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一生涯にわたる資産形成のヒント~④パートナー、シングルインカム~


会社員と専業主婦(夫)のご夫婦、家計の特徴は

今回考えてみるのは、会社員と専業主婦(夫)というご夫婦で、お子さんはいらっしゃらないというご家庭のマネープランです。

(これからお子さんがお生まれになる可能性があるご夫婦は、「一生涯にわたる資産形成のヒント~③パートナーと子ども、シングルインカム~」の項目も目を通してみてください。)

ふたりが仲良く、納得のいく形で、会社員である夫(妻)と、専業主婦(夫)との家事や仕事の分担をしているご家庭の場合、家計やマネープランの特徴はどのあたりでしょうか。

夫婦の家計は大きく余裕がある、というかたは多くないかもしれません。働いている方の年収にもよりますが、1人分の年収で生活に困らないくらい稼ぐことができていても、余裕をもったやりくりとはいかなかったり、貯金にまで手が回らないことが多いかもしれません。

前回記事でもご紹介しましたが、夫婦の人生を通じた家計収支を考えたとき、子どもひとりあたり2,000~3,000万円くらいの出費をイメージする必要があります。子育ての費用については節約をしても大きく減らすことが難しく(特に学費は節約できる余地があまりない)、2~3人の子育ては家一軒分建てられるくらいの出費になります。
今回のケースはこの費用が掛からない分、家計改善の可能性が大きいといえるでしょう。

もし、年収に対して支出の割合が多いなと感じる方は、年収に見合ったちょうどいい生活を意識してみましょう。
そして、少し未来のために貯蓄や投資をして資産形成をする感覚を持てると、今も将来も安心してお金のやりくりをできるようになると思います。

いわゆるモデル世帯の年金収入はどれくらいか知っておこう


さて、現役時代のお金のやりくりについて意識してみたところで、老後のお金のことも知っておきたいところです。

まず、公的年金の収入がどれくらいか確認してみましょう。会社員であった人は、厚生年金と国民年金に同時に加入しており、2つの年金を受け取れます。専業主婦(夫)であった人は、国民年金に加入しており(年収が一定以下なら働いていても国民年金保険料を納めなくてもよい。国民年金の第3号被保険者といいます)、1つの年金を受け取ることになります。

夫婦の合計年金額は厚生労働省のモデルでは月23.0万円です(2024年度)。一見すると少ないように感じますが、年金生活者の家計は出費がずいぶん下がりますのでそう心配する必要はありません。

たとえば、所得税や住民税は下がりますし、社会保険料も減ります。住宅ローンの返済が終わっていれば、その出費も不要になります。

年金生活者のご夫婦の平均的な支出は月約26.9万円と年金額を上回りますが、このうち教養・娯楽費・交際費(合計で月約4.4万円)を除いた実質的な生活費は約22.4万円です。おおむね、年金収入とバランスがとれてているということになります。
(※四捨五入の関係で合計が一致しない。データは総務省 家計調査年報(家計収支編) 2022年より)

このように会社員と専業主婦(夫)というご夫婦で、お子さんはいらっしゃらないというご家庭では、基本的な老後のやりくりはあまり心配しなくてもいいので、老後に向けて考えていくのは、自分たちのゆとりや生きがい、余裕を作るための資産形成だといえそうです。

先ほどの月約4.4万円の教育費・娯楽費・交際費などの予算は老後の旅行資金や外出費用となりますが、人生100年時代をみすえれば、およそ1,848万円必要ということになります(35年分で試算)。

このとき、老後の助けとなるのが定年退職時にもらえる退職金です。多くの会社は、退職金や企業年金制度を設けており、各社ごとの規程にもとづき退職金や企業年金が支給されます。まずはこの水準をチェックしたうえで、老後に向けてどれくらいの資産形成を目指すか考えてみましょう。

なお、自身の年金額はねんきん定期便(誕生月に届く)、ねんきんネットなどで見込額を確認することができます。

ご参考:ねんきんネット

ふたりの人生を長く楽しむために、今よりも多く資産形成を考えてみよう

先ほど、目安としての「老後に2,000万円」に近い数字が登場しましたが、お子さんがいらっしゃらないご夫婦の老後を考えたとき、もう少し厚めに経済的余裕を作っておくことをおすすめします。

まず、老後の医療や介護の費用は少し多めに見積もっておく必要があるかもしれません。子どもに介護をサポートしてもらったり、通院に同行してくれるようなことを、夫婦で支え合うだけでなく外部サービスを利用してやりくりするとすれば、そのための費用を確保しておく必要があります。

心配なのは、どちらかが先だったあと、残されたパートナーが不安なく過ごせるようにしておくためのお金の準備です。例えば、終身介護の老人ホームに入居することができれば、大きな心配は解消されます。そのための予算があれば安心です。

こうした老後のお金の余裕を上乗せしたいとすれば、やはり退職金だけでは十分ではありません。

毎月定期的な積立をしたり、ボーナスごとに積立をして、老後に備えていく必要があります。

積極的に利用したいNISAとiDeCo

こうした資産形成に積極的に利用したいのは、やはり税制優遇のある2つの制度になります。NISAとiDeCoです。いずれも運用収益が非課税となるため、資産形成に採り入れたい制度です。

2024年1月からリニューアルしたNISAは、総枠1,800万円(購入時の価格で判断)、年最大360万円まで投資ができます。まずはNISA口座を開設し、無理のない範囲で積立の投資をしていきましょう。投資信託を活用すれば少額からの積立ができ、グローバルな分散投資も手軽に行えるのが魅力的です。

iDeCoは積立枠が小さいので(会社員の場合、会社の企業年金制度の有無にもより異なりますが最大で月2.3万円、専業主婦(夫)は月2.3万円が上限)、夫婦で2口座を開設しておくことが積立ペースのアップにつながります。

ただし、専業主婦(夫)あるいは社会保険の適用を受けずにパート等で働いている人は、iDeCoでの所得税や住民税を軽減するメリットはありません。これは、そもそもの税金を納めていない状態なので、節税効果もないということです。2人分のiDeCoまでは、、という場合は、会社員の方のiDeCo口座だけでも開設し、満額の積立をしてみてください。こちらは所得税や住民税の節税分、老後の財産が増えることになり効果的な資産形成となります。もちろん投資信託商品も活用することができます。

資産形成において、銀行預金などの安全資産は低金利状況が継続しており、物価上昇に追いつかない時期が続いています。物価の上昇は将来の必要額をもアップさせることになります。

仲の良いふたりの未来も楽しく過ごせるように、投資の力を借りつつ積立をしてみることをおすすめします。

【筆者紹介】
山崎 俊輔:フィナンシャル・ウィズダム代表 ファイナンシャルプランナー
1972年生まれ。中央大学法律学部法律学科卒業。企業年金研究所、FP総研を経て独立。企業年金連合会調査役として確定拠出年金の調査、制度改善要望等を担当。老後の年金や退職金制度も考慮したトータルな資産運用プランを提案。1級DCプランナー、消費生活アドバイザー。

・当資料で、筆者の紹介のある記事においては、掲載されている感想や評価はあくまでも筆者自身のものであり、ニッセイアセットマネジメントのものではありませんが、ニッセイアセットマネジメントと筆者との間でこれらの表示に係る情報等のやり取りを直接的又は間接的に行っているため、実質的にはニッセイアセットマネジメントの広告(「不当景品類及び不当表示防止法」におけるニッセイアセットマネジメントの表示)等に該当する場合がございますので、ご留意願います。

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