お財布にある紙幣が実は高値で売れるかも!?長期投資の重要性を学ぼう
2024年7月3日に新紙幣が導入されます。現在おなじみになっている紙幣は、2004年にデザインが変更されたものなので実に20年ぶりのデザイン刷新です。もちろん旧紙幣もこれまで通りに使えるため、今すぐ流通している紙幣がすべて新しくなるわけではありません。しかしそれよりも以前の旧紙幣は、流通量が極端に少ない傾向です。
なかでも発行量が少なかった特定の年代の紙幣は、高値で取引されることもあります。そのためもしかすると自分が持っている紙幣が「実はお宝だった」という可能性もあるかもしれません。今回は、新紙幣に関する基礎知識とあわせて高値が付く可能性がある旧紙幣について解説します。
■紙幣に描かれる新たな顔ぶれとは?
2024年7月からお目見えする新紙幣では、描かれている顔ぶれも一新します。新たに紙幣の顔となる人物について、少しおさらいしておきましょう。
●一万円札:福沢諭吉から渋沢栄一へ
渋沢栄一(しぶさわえいいち)は、幕末から明治維新の時代にかけて日本の近代化に大きな功績を残した人物です。世界遺産にも登録されている富岡製糸場設立に関わったり日本で初めての銀行設立に関わり初代頭取に就任したりしたことが広く知られています。
設立や育成に関わった企業の数は、なんと約500社です。さらに約600もの社会貢献事業や教育事業にも関わっています。これらを考慮すると最高額の紙幣の顔となるのにふさわしい功労者といえるでしょう。
●五千円札:樋口一葉から津田梅子へ
津田梅子(つだうめこ)は、岩倉使節団の一員としてわずか6歳のときに米国への留学を果たし、米国で学んだことを伝えるために教師となります。24歳のときに再び渡米し、大学で生物学を学び帰国。帰国後は、女子英学塾を設立、これが現在の津田塾大学の前身となりました。女性の教育環境改善に尽力し、学問を通じた女性の地位向上に大きく貢献した人物として知られています。
●千円札:野口英世から北里柴三郎へ
北里柴三郎(きたさとしばさぶろう)は、医師として感染症の解明や治療法、予防法の確立などに関する功績をあげ、日本だけでなく世界から広く知られる偉人の一人です。大正時代には、慶應義塾大学に医学部を設立し、初代医学科長に就任。これ以外にも日本医師会など医学関連団体を多く設立し、病院など医療機関の設立にも広く関与しました。
日本医学の近代化に大きく貢献し、礎を築いた人物として今も高い評価を得ています。
●これまで紙幣に登場した人物は21人
日本で紙幣が誕生したのは、1881年(明治14年)です。当時の1円札に肖像画として登場し、日本初の「お札の人」になったのは神功(じんぐう)皇后です。「初代」の神功皇后を含めて、日本の紙幣に登場した人物は合計21人です。以下が、その人物一覧です。
1. 神功皇后(じんぐうこうごう)
2. 菅原道真(すがわらみちざね)
3. 武内宿禰(たけうちのすくね)
4. 和気清麿呂(わけのきよまろ)
5. 中臣鎌足(なかとみのかまたり)
6. 聖徳太子(しょうとくたいし)
7. 日本武尊(やまとたけるのみこと)
8. 二宮尊徳(にのみやそんとく)
9. 板垣退助(いたがきたいすけ)
10. 高橋是清(たかはしこれきよ)
11. 岩倉具視(いわくらともみ)
12. 伊藤博文(いとうひろぶみ)
13. 夏目漱石(なつめそうせき)
14. 新渡戸稲造(にとべいなぞう)
15. 福沢諭吉(ふくざわゆきち)
16. 紫式部(むらさきしきぶ)
17. 野口英世(のぐちひでよ)
18. 樋口一葉(ひぐちいちよう)
19. 渋沢栄一(2024年新紙幣)
20. 津田梅子(2024年新紙幣)
21. 北里柴三郎(2024年新紙幣)
皇族や歴史上の人物、学者、政治家、作家、医師など実にさまざまな人たちが紙幣に描かれてきました。中には日本武尊(やまとたけるのみこと)のように伝説上の人物の名前もあります。この一覧では、夏目漱石以降が現役の紙幣で伊藤博文以前はすべて過去の紙幣です。こうした過去の紙幣のなかには、流通量の少なさゆえに思わぬ価値を有するものもあります。
■一万円札が数倍に!古い新紙幣が高値で買取されている
2024年7月3日には、20年ぶりに新紙幣が発行されるわけですが、なぜこのように一定の期間ごとに紙幣は刷新されているのでしょうか。最大の理由は、偽造対策です。紙幣には、偽造を困難にするためにさまざまな工夫が凝らされていますが、偽造側の技術もどんどん向上しています。そこで一定の期間を経過したら新しい技術を盛り込んだ新紙幣を発行し、偽造を難しくしているわけです。
