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新NISAでは使えない商品があるらしいけど、影響はどうなる? ~ アセマネ会社によるNISA制度改正のポイント解説(4)

今回は新NISA(成長投資枠)で対象外となる銘柄の概要や、対象外となることでどのような影響が出てくるのかを考えてみたいと思います。


成長投資枠は一般NISAと同じ投資ができるわけではない

前号(アセマネ会社によるNISA制度改正のポイント解説(3))でもお示しした通り、これまで一般NISAで投資可能であった商品の一部が新NISAでは投資することができなくなりました。

株式については、整理銘柄や監理銘柄が対象外となりますが、短期の値ざや稼ぎ目的で利用されているとの批判もあったことに鑑みれば、それほど大勢に影響のあるものではないと思われます。

今回は、投資信託商品のなかで、対象外とされた3類型の内容と対象外とされることに伴う影響を考えます。

有期の商品が多く、あしもとで対象となる信託期間の商品は約3,000本

2023年1月末の公募株式投信5,796本のうち無期限または2024年1月時点で信託期間(残存期間)が20年以上ある商品は3,027本となっています。これだけみると、これまでの一般NISAで選択できていたものの約半数に絞り込まれているように映ります。

「これまで投資してきた、あの商品は今後NISAでは買うことができなくなるのではないか」という声も出てきそうですが、運用会社各社が提供する主力の商品については信託期間を延長し、引き続き投資ができるということもありそうです。

運用会社もNISA口座を通じて引き続き注力していこうとする商品については、2024年1月に向けて信託期間の延長を検討していくことになると思われます。

気になる商品については、信託期間の延長が行われるかどうかを運用会社のホームページなどで確認しておくと良いでしょう。

これまで信託期間は無期限か、もしくは20年未満という商品が殆どでしたが、NISAが個人資産形成の主軸となるなか、今後新たに組成されてくる商品は信託期間を無期限または20年以上とする商品が増えてくるものと思われます。

その一方で、公社債の満期と同様に信託期間をほぼ固定するタイプの単位型商品などは引き続き短期の商品として、NISAとは別に特定口座等で取り扱われることになりそうです。

毎月分配商品は約1,000本。少ないようにも見えるが、影響は大きい?

「資産形成層には向かない商品」と名指しされ、これまで残高が市場でも減少してきた毎月分配型商品ですが、2023年1月末には1,109本の商品が存在します。

複利効果がないことが忌避される主な原因でしたが、それでも公的年金の補完として、老後生活資金のための取崩し目的でご高齢の方等に根強い人気があると言われています。

分配金という定期的なキャッシュフロー(支払い)を「自動払出」機能とみなして、一般NISAでも投資をする方が少なくないようです。

しかし、今回の制度改正で、この毎月分配型商品がNISAの対象から外れ、これまで毎月の分配金で受け取ってきた定期的な資金の受け取りができなくなることになります。

資産形成層のように、NISA口座でこれから資産(含み益)を蓄積しようとする者にとっては、分配金による払出しを通じて非課税枠に無駄が生じてしまう可能性は嫌気され、毎月分配型商品が対象外となることも全く気にならないかもしれません。ただし、現在、毎月の資金受け取りを享受している毎月分配型商品の利用者にとっては影響の大きい変更となりそうです。

新NISAでどうやって定期的な支払いを作る?➀NISA口座で必要な金額だけ随時取崩し、➁NISA口座で隔月分配型商品に投資、③特定口座で毎月分配型へ投資

定期的な支払いを真に求めている利用者にとっては、この変更にどのように対応するのかが課題です。

旧NISAで投資済み(2023年分でも毎月分配型商品への投資は可能です。)の毎月分配型商品は5年の非課税期間の間は引き続き(旧)NISA口座で保有することができ、そこから生み出される分配金をもって、毎月の生活資金に充てることもできます。

しかし、一般NISAの非課税期間は長いもの(2023年分)でもあと5年。非課税期間終了後は現金化するか、特定口座等の課税口座へ移行することとなっており、新NISAへ移すことはできません。

遅かれ早かれNISAを通じた毎月分配型商品への投資はなくなってしまいますので、これに対処することを考えなくてはなりません。

その際の本道としては、分配を行わないタイプのNISA適格商品に投資するとともに、定期的に必要な分だけ、NISA口座から随時に取り崩(売却)して、現金化することでしょう。

必要な分だけ取り崩すわけですから、これが一番効率的ですが、これまで勝手に分配金という形で現金化されていたものを、自分で都度、取崩しを指示しなければならないのは億劫なことと思われるかもしれません。

