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リスクって怖いもの?投資のリスクを理解してインフレに対峙しよう

読者の皆さんの中にはまだ投資に踏み切れない方もいらっしゃると思います。

その理由に「投資にはリスクがあるから」ということを挙げられる方も少なくないでしょう。

今回は「リスク」をテーマに見ていきましょう。


預貯金だと本当に損をしないのでしょうか?

お金を銀行に預けている人は多いと思います。
「銀行に預けておけば安心」と思っていませんか?

でも、最近は物の値段(物価)が上がってきています。商品の値上げもよくニュースになっていますよね。
会社でも物価の上昇に合わせて、給料を上げてくれるところが増えましたが、物価上昇率に追いついているでしょうか?
物価上昇ほどに給料が上昇しなければ、給料の価値はそれまでに比べて目減りしていることになるわけです。

では、銀行に預けたお金はどうでしょうか?

銀行に預けたお金は利息で少しだけ増えますが、現在は低金利でもありますので、物価の上昇と比べては増えません。預貯金は金額こそ減っていない(利息分だけちょっと増えた)かもしれませんが、実質的な価値は目減りしていることになります。

これは「損」しているともいえますね。

つまり、これまで(デフレ期)のキャッチフレーズ「貯蓄から資産形成へ」は資産を拡大させる取組みを促すものでしたが、これから(インフレ期)の「貯蓄から資産形成へ」は資産を防衛する色彩も出てきたと言えるでしょう。

リスクって何?

リスクとは「危険」即ち「損をすること(損をする可能性)」と捉えられがちですが、必ずしもそうではありません。

金融の世界ではリスクとは「リターンが不確実である(予測できない)こと」を表し、想定以上に利益が出ることも“リスク”となります。

下方向の可能性だけでなく、上方向の可能性も同様にリスクと見るわけです。

では、よく言われる「ハイリスク・ハイリターン」とか「ローリスク・ローリターン」というのはどういう意味でしょうか?

ここでいうリスクの「ハイ(High)」や「ロー(Low)」は、資産運用時に予想と違う結果になる可能性がどれくらいあるかを表しています。

預貯金の場合は決められた利息が付きます(固定金利商品であれば、決められた以上の利息が付いたり、逆に決められたものよりも少ない利息が付くことはありません。)から、発生する可能性に幅はありません。一方で株式投資などは年間で20%以上値上がりすることもあるでしょうし、短期間で10%以上の損失を抱えることもあるでしょう。

このように運用の結果、発生する利益・損失の発生する可能性の幅をもって、「ハイ」「ロー」といった分類が行われます。

期待したい「ローリスク・ハイリターン」

そうであれば、高い確実性で、高い収益率を挙げられるという商品を選びたいものです。

目指すは「ロー(ノー)リスク・ハイリターン」の商品。

しかし、そんな都合の良い商品はありません。

そんな商品があれば誰もがそれに投資しますから、その商品も値上がりしてしまいます。価格が上がれば、結局のところ「ハイリターン」ではなくなってしまいます。値段が高くなれば、利益が大きくないということです。このように、市場ではリスクとリターンの効率を比較して資金が移動しますので、結果的には「ローリスク」には「ローリターン」、「ハイリスク」には「ハイリターン」がセットになります。

だから、「ローリスク・ハイリターン」という投資商品を見つけたら、まずは疑ってみるべきでしょう。そんなムシの良い話はなかなか転がっているものではありません。

分散投資のはじめ

「でも、有価証券投資をすると物価上昇で目減りしてしまう以上に資産が減少してしまうかもしれないじゃないか」と不安になる声もありそうです。

であれば、インフレ期にどのように対応していくべきでしょうか?

有価証券投資は確実性が低く不安も大きいので預貯金を継続し、物価上昇による資産の目減りは仕方がないと諦めるのか、それとも資産が確実に目減りするのは困るので大きな損失が出るかもしれないが、投資を始めるのか。

しかし、別にこの2つの選択肢だけで考える必要はありません。

例えば、資産の半分は預貯金で継続しつつ、半分を投資に回すということも考えられるでしょう。

これが「分散投資」のはじめです。

分散投資とは

分散投資とは、その名の通り、投資を分けることです。

何を分散させるか、「銘柄分散」とか「地域分散」「資産分散」、少し毛色の変わったところで「時間分散」などがあります。

難しい理屈は避けて結果だけを言えば、複数のものに分けると、リターンは分けた銘柄や資産の平均値になる一方、リスクが平均より下がる(確実性が上がる)という傾向があります。

