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【フェムテックとは】なぜ注目されている?言葉の意味や事例などをまるっと解説!

フェムテックとは、女性と技術を意味する単語を組み合わせた造語で、女性の健康課題を解決するために開発された製品やサービスを指します。

 フェムテックを活用することで、月経や妊娠、不妊、更年期など、女性ならではの課題を解決し、活躍推進をサポートします。

近年、テレビ・雑誌・Webなどのメディアで「フェムテック」という言葉が散見されるようになりました。

 経済産業省など公的機関においても取り上げられていますが、比較的新しい概念のためか、「名前はよく見聞きするけれど、どんな意味なのか知らない」「何を指している言葉なのかよくわからない」という人もいるかもしれません。

 この記事では、フェムテックとはどのような意味なのかといった基礎知識や、近年注目されている理由、具体的な事例、将来性などについてわかりやすく解説します。

そもそも「フェムテック」とは?

フェムテック(Femtech)とは、女性を意味する「Female」と、技術を意味する「Technology」を掛け合わせた造語です。[注1]

 女性の健康課題をテクノロジーで解決する製品やサービスの総称で、そのジャンルは多岐にわたり、女性のライフステージに合わせて以下のようなものがあります。

 [注1]経済産業省「令和2年度産業経済研究委託事業 働き方、暮らし方の変化のあり方が将来の日本経済に与える効果と課題に関する調査 報告書 (概要版)」p3

https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/R2fy_femtech.pdf

月経

約1ヵ月の周期で訪れる月経(生理)は、多くの女性の悩みの一つと言われています。

月経期間中やその前後は、ホルモンの影響で心身に不調を感じる場合も多いとされ、イライラやだるさ、むくみ、下腹部痛、腰痛などの症状に悩まされやすくなるようです。

妊娠・不妊

女性は妊娠すると、ホルモンバランスなどの影響から、つわりやむくみ、冷え、ストレスなどを中心とするさまざまな不調に見舞われやすくなります。

 また、日本では出産の高齢化が進んでおり、妊娠中のトラブルリスクが上昇しているほか、不妊に悩んでいる人も少なくありません。

 不妊治療を受ける場合も、仕事との両立が難しいなど、実生活に根ざした課題が生じているケースもあるようです。

産後ケア

産後うつとは、出産後にみられるうつ症状のことで、産後1年未満では産婦の約1割に認められています。[注2]

 最悪の場合は自殺など、産婦の生命にかかわることもあり、社会全体で取り組むべき深刻な課題とされています。

 [注2]経済産業省「令和2年度産業経済研究委託事業 働き方、暮らし方の変化のあり方が将来の日本経済に与える効果と課題に関する調査 報告書 (概要版)」p4

https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/R2fy_femtech.pdf

更年期

女性の閉経前後5年間(計10年間)を「更年期」と呼び、のぼせやほてり、発汗、気分の落ち込み、イライラなどの症状が現れ始めると言われています。

 更年期症状が原因で仕事に支障を来すケースもあり、昇進辞退や退職を余儀なくされることもあるようです。

婦人科系疾患

女性特有の疾患である乳がんは年間約33万人、子宮頸がんは年間約1万人の女性が発症する病気ですが、どちらも検診受診率は約40%に留まっています。[注3]

 多忙を理由に受診できないケースもありますが、なかには「検診は辛い、痛い」というイメージから受診を躊躇する人もいるようです。

 [注3]経済産業省「令和2年度産業経済研究委託事業 働き方、暮らし方の変化のあり方が将来の日本経済に与える効果と課題に関する調査 報告書 (概要版)」p5

https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/R2fy_femtech.pdf

セクシャルウェルネス

セクシャルウェルネスとは、セクシュアリティに関連する身体的、感情的、精神的、社会的幸福の状態を意味する言葉です。[注4]

 長らくタブー視されてきた当該分野は、他分野に比べると学術論文や調査などの情報が乏しい傾向にありましたが、近年は女性自身の価値観の変化により、セクシャルウェルネス製品・サービスの開発が進んでいます。

