女性が働いている率は?日本の都道府県別労働力率ランキング|労働力率の求め方も解説
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女性の社会進出は、徐々に進んできていますが、女性の労働力率は労働人口全体でどの程度の比率を占めているのでしょうか。本稿では、女性の労働力率を国勢調査のデータから紹介し、あわせて労働力率の求め方も解説します。
都道府県別女性の労働力率ランキング
女性の社会進出は、どの程度進んでいるのでしょうか。総務省統計局が公表している「令和2年国勢調査 就業状態等基本集計結果」をもとに見ていきます。
<都道府県別女性労働率ランキング>
順位/都道府県/2020年/2015年/増加幅(ポイント)
1 東京都 60.1% 55.5% +4.5
2 沖縄県 57.5% 53.6% +3.9
3 福井県 57.0% 54.2% +2.8
4 愛知県 55.8% 52.5% +3.4
4 石川県 55.8% 53.4% +2.4
6 長野県 55.4% 52.9% +2.5
7 佐賀県 55.1% 52.2% +2.8
8 山梨県 54.9% 51.8% +3.1
9 滋賀県 54.8% 51.1% +3.7
9 鳥取県 54.8% 52.7% +2.1
出典:総務省統計局「令和2年国勢調査 就業状態等基本集計結果 男女別労働力率-都道府県(2015 年~2020 年)」をもとにニッセイアセット作成
はじめに2020年における都道府県別の女性労働力率は、東京都が60.1%で最も高くなっています。街中でも女性労働者の姿が目立つ東京都の1位はイメージどおりでしょう。しかし必ずしも大都市圏だから高いわけではなく、大阪府や神奈川県はトップ10に入っていません。いわゆる大都市圏といえるのは、東京都と名古屋市のある愛知県くらいです。
むしろ女性の働き手は、地方のほうが多いという印象です。ちなみに全国平均の女性労働力率は54.2%で、2015年に比べて3.4ポイント増加しています。全国47都道府県のすべてで2015年を上回っているため、着実に女性の社会進出が進んでいることがわかります。
労働力人口総数に占める女性割合の推移
次に、1950~2020年まで5年ごとの15歳以上人口総数に占める女性労働力率は、以下のように推移しています。
<15歳以上人口総数に占める女性労働力率の推移>
西暦/15歳以上人口総数/女性労働力人口/女性労働力率
1950年 5,615万7,557人 1,416万9,014人 25.2%
1955年 5,996万9,339人 1,574万3,568人 26.3%
1960年 6,586万7,462人 1,736万6,513人 26.4%
1965年 7,367万9,907人 1,893万3,084人 25.7%
1970年 7,951万2,392人 2,085万4,059人 26.2%
1975年 8,467万2,746人 2,008万3,805人 23.7%
1980年 8,948万1,955人 2,158万4,454人 24.1%
1985年 9,497万4,359人 2,331万8,885人 24.6%
1990年 1億79万8,571人 2,507万2,648人 24.9%
1995年 1億542万5,543人 2,662万1,484人 25.3%
2000年 1億822万4,783人 2,684万7,578人 24.8%
2005年 1億976万4,419人 2,710万9,839人 24.7%
2010年 1億1,027万7,485人 2,687万4,210人 24.4%
2015年 1億975万4,177人 2,884万1,827人 26.3%
2020年 1億825万8,569人 3,041万3,169人 28.1%
出典:総務省統計局「令和2年国勢調査 就業状態等基本集計結果 労働力状態、男女別 15 歳以上人口及び労働力率の推移-全国(1950 年~2020 年)」をもとにニッセイアセット作成
意外なのは、1950~1970年のほうが1975年以降より女性の労働力人口割合が高いことです。日本が貧しかった時代は、共働きしないと生活が成り立たない家庭が多かったためと推測されます。1975年以降2010年までは、おおむね24%台で推移して低空飛行を続けていました。女性の社会進出が本格的に進んだのは、2015年以降で2020年は28.1%で過去最高の割合を記録しています。
<15歳以上女性人口総数に占める女性労働力率の推移>
西暦/15歳以上女性人口総数/女性労働力人口/女性労働力率
1950年 2,911万6,712人 1,416万9,014人 48.7%
1955年 3,106万5,262人 1,574万3,568人 50.7%
1960年 3,408万9,253人 1,736万6,513人 50.9%
1965年 3,798万7,060人 1,893万3,084人 49.8%
1970年 4,100万0,604人 2,085万4,059人 50.9%
