名な迎車サービスの一つです。
●深夜早朝割増
22時~翌5時までの深夜や早朝に利用すると追加料金が加算されます。電車の終電に乗り遅れてタクシーを利用する場合は、深夜早朝割増料金がかかります。
●待機料金
例えば運送の途中でコンビニに寄って買い物する間タクシーを待たせるなどした場合、待機料金が発生します。加算運賃の時間経過料金に加算されます。
●車種指定料金
ワゴン車や高級車など、通常のタクシーと異なる車種を指定して利用する場合、車種指定料金がかかるケースもあります。例えば大人数でワゴン車でなければ乗り切れない場合などに便利です。ただし、すべてのタクシー会社でそのオプションを用意しているわけではないため、各タクシー会社のホームページなどで確認が必要です。
●高速道路代
行き先によっては、高速道路を利用するルートになる場合もあります。その場合、高速道路の通行料金は乗客が支払います。
●予約料金
単なる迎車ではなく、あらかじめ指定した時間にタクシーを予約する場合は「予約料金」がかかります。普通の迎車のように到着する時間がマチマチということがないため、その時間に確実に出発したい場合に利用したいサービスです。
タクシーのROIを考えよう
タクシーは、無計画に利用してしまうと無駄なお金を使うだけとなりかねません。そのためタクシーを利用する際にはROI(投資収益率・投資利益率)の視点を取り入れてみるのはいかがでしょうか。ROIとは、投資したお金がどのくらい利益を生み出したかを測る指標です。投資をしても事業にもたらす利益が少なければ効率が悪い投資を行ったと判断される場合があります。
同じようにタクシーも料金を払う以上は、利用するだけの効果がなければなりません。時短を目的にタクシーを利用する人も多いのではないでしょうか。例えば「駅まで歩けば20分かかるけど、タクシーであれば7分で着く」という場合、すぐにタクシーを拾えれば約13分の短縮になります。
しかし空車が見つからずタクシーを拾うのに13分以上かかる場合、歩いたほうが早かったことになり、ROIが悪い利用の仕方になるため注意が必要です。ほかには、人数で効率を考える場合もあります。例えば1人で乗るのは割高ですが、4人で乗れば1人あたりの運賃は割安になるといった具合です。
またタクシーの場合、バスと違って目的施設の前で停車してくれるため、効率の良い投資をしたとみなすこともできるでしょう。近年は、物価高が続く社会情勢のため、タクシーを利用する際はROIを意識して交通費を有効に使うことが求められます。
<参考リンク>