 [注4]経済産業省「令和2年度産業経済研究委託事業 働き方、暮らし方の変化のあり方が将来の日本経済に与える効果と課題に関する調査 報告書 (概要版)」p5

https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/R2fy_femtech.pdf

「フェムテック」が注目されている理由

フェムテックという言葉が今注目されている理由は、大きく分けて2つあります。

1. 女性の課題解決に対するニーズの急増

女性の月経や妊娠・出産、女性特有の疾病などは昔からある問題ですが、現代における女性の社会進出に伴い、以前に比べて女性の健康課題の解決に対するニーズが高まっているようです。

 ある調査によると、月経にともなう症状による1年間の社会経済的負担は、通院費用・OTC医薬品費用・労働損失などを合わせて計6,828億円に上るそうです。[注5]

 とくに労働損失は全体の70%以上を占めており、企業の経営に多大な影響を及ぼしていることがうかがえます。

 こうした社会背景に加え、世界中が取り組むSDGsのひとつに「ジェンダー平等を実現しよう」という目標が掲げられていることから、企業自らがフェムテックに注目し、福利厚生という形で取り入れる事例も増えてきています。

 [注5]経済産業省「健康経営における女性の健康の取り組みについて」p3

https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/josei-kenkou.pdf

2. 企業や自治体によるサービスの展開

「女性活躍推進」は働き方改革の柱の一つであり、企業や自治体はさまざまな形で独自の取り組みを行っています。

 商品開発力のある企業は、自らが率先してフェムテック商品を開発し、市場への流通に力を注いでいます。

 一方、自治体もフェムテック事業者と連携して、女性の健康課題への理解を深めるセミナーや講座を開いたり、女性の悩みに対応する相談窓口を開設したりしています。

 名のある企業や自治体の取り組みは、テレビやネットなどのメディアでも広く取り上げられ、フェムテックの知名度向上へとつながっているのではないでしょうか。

具体的にどんなものがある?事例を紹介

フェムテックにはさまざまな商品・サービスが存在しています。

 ここでは具体的な事例を4つご紹介します。

1. 低用量ピルのオンラインサービス

月経痛の緩和に役立つ低用量ピルは、これまで医療機関を受診して処方してもらう必要がありました。

 しかし、近年は低用量ピルのオンライン処方サービスが登場し、自宅にいながらピルを処方・利用することが可能になっています。

2. 不妊の簡易検査キット

不妊検査は非常にデリケートな問題であるため、検査してみたいと思いながらも実際の受診には高いハードルを感じている人も少なくありません。

 最近は不妊の可能性を自宅で簡易的にチェックできる簡易検査キットが流通しており、卵巣年齢や精子の運動率を検査することができます。

3. 遠隔健康医療相談サービス

産後うつの症状がみられる人は、医療機関で適切な治療を受ける必要がありますが、乳幼児を連れて通院するのは難しい、小さな子への感染症のリスクがある等のさまざまな理由により、なかなか受診できない人もいます。

 遠隔健康医療相談サービスは、インターネットを介して医師や看護師と対話し、心身の状態を診てもらうことができるサービスです。

 自宅で受診や相談ができるので、産後に「心身の調子がおかしいな」と感じた時点で気軽に利用できるところが利点です。

4. サプリメント

更年期になるとホルモンバランスが崩れやすくなり、心身にさまざまな不調が起こることがあります。

 大豆成分には、女性ホルモンと似た作用があると言われており、女性の健康をサポートするサプリメントとして発売されています。

まとめ

フェムテックは2016年頃にできたばかりの新しい市場ですが、潜在的なニーズが高かったこともあり、アメリカの調査によると、世界のフェムテック市場規模は、2019年の820億円に対し、2025年には5兆5,000億円にまで達すると推測されています。[注6]

 [注6]経済産業省「フェムテックに関する経済産業省の取組~フェムテックで企業が変わる、社会が変わる~」p3

https://www.ki21.jp/kobo/r3/kyomed/keisansyou_femtec_siryou.pdf

 女性活躍推進の観点からも、近年は女性ならではの健康課題を解決するための製品・サービスである「フェムテック」に注目が集まっているのではないでしょうか。

 ニッセイアセットマネジメントでは、「どのようにダイバーシティ推進に取り組むべきか」の検討を行うなど、SDGsに関する取り組みを積極的に実施しています。

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