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消費者物価指数で見る世界の物価上昇率が低い国ランキング

消費者物価指数は、インフレの進行をチェックするうえで重要な指標です。世界の消費者物価指数は、各国の経済状況によって異なり、インフレが進んだ国もあれば物価上昇率が低い国もあります。本稿では、日本の立ち位置も含めながら世界の物価上昇率についてランキング形式で紹介します。

(トップ画像=Antony Weerut/stock.adobe.com)


そもそも「消費者物価指数」とは何か

総務省統計局によると、消費者物価指数とは以下のようなものを指します。 

“全国の世帯が購入する家計に係る財及びサービスの価格等を総合した物価の変動を時系列的に測定するもの”
引用:総務省統計局 https://www.stat.go.jp/data/cpi/ (参照:2024年11月13日) 

具体的には、基準となる年を100として、現在の価格が基準年と比べてどの程度上がったかを示すのが消費者物価指数です。指数は、総務省によって毎月作成されています。統計に利用される品目の価格は、総務省統計局実施の小売物価統計調査によって調査された小売価格です。 

世界で物価上昇率が低い国トップ10

ここからは、総務省統計局が公表している「世界の統計2024」をもとに世界や各地域の物価ランキングを紹介します。本ランキングは消費者物価指数の2022年と2021年を比較して、対前年物価上昇率が低い(または高い)順に並べたランキングです。世界で物価上昇率が低い国のランキング上位10ヵ国は、以下のようになっています。 

順位/国名/対前年上昇率
1 香港 +1.9%
2 中国 +2.0%
3 日本 +2.5%
3 サウジアラビア +2.5%
5 スイス +2.8%
6 マレーシア +3.4%
7 エクアドル +3.5%
8 インドネシア +4.2%
9 韓国 +5.1%
10 フランス +5.2%

世界で物価上昇率が低い国トップ10

出典:総務省統計局「世界の統計2024」をもとにニッセイアセット作成

こちらは世界的にインフレが進む中で、比較的物価上昇の影響が少なかった国々といえます。地域別ではアジアが7ヵ国を占めているのが特徴的です。日本の上昇率は2.5%で、日本銀行のインフレ目標率2.0%とそれほどかけ離れていません。前年は−0.2%とデフレだったため、2022年が現在も続く物価高の始まりだったことがわかります。

世界で物価上昇率が高い国トップ10

世界で物価上昇率が高い国ランキング上位10ヵ国は、以下のとおりです(2022年のデータがない国は除く)。こちらは、いわばインフレが進んだ国々といえます。

順位/国名/対前年上昇率
1 トルコ +72.3%
2 チェコ +15.1%
3 エジプト +13.9%
4 スロバキア +12.8%
5 チリ +11.6%
6 コロンビア +10.2%
7 オランダ +10.0%
8 ベルギー +9.6%
9 ブラジル +9.3%
10 スウェーデン・スペイン +8.4%

世界で物価上昇率が高い国トップ10

出典:総務省統計局「世界の統計2024」をもとにニッセイアセット作成 

ウクライナに近いこともあるからでしょうか、ヨーロッパが6ヵ国を占めています。2022年時点の数字ですが、上昇傾向がどこまで続くのか注目されます。

アジアにおける物価上昇率の低い国ランキング

アジアにおける物価上昇率の低い国ランキングは、以下のとおりです。

順位/国名/対前年上昇率
1 香港 +1.9%
2 中国 +2.0%
3 日本 +2.5%
3 サウジアラビア +2.5%
5 マレーシア +3.4%
6 インドネシア +4.2%
7 韓国 +5.1%
8 フィリピン +5.8%
9 タイ +6.1%
9 シンガポール +6.1%

アジアにおける物価上昇率の低い国ランキング

出典:総務省統計局「世界の統計2024」をもとにニッセイアセット作成 

アジアは他地域に比べると物価上昇率は落ち着いており、上位10ヵ国はすべて10%以内に収まっています。日本は香港・中国に次いで3番目に低く、率もわずかの差です。

アメリカ(北米・南米)・オセアニアにおける物価上昇率の低い国ランキング

アメリカ(北米・南米)・オセアニアにおける物価上昇率の低い国ランキングは、以下のとおりです。

順位/国名/対前年上昇率
1 エクアドル +3.5%
2 オーストラリア +6.6%
3 カナダ +6.8%
4 ニュージーランド +7.2%
5 メキシコ +7.9%
6 アメリカ +8.0%
7 ペルー +8.3%
8 ブラジル +9.3%
9 コロンビア +10.2%
10 チリ +11.6%

アメリカ(北米・南米)・オセアニアにおける物価上昇率の低い国ランキング

出典:総務省統計局「世界の統計2024」をもとにニッセイアセット作成

南米のエクアドルが最も上昇率が低くなっています。賃金コストの上昇などでインフレが話題になるアメリカですが、やはり物価上昇率は+8.0%と高く、経済規模が大きいだけにインフレを収束させるのは容易でないことがうかがえます。トランプ政権の今後のインフレ対策が注目されます。

ヨーロッパにおける物価上昇率の低い国ランキング

ヨーロッパにおける物価上昇率の低い国ランキングは、以下のとおりです。

順位/国名/対前年上昇率
1 スイス +2.8%
2 フランス +5.2%
3 ノルウェー +5.8%
4 ドイツ +6.9%
5 デンマーク +7.7%
6 アイルランド +7.8%
7 イギリス +7.9%
8 イタリア +8.2%
9 スウェーデン +8.4%
9 スペイン +8.4%

ヨーロッパにおける物価上昇率の低い国ランキング

出典:総務省統計局「世界の統計2024」をもとにニッセイアセット作成 

ヨーロッパはスイスが上昇率が低いほかは、+5~8%の範囲に収まる国が多いです。財政が優秀といわれるドイツは+6.9%とアメリカほどではありませんが、インフレが進んでいます。ヨーロッパはEU(欧州連合)で共同経済圏を形成している国が多いので、今後EUとしてどのようなインフレ抑制策を講じるのか注目されます。

2022年は、世界的にコストプッシュインフレが進みました。そのため統計に採用されているすべての国が対前年比で消費者物価指数が上昇しています。今後は、世界各国のインフレ収束状況が注目されます。

外国株式や外国債券など国外資産にも目を向けてみよう

本稿では、消費者物価指数にもとづく世界の物価上昇率ランキングを見てきましたが、水準の差こそあれ着実にインフレが進んでいることがわかります。特に2022年以降のコストプッシュインフレによる物価の上昇は、日本国内でも家計に深刻な影響を与えていることは周知の事実です。

2024年11月現在、インフレが鎮静化するにはまだ相応の時間がかかることが予想されます。現預金の資産価値を目減りさせたくない場合は、資産運用でインフレの影響を軽減することも、選択肢の一つではないでしょうか。



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