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ディズニーランドの1日券が1万円以上!?ダイナミックプライシングで安く買うポイント

2023年10月から東京ディズニーランドの1日券がついに1万円を超えることが話題となりました。大阪のユニバーサルスタジオジャパンも同年8月中旬から1日券が1万円を超えており、東西の人気テーマパークがそろって1万円超えとなったのです。これは単なる値上げではなく、ダイナミックプライシングによるものです。

本記事では、ダイナミックプライシングの主な事例やダイナミックプライシングをうまく活用して安く買うためのポイントについて解説します。

■安く買える絶好のチャンス「ダイナミックプライシング」が利用されているケース

ダイナミックプライシングとは、需要に応じて商品やサービスの価格が変動する仕組みのことです。東京ディズニーランドの場合は、来場者が多くなる繁忙期の価格を高くして逆に閑散期の価格を安くしています。これにより繁忙期の混雑緩和や売上増、閑散期には安くすることで来場促進の効果が期待できるというわけです。

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東京ディズニーランドのパークチケット価格を比べてみましょう。なお、以下の価格は2024年2月28日11:50時点のものです。

<3月>
平日:4日〜15日8,900円/18日〜22日9,900円/25日〜29日10,900円
土曜:10,900円
日曜:3日・10日9,900円/17日・24日・31日10,900円
祝日:20日9,900円

<4月>
平日:1日〜3日9,900円/4日・5日・30日9,900円/8日〜26日7,900円
土曜:6日9,900円/13日・20日9,400円/27日10,900円
日曜:7日9,400円/14日・21日8,900円/28日10,900円
祝日:29日10,900円

まず、平日でも月内で価格が違うことが見て取れます。3月後半の平日は高めです。おそらく卒業シーズンだからでしょう。4月の平日は月頭が高めで、以降は低めです。4月頭は入学式前の最後の春休みだからでしょうか。このように、需要と供給によって価格が変わっています。

東京ディズニーランド以外にも、さまざまな企業がダイナミックプライシングを導入しています。

●スポーツ観戦チケット

サッカーチーム「横浜F・マリノス」は、開催試合の入場券について、日程や席種、市況、天候、嗜好などをビッグデータで分析し、需要に応じたチケット価格を設定しています。そのため購入するタイミングによって観戦チケットの価格が変動します。

●航空券

航空券も東京ディズニーランドのようなテーマパークと同様に、繁忙期と閑散期が明確に分かれている傾向です。そこで多くの航空会社は、ダイナミックプライシングを導入し繁忙期と閑散期の間に価格差を設けています。

特にLCC(格安航空会社)では、その傾向が顕著で閑散期の販売促進としてセール運賃を設定し、非常に安い航空券が売り出されます。

●ホテルの客室料金

ホテルの稼働率も繁忙期と閑散期で大きく差が生じやすいため、ダイナミックプライシングを導入し需要の高い日程は価格が高くなる仕組みを採用しています。しかし、ホテルの宿泊料金がダイナミックプライシングによってあまりに大きく変動すると満足度の低下にもつながりかねません。そのため、例えばリゾートホテル大手の星野リゾートでは、その変動幅を抑える戦略をとっています。

同じダイナミックプライシングに対して異なる考えを持ち、それぞれに異なる戦略をとっていることも面白いところです。

●タクシー料金

タクシーも時間帯や時期によって需要が大きく変動するサービスの一つです。例えば一部のタクシー会社では、通常の運賃に対して最大5割引、もしくは5割増しの範囲で料金を変動させることができるダイナミックプライシングを導入しています。

スマートフォンの配車アプリを使ってタクシーを呼ぶ場合に限定されているため、利用者には事前に料金が告知される仕組みです。「乗ってから料金の変動に気づく」といったことのないように配慮されています。

■ダイナミックプライシングで安く買うポイント

ダイナミックプライシングは、導入側にとって全体的な売上向上というメリットが期待されています。需要が多い時期には単価アップにつながり、逆に需要が少ない時期には価格を下げることで販売促進効果が生まれます。すでに多くの業界で導入されていますが、繁忙期と閑散期の差が大きな業界ほど今後導入される可能性は高いでしょう。

またダイナミックプライシングは、導入側だけでなく利用者や購入者側にとってもメリットがあります。最大のメリットは、ダイナミックプライシングによって価格が安くなっているときに商品やサービスを購入すれば通常価格よりも安くなることです。

東京ディズニーランドのパークチケットの価格推移グラフ

東京ディズニーランドの場合であれば、上図のように「比較的来場者が少ない平日に行く」といった具合です。さらに平日でも、どの週に行くかで価格が大きく異なります。3月10〜16日の週であれば平日8,900円ですが、3月24〜30日の週だと10,900円で、差額は2,000円です。

前述したように、平日でも季節によっては需要が高いタイミング(学生が休みの期間など)があり、そういった時期は避けたいところです。

しかも、東京ディズニーランドの1日券が安くなっているということはテーマパーク内が比較的空いていることも意味しています。安く入場できるだけでなく混雑を回避できる可能性も高いわけです。価格の変動から混雑度を推測できることは、ダイナミックプライシングによる二次的なメリットといえるでしょう。

ホテルや航空券などについても同様で平日に旅行ができる人であればダイナミックプライシングの恩恵を受けやすくなります。全国の温泉旅館を検索できるサービス「ゆこゆこ」のキャッチコピーは、「気軽に、お得に、平日、何度もお出かけ」です。このキャッチコピーからもダイナミックプライシングの仕組みが伝わってきますし、平日に温泉旅行ができる人はその恩恵を享受しやすいことが分かります。

このように非日常的な商品やサービスを購入する場合だけでなく、私たちの生活にはすでにダイナミックプライシングが深く浸透していることがよく理解できたのではないでしょうか。その顕著な例の一つが、電気料金です。多くの電力会社には、1日を複数の時間帯に分類し夜の遅い時間帯になるほど電気料金の単価が安くなる料金プランがあります。

主にオール電化住宅向けの料金プランで、この仕組みを利用して夜間にお湯を沸かしたり、蓄電池に充電をしたりするなどの工夫をすることで家全体の電気料金を安くすることが可能です。

コカ・コーラの一部自動販売機では、深夜に価格が10円安くなるダイナミックプライシングが導入されています。今後は「時間帯だけでなく立地や需要の高まるタイミングなども考慮してダイナミックプライシングを拡充していく」との方針を明らかにしています。

これからの消費者は、ダイナミックプライシングがあることを念頭に「いつ買っても価格は同じ」と思わず、賢く買う立ち回りが求められそうです。

■安く買うことの大切さは、投資も同じ

ダイナミックプライシング自体は比較的新しい概念ですが、常に価格変動するのは経済の基本的な仕組みです。私たちが小売店で購入している商品の価格があまり変わらないとしても、その商品の製造コストや仕入れ価格は常に変動しています。つまり商品やサービスの価格は変動するものであり、安く買うためには一定の知識や工夫が必要になるということです。

これは、投資にも同じことがいえます。例えば投資信託の場合、安く買って高く売ることが基本的な戦略となるため、いかに安く買うかは投資家に求められるスキルとも言えます。

ダイナミックプライシングを知ることが、「いかに安く買うか」という意識を持つきっかけになるかもしれません。

投資信託について詳しく学ぶにはこちらもおすすめです。


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