いたちごっこの様相を呈していますが、世界各国の紙幣も同様の理由で何度も刷新が行われています。このようにデザインが刷新されると刷新前の旧紙幣は発行されなくなります。刷新後もしばらくは流通しますが、新たに発行されることはないため、流通量が減ることはあっても増えることはありません。つまり旧紙幣は、時間が経過して流通量が少なくなるほど希少性ゆえに価値が高くなります。
有名なものでは、福沢諭吉に刷新される前の聖徳太子が描かれていた一万円札があります。当時は、五千円札と一万円札の両方に聖徳太子が描かれていたため、鮮明に覚えている人も多いのではないでしょうか。当時は、誰もが目にしていた聖徳太子の一万円札も福沢諭吉に刷新されてから20年が経過しています。
そのため流通量が少なくなっており、1958~1986年に発行された旧一万円札には最高で数万円の値が付くこともあります。これ以外にも、紙幣に刻印されている番号がゾロ目(111111、222222のように同じ数字が並んでいる)や印刷ミスや印刷ズレが見られる「エラー紙幣」も珍しいため、高値で取引されている傾向です。
YAHOO!オークションによると、以下のように高値で競り落とされています。
1.聖徳太子の旧紙幣一万円札(未使用)で番号が8のゾロ目のものが20万円で落札
2.聖徳太子の旧紙幣一万円札(未使用)で番号が000001のものが15万7,000円で落札
3.聖徳太子の旧紙幣一万円札(折れ目なし)で10枚連番のものが13万円で落札
※2024年3月5日時点
1のケースでは1万円が20倍で取引されたことになります。2のケースでも約15倍です。
表面と裏面で紙幣番号が異なるなど分かりにくい印刷ミスもあるため、それも含めて自分の持っている紙幣(特に旧紙幣)を一度チェックしてみてはいかがでしょうか。
■今あるものでも将来、量が少なくなるものには希少価値が生まれる
意外な高値が付いている旧紙幣やエラー紙幣について紹介しましたが、これら高値で取引されている紙幣に共通しているのは希少性です。数が少なく、しかも今後新たに供給されないものだからこそ、高い値が付きます。このように希少性が高値を生み出すものは、他にもたくさんあることをご存じでしょうか。
●希少性の高いヴィンテージワインが投資先に
ヴィンテージもののウイスキーやワインなども同様の理由から高値が付いていますし、切手や昭和のおもちゃなどにも多くのファンがいます。
例えば、英国のワイン取引プラットフォーム運営会社が公表しているワイン指数「Live-ex 1000 index」を見ると、2003年12月末を100として2022年10月末には485まで上昇しました。その後やや下がっていますが、2024年1月末で405となっています。20年かけて約4倍になった計算です。
これらは、いずれも趣味をベースとしたものですが、趣味以外にも希少性によって高い価値となっているものも少なくありません。代表的なものとしては、貴金属や不動産です。
●2000年から約10倍になった金(ゴールド)の価値
貴金属は、地球上において埋蔵量が限られており、特に近年高値が続いている金(ゴールド)については、地球上に存在する量が25万トン(理論値)とされ、これまでに20万トン前後が採掘されていると考えると、埋蔵されている量は5万トン前後だと考えられます。すでに5分の4を採掘していることになり、枯渇が現実味を帯びてきているといえるでしょう。
金は、安全資産の代表格ともいわれ、世界情勢が不安定になると金価格が上昇する傾向にあります。上図は、東京商品取引所の金先物価格の推移です。例えば、2000年ころは1,000円/gを切る価格でしたが、現在は1万円/gを超える水準にまで上昇しました。20年で約10倍になったことになります。金の枯渇が近づいてくると、さらなる価格上昇も期待できるかもしれません。
また不動産は、まったく同じ物件はないため、都心好立地のタワーマンションなどは代わりになるような物件が少ないことから高値でもすぐに売れてしまう傾向です。このように希少性がある商品は、価格が高くても買い手がいなくなることはないため、保有する価値のある資産といえるでしょう。
■数十年という長期保有が資産の価値を高める
古い紙幣は、あくまでも一つの例で、他にも希少性ゆえに価値が高くなる資産はたくさんあります。事実、金を長期保有してきた人はすでに値上がりによる恩恵を得ているはずです。今あるものでも将来、供給量が減ることが確定しているものを長期保有しておくと、古い紙幣のように希少価値が高まるかもしれません。
長期保有は投資の基本ともいわれていますが、古い紙幣の価格高騰はそのことを教えてくれているともいえるでしょう。
長期的な視点での資産運用には、おまかせ自動運用の「GoalNavi」がおすすめです。
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