50年前、1974年の初任給は7万8,700円!大卒・高卒の初任給の推移をグラフで解説
社会に出て初めてもらう給与は、誰でもうれしいものです。「海外に比べて賃金の伸び率が低い」といわれる日本ですが、2024年の初任給は50年前と比べてどれくらい伸びているのでしょうか。本記事では、大卒と高卒の初任給の推移についてグラフを交えながら解説します。
最新の初任給は?
50年前の初任給を見る前に最新のデータを確認しておきましょう。一般財団法人労務行政研究所が行った「2024年度新入社員の初任給調査」によると、2024年5月7日時点でデータを得られた東証プライム上場企業152社の学歴別初任給は下表のとおりです。
<2024年度学歴別全産業初任給>
社会的に賃上げの動きが出ているため、前年比+5%以上というまずまずの伸びを示しています。
1974年(昭和49年)の初任給はいくら?
今から50年前と比較してみましょう。今から50年前の1974(昭和49)年といえば、戦後初のマイナス経済成長になった年です。巨人軍の長嶋茂雄が現役を引退し、コンビニ最大手セブン-イレブンの日本1号店がオープンしたことなどが印象に残る年でもあります。
厚生労働省の賃金構造基本統計をもとにしたWebサイト「年次統計」のデータによると、1974年の大卒初任給は、7万8,700円でした。50年も経つとさすがにインフレが進み、先に紹介した2024年度の大卒初任給(23万9,078円)との比較では+203.8%となっています。
続く1975年(昭和50年)の大卒初任給は、8万9,300円と、前年比で実に13.5%伸びています。高度経済成長期の日本では給料が上がっていったようです。
大卒初任給の推移
ここからは大卒と高卒の初任給の推移についてグラフを交えて見ていきます。
Webサイト「e-Stat政府統計の総合窓口」にデータが残っている1976(昭和51)年~2019(令和元)年までの「企業規模別新規学卒者の初任給の推移」からグラフを作成しました。
<1976(昭和51)年~2019(令和元)年の男女別大卒・高卒初任給の推移>
はじめに大卒初任給の推移は、以下のようになっています。
男性の大卒初任給の推移
大卒男性の初任給は、1976年と2019年の比較で約125.7%伸びています。倍率にすると約2.26倍です。2003年に初めて20万円の大台に乗りしました。1992年までは前年比で3~5%程度の高い伸びを示していましたが、1993年以降は1%前後の伸び率で推移しています。
女性の大卒初任給の推移
大卒女性の初任給は、同じ比較で約136.2%伸びています。倍率にすると約2.4倍です。初めて20万円の大台に乗ったのは男性から遅れること13年の2016年でした。
高卒初任給の推移
次に高卒初任給の推移を男女別に見てみます。
男性の高卒初任給の推移
高卒男性の初任給は、1976年と2019年の比較で約119.6%伸びています。倍率にすると約2.2倍です。1993年に初めて15万円台に乗って以降、2019年の時点でも16万円台で高卒の初任給はあまり大きく増えていません。
女性の高卒初任給の推移
高卒女性の初任給は、同じ比較で約124.3%伸びています。倍率にすると約2.24倍です。伸び率は、男性と比較してやや上回っており、高卒の男女初任給格差は、ほぼなくなりつつあるといえるかもしれません。
高卒と大卒の初任給における差額の推移
最後に高卒と大卒でどの程度初任給に差があるのかについて紹介します。
男性における高卒と大卒の初任給の差額
男性における高卒と大卒男性の初任給の差額は、1976年と2019年の比較で約152.3%拡大しています。倍率にすると約2.52倍です。日本でも最終学歴による初任給の格差は大きく、2024年時点で金額にして4万円以上の差があります。
女性における高卒と大卒の初任給の差額
女性における高卒・大卒女性の初任給の差額は、同じ比較で約197.9%伸びています。倍率にすると約2.98倍です。
初任給にも影響を与える平均賃金は下落傾向
厚生労働省の「毎月勤労統計調査」によると、常用労働者1人平均月間現金給与額(事業所規模30人以上、サービス業含む)は、バブル崩壊後も伸び続け、1997年の42万1,384円でピークを打ちました。最新の2023年の平均月間現金給与額は38万6,982円で、いまだにピーク時の平均賃金を大きく下回っています。
この状況を称して「失われた30年」と呼ばれているのは、よく知られたところです。平均賃金の低迷は、当然初任給の伸びにも影響を与えると考えられます。
初任給は30年前から横ばい傾向、資産形成で賢く補おう
失われた30年の間、初任給の伸びはどのように推移したのでしょうか。厚生労働省の賃金構造基本統計によると、1994年の大卒初任給は19万2,400円でした。同調査は、2019(令和元)年で終了しているため、上記「2023年度新入社員の初任給調査」による2023年度の大卒初任給22万5,686円との比較では+17.3%となっています。しかし伸び率を年数で割った簡易的な年換算の伸び率は、0.6%と横ばいの傾向です。
これでは、この初任給の伸びでは、物価の上昇に追いつかない状況です。初任給が伸びないのであれば、それを補うための対策を考えなければなりません。そこで検討したいのが資産運用です。2024年1月から新NISA(少額投資非課税制度)もスタートし、多くの人が新たに資産運用を始めています。給与所得者に適した資産運用方法の一つが、銀行口座引き落としによる「積立投資信託」です。
毎月一定の買付金額を一定の日に銀行口座から引き落とされるように設定すれば、手間なく資産運用できます。新NISA制度の「つみたて投資枠」では、年間120万円までの投資から生じる売却益や分配金が非課税になります。給与振込口座を使って月10万円以内で積み立てていけば、税金を気にせず投資でき入金の手間もありません。
新NISAがスタートしたこの機会に資産運用を始めてみてはいかがでしょうか。
※本記事は2024年8月8日時点の情報をもとに構成しています。初任給の金額は調査媒体によって異なる場合があります。参考程度にご覧ください。
新NISAについてはこちらのマガジンもご参考にしてください