金融機関のなかには事前に登録さえしておけば、定期的に商品を一部解約してくれるサービスがあるようですから、そういったサービスがあるかどうかもNISA口座開設先に確認すると良いでしょう。

次に、毎月ではないものの、隔月(1ヵ月おき)で分配金が発生する隔月分配型商品に投資を行う方法もあります。

公的年金の支給は原則として偶数月になりますから、奇数月の隔月分配型商品へ投資をしておくと、偶数月には公的年金の支払いが、奇数月には分配金の支払いを計画することができそうです。

ただし、やはり毎月の分配金での自動支払いを望むのであれば、2024年からは特定口座(課税口座)で毎月分配型商品へ投資することも一つの選択肢です。NISAでの非課税メリットは得られませんが、確定申告することにより配当控除を受けることができる場合もありそうです。

対象外とされるデリバティブ利用の商品は多くはないと思われるが、形式的な要件を満たすことが条件に。

対象外商品としてデリバティブ利用の商品が挙げられています。

デリバティブ利用の商品というと、いわゆるブルベア型の商品やオプションを使ったようなレバレッジの効いた商品などを思い浮かべますし、対象外とする趣旨としても利用者が意図せぬリスクを負わないように高レバレッジの商品を外そうというものと思われます。

このタイプの商品は決して多くはないため、対象外とされても影響は少ないように思われます。

しかし、様々なデリバティブの利用形態をひとつひとつ対象外か否かを判定するのは困難なため、NISA対象商品となるか否かは、商品の信託約款の記載内容で判定されます。

具体的には、デリバティブ利用を以下の3類型に限定することが信託約款に記載されているかどうかで判定されるようです。

➀ 投資対象とする現物資産を保有した場合の代替としての投資
➁ 保有する現物資産の価格変動や金利変動等により生ずるリスクのヘッジ
③ 先物外国為替取引に係る為替相場の変動リスクのヘッジ

「信託財産に属する資産の効率的な運用に資するため」といった表現を用いる信託約款もありますが、前述の3類型に限定されているか判然としないため、このままでは対象外とされてしまうようです。

デリバティブ利用の実態を再点検し、新NISAでの適格商品となるよう信託約款の見直しを行う商品も出てくるものと思われます。

運用自体が変更になるのでない限り、この信託約款の変更は投資家に影響を与えるものではありませんが、新NISA適格商品とするために運用自体の変更が行われる場合には、運用にどのような影響が出るのかをしっかり確認しておくことが必要でしょう。

NISA対象商品は公表される?

現在、つみたてNISAで利用できる商品は金融庁のNISA特設ウェブサイト(注)に公表されています。

新NISAにおいてもつみたて投資枠の対象商品はつみたてNISAを引き継ぐものとなりますから、引き続き同ウェブサイトに公表され続けるのかもしれません。

一方で、成長投資枠の対象商品は公表されるのでしょうか?

未だ詳細は不明ではありますが、対象商品であることの確認を投資信託協会が行い、確認の都度これを公表するようです。

2024年1月に向けて、新NISA対象なのか、対象外なのか、投資できる商品の全容も少しずつ目に見えるようになってくると思われます。

※公表されました(6月21日)。詳細は以下の記事をご参照ください。

(注)つみたてNISAの対象商品【NISA特設ウェブサイト - 金融庁】

今回は新NISAで対象外となる商品とその影響について考えてみました。

記事中、非課税メリット等についても言及している箇所もありますが、現時点で推定されるところに基づいて記しており、投資にあたっては、令和5年税制改正関連法等確定後の法令等に基づき、ご自身で判断いただきますようお願いします。

ちなみに、「そもそもNISAって、どういうものかわからない。」ときには、(未だ旧NISAに関する情報ですが、)日本証券業協会のウェブサイトで簡単にNISAのしくみ(「知っておきたいNISAのポイント」(注))が解説されていますので、参考になると思われます。

(注)知っておきたいNISAのポイント【日本証券業協会】

なお、今回の記事は筆者個人の見解であり、当社の公式な見解を示すものではありません。

投資等にあたっては各種の情報にあたり、ご自身の判断にて実行されますようお願いします。

次回は、つみたて投資枠の中心となる株式のみに投資する投資信託への集中の是非について考えてみたいと思います。

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【筆者紹介】
結城宗治:日本生命保険相互会社入社後、国内債券投資、財務企画を経験後、投資信託販売事業の立上げを担当。ニッセイアセットマネジメントでは投資信託企画の担当を経て、ファンドラップサービスGoalNaviを立ち上げ。DX推進担当。

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