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967kmを走りながら老後生活資金の準備について考えてみた(3)【トラブル編】

距離が短くとも発生することはありますが、これだけ超長距離ともなれば何らかのトラブルは必ず発生します。今回は967kmのなかで経験した主なトラブルとその対処編です。

コーラ?グレープジュース?赤ワイン?

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コーラ?グレープジュース?赤ワイン?

レース開始から3日間は強い向かい風に晒されながらも概ね雨に降られず、初日こそ曇りがちだったものの概ね晴れ模様。
風が強いので暑くは感じないものの、日差しはそれなりにきつい。
それでも、早朝(夜中)からわき目もふらず歩き続けていると、つい水分摂取がおざなりになってしまいます。

2日目。コーラのような真っ黒な血尿が出ました。

真夏のウルトラマラソンなどだと、よく見られる水分不足のときの症状なので、それほど気にしなかったのですが、3日目にはコーラがグレープジュースに変わっていました。
初めてのグレープジュースには少し焦りました。
水分不足はもとより、少しペースが速すぎたのでしょう。

初日の80kmのあと、2日目100km、3日目100kmと歩いてきました。
1日あたり平均100kmは当初の計画通りではあるのですが、ちょっと私には負荷が重かったのかもしれません
もとより、この計画では15日で1,550kmを走破するものですから制限時間対比8日間の余裕を見積もっています。
これ以上の悪化を抑えるため、水分摂取を増やすとともに、活動時間を減らすこととし、4日目は75kmにとどめました。

しかし、4日目の血尿は更に赤味が増し、赤ワインの色をしていました。
さすがにまずいという思いから、5日目の夕刻、新潟市に入るや否や病院に駆け込みました。

「うん。葡萄酒色だね。」

そう医師から告げられたものの、水分不足以外は特段の指摘なく、感染症予防のための抗生物質だけもらって、ネットカフェへ。
多分、腎臓に負担がいっていたのでしょう。泌尿器科に行ったのは選択ミスだったのかもしれません。

とはいえ、意外にも6日目以降はなぜか問題がなくなりましたので、身体が日々の長時間活動に慣れる過程での不具合だったのかもしれませんが、これを契機に活動時間の見直しを図ることとなりました。

資産運用も淡々と進むわけではありません。


預貯金であればお金を預けておけば、多い少ないは別にして利息が着実に貯まっていきますが、投資の場合には良いパフォーマンスを出すときもあれば、悪いパフォーマンスとなることもあります。

血尿の例でいえば、良いパフォーマンスを出し続けてきたけれど、どこかに歪みがあったということでしょう。資産運用でも、放りっぱなしにするのではなく、時折異常がないかを確認して、運用の見直しも行うことが必要かもしれません。

これまでずっと上昇してきた株式相場が下落基調に転じたとき、傷口を広げないように株式投資の割合を下げることを考えてみても良いでしょう。
一方で、長期の視点をもって、一旦の下落は許容して放置するという考え方もあるでしょう。

私の場合、最初は後者の考え方に立って放置していたけれど、傷口が深くなってきたので、前者のように見直しを行ったというように言えるかもしれません。

今回、レースの最中に病院に行っていますが、普通のフルマラソン(ウルトラマラソンでもそうかもしれません。)だったら、制限時間との関係からちょっとあり得ない選択肢です。
これが出来るのは、ゴール(距離・制限時間)との関係で、病院へ行くことができる時間を捻出することが可能だからです。
多分、制限時間が残り1時間で、同じ状態だったら、病院にはいかなかったでしょう。

このように、目標との兼ね合いで、いろいろな対処法が生まれますし、目標までの余裕がある方が選択肢も多く見繕うことができます。

脚が痛いのは当然

脚が痛いイメージ
脚が痛いのは当然

非常に超長距離を走る(歩く)のですから、誰しも脚は痛くなります。
例え「歩く」という負荷の少なそうな活動であっても、それを毎日、十時間以上継続するわけですから、何かしらの不具合・故障は誰も避けては通れません。
ただ、普通は筋肉痛から始まってジワジワと脚を蝕んでくることが多いのですが、今回は違いました。

