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一生涯にわたる資産形成のヒント~③パートナーと子ども、シングルインカム~


子育てはお金がかかる!子ども2人の学費は家一軒分?

子どもの誕生は夫婦の人生にとってうれしいライフイベントです。
あなたのスマートフォンのフォトライブラリはランチや自撮りで埋まっていたものが、子どもの写真で占められていくようになるかもしれません。

子どもの成長はうれしいことですが、一方で「新しいお金の問題」になってくることもあるようです。
未就学児であっても食費や被服費がもうひとりぶん増えることになりますから、家計の支出はアップします。

小学校になってくると習い事が始まったり、塾に通わせるようになれば月数万円を超える固定出費が追加されることもあります。
さらに教育費負担が高まるのは高校や大学に進学する7年間です。
様々な無償化制度などの負担軽減があるものの、それでも負担ゼロとなるわけではありません。

文部科学省の「令和3年度 子供の学習費調査」によれば、幼稚園から高校までの学習費の総額を約574万円としています(すべて公立の場合)。高校を私立とすれば約736万円にアップ、もちろん中学や小学校から私立とすればもっとお金がかかります。

大学の4年間について、日本政策金融公庫「教育費に関する実態調査」によれば、680万円かかるとしています。15年分の学費と同じくらいが、大学の4年でかかるというわけです。こちらも国公立か私立か、私立なら文系か理・医系かによっても負担が大きく変わってきます。

これ以外にも食費や被服費、教養・娯楽費、おこづかいなどなどがかかってきますので、すべてを合計すれば子どもを社会人になるまで育て上げるには2000万円くらいはかかるといっていいでしょう。

2人の子が生まれるということは家一軒分くらいのお金を確保し、養育していくということでもあります。

子どもはあなたの老後の経済的支えにならない

ところが、子どもにいくらお金をかけたとしても、子どもはあなたの未来の貯金箱にはなりません。

かつて、高度経済成長のあった時代には、無理をして子どもを大学まで育て上げれば、その子どもが自分以上の年収を得て仕送りをして引退後の生活を支えてくれる、というケースが多く見られました。

その前提となったのは、親自身の年収を、首都圏に出て会社員となった子の年収のほうが上回って逆転していくようなキャリア設計です。

現在、このようなシチュエーションは基本的に成り立ちません。親子のどちらも会社員である場合、40~50歳代の親の年収を、20歳代の子の年収のほうが高いことはあまりないようです。

これは1970年代と2020年代を比較したときに見逃せない大きな社会変化です。今の時代、子は親に仕送りをする余裕があるケースはまれだと思われます。

これはつまり、「子育てをするお金」のやりくりと「自分の老後のゆとりを作るお金」の準備とは同時並行で取り組む必要がある、ということです。

老後の支えを考えると、会社員(厚生年金+国民年金)と専業主婦(夫)(国民年金)が将来受け取る年金の合計額では日常生活費をやりくりすることができても、老後はあまり余裕のない家計収支となりそうです。

一時期、「老後に2000万円」という数字が話題となりましたが、老後の趣味や生きがいの予算として月4~5万円を想定し、長い老後生活を30年とおくと、1680~1800万円程度が必要な資金となります。この資金を準備するには一般的な会社の退職金だけでは十分とはいえず、老後のための資産形成も必要となってきそうです。

年収アップを目指して共働きの検討をしてみよう

今回のコラムは、子育ての負担などを考慮するなどして、夫婦のひとりが会社員等で仕事に専念し、ひとりは専業主婦(夫)として家事育児に専念している家族向けのアドバイスとなっています。

本人の体調の問題、あるいは親の介護の問題などで再就職が難しい場合は無理を申し上げるつもりはありませんが、もし、子どもが大きくなってきて子育てにも余裕が出てきたら再就職を検討してみるのもよいかもしれません。

もう一度共働きになることで、世帯の合計年収を大きく増やすことができます。

働く時間の都合などで正社員が難しい場合は、体調や家事育児とのバランスを考えながらパート等の働き方を目指してみましょう。月収8万円(年収106万円)がいわゆる「年収の壁」ですが、今は助成金が出て、実質マイナスにならないよう配慮されています。まずは自分にできる範囲での働き方を考えてみてください。