1975年 4,356万0,794人 2,008万3,805人 46.1%
1980年 4,604万0,309人 2,158万4,454人 46.9%
1985年 4,884万3,175人 2,331万8,885人 47.7%
1990年 5,184万2,422人 2,507万2,648人 48.4%
1995年 5,418万6,461人 2,662万1,484人 49.1%
2000年 5,572万1,312人 2,684万7,578人 48.2%
2005年 5,667万8,857人 2,710万9,839人 47.8%
2010年 5,712万2,871人 2,687万4,210人 47.1%
2015年 5,687万4,386人 2,884万1,827人 50.7%
2020年 5,616万0,102人 3,041万3,169人 54.2%
出典:総務省統計局「令和2年国勢調査 就業状態等基本集計結果 労働力状態、男女別 15 歳以上人口及び労働力率の推移-全国(1950 年~2020 年)」をもとにニッセイアセット作成
一方、働ける年代の女性で実際に働いている人の割合は、時代による差はそれほど大きくなく、40%台後半~50%台前半で安定して推移してきました。ところが、2020年になると急に働く女性の割合が増え、54.2%の人が就労しています。
新型コロナウイルス感染拡大による経済活動の停滞で職を失う男性が多い半面、夫の減収分を補おうとスーパーなど身近な場所で働く女性の数が増えたためと推測されます。
女性の年齢階級別労働力率
女性労働者の年齢別分布は、どのようになっているのでしょうか。女性の年齢階級別労働力率は、20歳未満の低年齢層と65歳以上の高齢者を除いては、おおむね60~80%台と多くの女性が仕事を持っていることがわかります。特に1985年と比べると25歳以上のすべての年齢層で大きく伸びています。
2020年において最も労働力率が高いのは25~29歳で87.0%に達しています。次いで40~54歳が80%台で高いですが、パート労働の女性が多いためだと思われます。
<年齢階級別女性労働力率の推移>
年齢階級/1985年/2015年/2020年
総数 47.8% 50.7% 54.2%
15~19歳 17.4% 15.2% 16.9%
20~24歳 73.4% 69.7% 74.5%
25~29歳 54.2% 82.0% 87.0%
30~34歳 49.3% 74.1% 79.6%
35~39歳 58.0% 73.0% 78.2%
40~44歳 65.8% 76.1% 80.8%
45~49歳 65.9% 77.9% 82.0%
50~54歳 59.8% 76.3% 80.2%
55~59歳 49.9% 69.5% 75.3%
60~64歳 37.9% 52.2% 62.2%
65~69歳 26.4% 33.9% 41.4%
70~74歳 15.7% 19.9% 27.0%
75~79歳 8.3% 11.6% 14.9%
80~84歳 4.0% 6.2% 7.9%
85歳以上 1.8% 2.5% 2.9%
出典:総務省統計局「令和2年国勢調査 就業状態等基本集計結果 年齢(5歳階級)、男女別労働力率-全国(1985 年、2015 年、2020 年)」をもとにニッセイアセット作成
労働力率の求め方
次に「労働力率」と「女性の労働力のM字カーブ」について確認します。
労働力率の計算方法
労働力率は、15歳以上の人口に占める労働力人口の割合を示す値です。労働力人口は、すでに仕事に就いている人と働く意欲があって求職している人の合計人数を表します。労働力率は、以下の計算式で算出します。
労働力率=労働力人口÷15歳以上人口×100
女性の労働力のM字カーブとは
出典:総務省統計局 「労働力調査」をもとにニッセイアセット作成
女性の労働力のM字カーブとは、女性の労働力率が結婚・出産期にあたる年代にいったん低下し、育児が落ち着くと再び上昇することを表した言葉です。近年は、M字の谷部分が浅くなる傾向があります。これは、女性の社会進出の進ちょくが影響しているものと思われます。
共働き世帯こそ安定した資産形成を
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しかし共働きのため投資に関して学ぶ時間は多くないかもしれません。そこで共働き世帯に向いている資産運用商品が「投資信託」です。投資信託は、プロのファンドマネージャーが分析して選んだ優良銘柄を、複数組み合わせて1つのファンドとして販売する商品です。個別株投資のように自分で銘柄を選ぶ手間がなく、毎営業日株価をチェックする必要もないため、忙しい人に向いているかもしれません。
投資信託には「インデックス型」と「アクティブ型」の2つの種類があります。
詳細については以下の記事をご参照ください。
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