結果として、甘受するリスク対比で、相対的に高いリターンを得られる可能性があるため、資産運用の世界において、「分散投資」は基礎中の基礎として用いられます。

銘柄分散・資産分散・地域分散

それではそれぞれの分散を見ていきましょう。

銘柄分散:投資する銘柄を分ける

銘柄分散とは、投資する銘柄を分けることです。

Aという企業の株式だけに投資するのでなく、Bという企業の株式にも投資するというものです。AとBの株式は全く同じ動きをするわけではありませんから、リスクを下げる効果があります。

リスク低減の効果を図るには、動きの異なる銘柄(株式)に分けることが重要です。

資産分散:投資する資産を分ける

資産分散とは、投資する資産を分けることです。

投資というと、株式をイメージしがちですが、債券に投資することも可能です。

株式と債券の値動きは異なっており、リスク低減の効果が大きくなるといえます。

一般に分散投資というときには、この「資産分散」のことを指す場合が多いようです。

地域分散:投資する地域を分ける

また、投資する地域や国を分けることを「地域分散」とも言います。

株式や債券は何も日本だけのものではありませんので、アメリカや欧州などの株式や債券にも投資することができます。

地域や国ごとに値動きは異なりますので、こういった国や地域に分散させることで、リスクを下げることが可能です。

投資信託には、こういった複数の資産、地域、株式等に分散した商品が多くあります。

「○○国内株式ファンド」という名称の投資信託商品であれば、日本の株式に分散投資する商品でしょうし、「■■バランスファンド」という名称であれば、株式や債券を組み合わせた商品であることが伺えます。

投資信託は「目論見書(投資信託説明書)」というものがあり、そこに投資対象が何であるかが記載されています。

目論見書は、商品を提供している金融機関や運用会社のウェブサイトにも掲載されていますから、興味のある商品については、何に分散投資しているのかを確認すると良いでしょう。

時間分散:投資タイミングを分ける

同じ分散投資でも、投資タイミングを分けることを「時間分散」といいます。

価格が高いときに投資を開始してしまうとなかなか利益が増えていきませんが、価格が安いときに投資したとしたら、高いときに投資したよりも利益を獲得する機会が早くなります。

そのため、「いつ投資を始めたら良いの?」というタイミングを問う質問がよくなされます。

いつ相場が上昇・下落するかはわかりませんから、高値で投資してしまうことを避けるため、投資を複数回に分けて投資するのが「時間分散」です。

最高の投資タイミング(最安値)に集中して投資することができないかもしれませんが、高値掴みをしてしまう(最高値で一括投資をしてしまう)ことは避けられます。分散回数を増やせば、市場の平均的な価格で投資することができることにもなります。

これを規則的に行うのが「積立」です。

毎月の○日など定期のタイミングで投資を分散して行うものです。

同じ金額の投資をすることとしておけば、商品の価格が安いときにはたくさんの量(口数・株数)買えますし、商品の価格が高いときには買える量が減るということで、平均的には安い価格での購入をすることができると言われています。これを「ドルコスト平均法」といいます。

積立は少額でも可能ですから、「地域分散」「資産分散」「銘柄分散」した投資信託商品を積立で「時間分散」しながら投資を行うことは、相対的にリスクも抑えながら堅実にリターンを狙う投資として、投資初心者の方にお薦めと言えるでしょう。

一方で、短期間で大きなリターンを狙う投資には向いていませんし、分散させすぎると管理が大変になる可能性もありますので、あくまで投資の目的や期間にあったスタイルを選ぶことが大切です。

まとめ

足元の物価上昇など、これからの30年はこれまでの30年とは異なったものになるでしょう。

預貯金にお金を預けておいても問題なかった過去は必ずしも参考にはなりません。

今、老後生活資金の準備も含め、インフレに備えて何をすべきかをしっかり考えるべき時期に立ち、どのような選択をするかが誰もが問われています。

2024年1月から始まる新NISAや、iDeCoなど、次々と整えられる個人の資産形成支援策もうまく活用しながら、資産形成・投資を始めてみてはいかがでしょうか。

どのような選択をするのかによって、10年後・20年後の資産所得がどのようになるのかは変わってきます。

皆さんの資産形成が実りの多いものとなることをお祈りします。

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