自助努力の資産形成、まずは「積立定期預金+積立投資信託」を考えてみよう

資産形成を考えるとき、基本的には「積立」を考えます。一朝一夕に資産は積み上がってくるわけではありません。また運用収益に過度に期待することも禁物です。

大切なのはこつこつと毎月一定額を積立していくことです。積立定期預金や積立投資信託などは、自動引き落としの設定が可能です。
自動で引き落とすことは積立忘れを防ぐだけではなく、サボってしまいたくなる心を戒める効果もあります。

例えば「1カ月やりくりをして、給与振込日の前日に残った額を貯金しよう」と考えるとなかなかうまくいきません。どうしてもぴったり使ってしまうものですし、残しておくのは辛く感じてしまいます。

ところが「給与振込日の当日もしくは翌日に積立をする」と決めておくと、お金は自動的に口座を移動していきますから、ストレスなくお金を貯められるのです。コツは無理のない金額を給与振込日から日数を空けずに積み立てることです。

そして、定期預金で安全に積み立てていくお金だけでなく、投資信託などを通じて運用をしながらお金を積み立てていく枠を考えてみると理想的です。

資産形成に利用したいNISAやiDeCo

教育資金準備について投資の力を利用するかは難しい問題です。短期的には、マーケットが急落することにも注意しなければなりません。「来年の春には入学」「すでに大学に在学中」のようなケースで、投資をして増やして学費負担を軽くしたいと考えるのは危険です。
一方で、長期目線で資産形成を心がけるのであれば投資を活用してもいいでしょう。投資と言えば株(個別企業の株式)のイメージからリスクが高い印象もありますが、投資信託を活用して分散投資を行うことで値動きの変動するリスクは抑えられます。少額からの購入もできるので定額の積立設定もしやすいこともメリットです。

このとき、投資信託を「どの口座で買うか」を考えてみましょう。具体的にはNISAとiDeCoの活用です。

NISAは少額投資非課税制度のニックネームですが、運用収益に課税されないことが最大のメリットです(通常は、20.315%課税される)。個人が資産運用を行うに当たっては、NISA口座を開設し、そこで投資をすることをオススメします。

年間の投資上限は、360万円(つみたて投資枠年120万円、成長投資枠年240万円)です(総枠は購入時価格1800万円まで)。NISAは解約時期の制限がないので、教育資金目的でも老後資金目的でも広く利用することができます。

自分たちの老後のための備えを考えたい場合に優先的に利用したい制度としてはiDeCoもあります。こちらは個人型確定拠出年金の愛称です。こちらは60歳以降でなければ解約できない制限があることに注意が必要です。教育資金目的ではなく自分たちの老後のため、という活用が基本となります。

iDeCoは運用益が非課税であるだけでなく、毎月の掛金が所得税や住民税の計算から除外されるという節税効果がプラスされるのが魅力です。所得税や住民税は年収等にも影響しますがおおむね20%以上が課税されますので、非課税になる分、お得にお金を増やせることになります。

子どもの夢、自分たちの楽しい老後実現のために早めの資産形成を

できれば世帯の年収を増やし、その力を子どもの教育資金準備や自分たちの老後の準備に振り向けていきましょう。早く気がつき、早く資産形成をスタートさせることが大切です。理想的には小学校への入学より早く、幼保無償化の対象となるタイミングから始められることです。子どもが高校に入学したあとは積立をする余裕も減ってしまいますし、運用によるリスクを取ることも難しくなります。早く気づいて、長い期間投資の力を活用することができれば、きっと「子どもの進学の夢」「自分たちの楽しい老後実現の夢」は両方実現するはずです。

【筆者紹介】
山崎 俊輔:フィナンシャル・ウィズダム代表 ファイナンシャルプランナー
1972年生まれ。中央大学法律学部法律学科卒業。企業年金研究所、FP総研を経て独立。企業年金連合会調査役として確定拠出年金の調査、制度改善要望等を担当。老後の年金や退職金制度も考慮したトータルな資産運用プランを提案。1級DCプランナー、消費生活アドバイザー。

・当資料で、筆者の紹介のある記事においては、掲載されている感想や評価はあくまでも筆者自身のものであり、ニッセイアセットマネジメントのものではありませんが、ニッセイアセットマネジメントと筆者との間でこれらの表示に係る情報等のやり取りを直接的又は間接的に行っているため、実質的にはニッセイアセットマネジメントの広告(「不当景品類及び不当表示防止法」におけるニッセイアセットマネジメントの表示)等に該当する場合がございますので、ご留意願います。


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