新潟県長岡市寺泊の市場の前を歩いていると、不意に左膝に激痛がはしって崩れ落ちそうになりました。
そのときは歩道を歩いていたので良かったのですが、そうでなかったら本当に怖かったです。出発してから50kmくらいの地点でしたが、宿泊予定地まであと30kmも残っています。
左脚を引きずる様に歩きますが、痛いのは勿論、通常の歩行者(時速3km)よりも圧倒的に遅い状態で、いつ辿り着けるのかわからず暗澹たる気持ちです。

こんなときのためにと大昔購入し、一度も使うことのなかった痛み止めのロキソニンを持参していたため、これを服用。暫くは痛い状態で脚を引きずる状態が続きましたが、少しずつ軽減し、暗くなるころに30km先のホテルに到着しました。
血尿の件もあって、4日目から毎日の走行距離を制限していますが、それでも制限時間にはまだ余裕がありそうです。残り1,040kmを17日間で進むとすれば1日平均60km強。
4日目以降の無理ないペースで1日あたり75kmですから、十分達成可能なペースです。
しかし、それも1日75km歩けるだけの脚があればこそ。このまま継続して悪化させることを避け、1日休養日を入れることとしました。残り16日間となっても、必要な1日平均距離は65kmですから、まずは脚の回復を最優先することとしたわけです。

老後生活資金の準備でも、しっかりとした目標があるはずです。

例えば、70歳までの2,000万円の資金準備をするとか、一定の期間と金額を目標として資金の準備を行うことになります。
その過程では、これまでお話したように相場の変動もあるでしょうし、今回の脚の故障のように運用が不調となることもあるでしょう。
そんなときは、足元の残高とこれからの投資計画を照らして、今のままで、目標とする期間で目標とする金額となるのかを考えます。

今回のレースの例でいえば、本来23日で完走すれば良いところを15日で消化するような計画を建てて実行してきたものですから、そもそも目標以上に無理した計画です。
即ち、老後資金で例えると、本当は70歳までで良いのに、65歳で2000万円準備するように頑張ってしまっているということです。
無理があるのであれば、期間は本来のように70歳まで延ばしてしまえば良い。即ち、運用期間を短くするために高パフォーマンスを狙ってハイリスク/ハイリターンの商品を選択せずとも、少しリスクを下げて、70歳で目標金額が達成できる程度に、ミドルリスク/ミドルリターンの商品に入れ替えることも選択肢と言えるでしょう。

職務質問は突然に

職務質問イメージ
職務質問は突然に

余談ですが、富山県入善町で雨の中を歩いていると、突然パトカーが横に止まりました。
車から降りてきた警察官の方からの職務質問です。

「何をされているんですか?雨の中を傘もささずに歩いている不審者がいると通報があったんですよ。」

時刻は深夜2時頃だったでしょうか。
雨の中をレインコートで歩いていたのを住民の方から見とがめられたようです。
特に不審なものはなかったはずですが、眠さからふらふらしていたからでしょうか?
レースのゼッケンを提示しても開放してもらえず、運転免許証を提示して氏名や住所を確認されてはじめて放免となりました。

夜間でもいろいろな視線に晒されているのだと気が引き締まりました。(恥ずかしい経験ですが、多少は眠気も飛びましたから結果オーライなのでしょうか。)


今回はレース中に見舞われた主なトラブルについて見てみました。

次回は、長時間歩きながら考えることについて触れてみたいと思います。

なお、今回の記事は筆者個人の見解であり、当社の公式な見解を示すものではありません。

【筆者紹介】
結城宗治:日本生命保険相互会社入社後、国内債券投資、財務企画を経験後、投資信託販売事業の立上げを担当。ニッセイアセットマネジメントでは投資信託企画の担当を経て、ファンドラップサービスGoalNaviを立ち上げ。DX推進担当。

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