利息と利子の違いとは?|利息と利子、金利との違いを解説
「利息」と「利子」は、よく似た言葉ですが、実は意味も同じです。では、なぜ2つのよく似た言葉が存在するのでしょうか。利息と利子は、それぞれ金利があることから発生します。また金利は、お金との付き合いにおいて非常に重要です。そこで本記事では、利息、利子、金利の違いについて解説します。
利息(利子)とは?
同じ意味をもつ利息と利子。そして利息や利子が発生する根拠となるのが、金利です。最初にこれらの言葉の正確な意味合いと関係性について整理しておきましょう。
利息とは?利子と意味は同じ
利息と利子は、金利があることで発生するものですが使われる場面に違いがあります。
主に借金では「利息」が使われます。消費者金融や銀行などのカードローンでは「利息」「お利息」といった言葉が用いられています。これらの金融業者に適用される利息制限法や貸金業法などでも主に「利息」の用語が用いられている傾向です。特に利息制限法に至っては、法律名にも「利息」が用いられています。一方で預金などに用いられている傾向があるのは「利子」です。
それぞれの言葉の使い分けに明確な定義はありませんが、両者は借金か預金かによって使い分けられている一面があります。
金利とは?利息(利子)の利率のこと
金利とは、利息や利子がどれだけ発生するのかを示す利率のことです。一般的に年利で表記されるため、「金利5%」となっている場合は1年間で5%の利息(利子)が発生することを意味します。例えば100万円を金利5%で1年間借りた場合、1年間の利息は5万円です。
利息には「単利」と「複利」がある
金利によって発生する利息には「単利」と「複利」という2つの概念があります。両者は、時間経過に伴い大きな差となるため、しっかりと違いを理解しておきましょう。
単利は、元金に金利をかけて利息額を算出する計算方法ですが、複利は「元金+利息」の合計額に金利をかけて利息額を算出する計算方法です。1年目は単利、複利ともに元金は同じとなるため、利息額は変わりません。
しかし2年目以降は、複利だと「元金+1年目の利息」に金利をかけるため、1年目よりも利息額は多くなります。例えば金利10%で100万円を1年間借りた場合の利息は、10万円です。単利であれば2年目も10万円ですが、複利の場合は2年目の元本が110万円になっているため、2年目の利息は11万円になります。これが続くと加速度的に借金が増えていきます。
「借金が雪だるま式に増える」というのは、こうした構図で借金が加速度的に増えてしまうことを表現したものです。
利息(利子)の計算手順
お金を借りる際には「利息がどの程度になるか」について事前に把握しておくことが重要です。そうでなければ返済計画を立てられませんし、安易な借金を繰り返して返済が苦しくなる恐れもあります。ここでは、金利確認や利息計算、返済方法について解説します。
①金融機関で金利(上限は年15~20%)を確認する
消費者金融や銀行などには、カードローンやキャッシングといったサービスがあるため、比較的手軽にお金を借りることが可能です。各金融機関では、事前に貸付条件を提示しており、その条件のなかには金利も含まれています。そのため「今申し込むと金利は何%になるのか」についてしっかりと確認しておきましょう。
なお消費者金融やクレジットカード会社などの貸金業者からお金を借りる場合は、利息制限法第1条によって上限金利が定められています。金額別の上限金利は、下表のとおりです。
出典:日本貸金業協会「上限金利について」をもとにニッセイアセット作成
上記の上限金利を超えた貸付は違法です。そのため正規の金融機関は、すべてこの上限金利の範囲内で貸付を行っています。
②利息(利子)を計算する
利息額がいくらになるのかは、借入予定金額に金利をかければ自分でも簡単に計算することができます。しかし「毎月の返済額がいくらになるのか」「返済期間がどの程度になるか」といった計算は、金融機関が提供している返済シミュレーションを利用するのが便利です。
国の機関が提供しているシミュレーションツール(下図参照)もありますし、同様のツールは消費者金融各社からも提供されています。いずれも無料で、申し込みをしていなくても利用可能です。
出典:金融広報中央委員会「知るぽると しっかりシミュレーション」
③3つの返済方法から選ぶ
お金を借りると返済が必要になりますが、返済には大別すると以下の3つの方法があります。
・最初から借りる金額と毎月の返済額が決まっている方法
・利用金額に応じて返済金額が変動するリボルビング方式
・一括返済
銀行などの各種ローンでお金を借りると、最初に借入金の全額が振り込まれ、以後毎月同じ金額を返済していきます。これを分割返済といいます。
一方、消費者金融などではローンカードの利用限度枠の範囲内でいつでも借り入れと返済ができるため、毎月の返済額は利用残高によって変動します。これがリボルビング方式です。
一括返済は、文字どおり借りたお金を一括返済することを指します。最初から一括返済の条件で借りた場合は指定の期日までに一括返済をする必要がありますが、そうでない場合でも自分の意思で一括返済することも可能です。
投資に有効なのが「複利」
投資でお金を増やすためにきわめて重要なのが複利です。ここでは、借金ではなく投資の場合の複利について解説します。
投資に複利を活かすと逆に「雪だるま式」にお金を増やす効果が期待できるでしょう。例えば毎月5万円ずつ積み立て年利5%で運用、複利効果を生むために投資によって得られた利益も再投資すると想定します。
以下は、金融庁の「つみたてシミュレーター」を使って試算した結果です。10年後の結果は、以下のとおりです。
出典:金融庁「つみたてシミュレーター」
結果は、約776万円(元本600万円)でした。重要なのは、オレンジ色の「運用収益」(上図では10年目で176万円)です。時間が経つごとにその幅が大きくなっているのが分かります。これは、利子にさらに利子がつき「雪だるま式」に資産が増えていくからです。この期間がさらに長くなると、オレンジ色の部分は大きくなります。つまり投資による収益が大きくなるというわけです(下図参照)。
投資信託での複利効果とは?
先ほどのシミュレーションで、複利効果を味方につけることが投資において重要であることを理解できたのではないでしょうか。しかし投資収益を再投資することは手間がかかりますし、投資にそれだけの時間を割くのは難しい人もいるかもしれません。そこでおすすめしたいのが、投資信託の複利効果です。
投資信託のなかには、利益を分配金として支払わずそのまま再投資するタイプがあります。この場合、投資信託の内部で複利効果が発生しているため、その投資信託の基準価額が加速度的に上昇する可能性があります。投資家は、こうした再投資型の投資信託を保有するか積立投資で買い増しをしていくだけで自動的に複利効果が期待できるというわけです。
投資信託のなかでも「インデックス型」といって株価指数など市場の指数と連動するタイプは、こうした再投資型が多い傾向です。株式市場全体の成長および複利効果が期待できるため、将来その投資信託を売却する際には複利効果と基準価額上昇分を手にする可能性があります。
重要なのは、複利を味方につけることです。「雪だるま式」に借金が増えることは苦しいですが、自分のお金が「雪だるま式」に増えるように複利を味方につける投資を心がけましょう。