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行動経済学における「ナッジ理論」を活用した、UX(ユーザーエクスペリエンス)の重要性

こんにちは。ニッセイアセットマネジメント公式note編集部です。

最近、新聞・ニュース等でもよく見かけるようになった「ナッジ」という言葉、皆様はご存じでしょうか?
筆者も、「迷っている時に、そっと背中を押してあげる仕掛け」くらいの認識はありますが、もう少し掘り下げて理解することで、「ナッジ理論」を積極的に活用したUX(ユーザーエクスペリエンス)を設計し、当社サービスをより良くして行きたいと考えています。

ナッジ(nudge)理論とは?

ナッジ理論は、行動経済学が専門の経済学者リチャード・セイラー教授と法学者キャス・サンスティーンによって2008年に提唱され、セイラー教授が2017年にノーベル経済学賞を受賞したことで一層注目されるようになりました。

そもそも「ナッジ(nudge)」は英語で、"(注意を引くためひじで)〈人を〉そっと突く[押す]"(研究社 新英和中辞典)という意味です。
一言でいえば、「人が本能的に持つ心理的バイアスを理解し、正しい方向に”そっと突く”」というのが、ナッジ理論と言えそうです。

活用事例

実際にどのように活用されているのでしょうか。金融とは少し離れた取り組みになりますが、「がん検診の受診率向上」のために、厚生労働省がまとめた資料「受診率向上施策ハンドブック明日から使えるナッジ理論」が非常に参考になります。(出所:厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000506623.pdf

この中で、質問の見せ方によって「がん検診の受診率」を改善させた福井県高浜町の取り組みが紹介されています。
高浜町は、それまで特定検診のオプションのように見えていた「がん検診」を、特定検診とセットに見せることで、受診率を大幅に改善させています。
そこで活用されているのが、質問方式「Opt-in(オプトイン)」「Opt-out(オプトアウト)」による、同意率の違いです。

  • 「Opt-in(オプトイン)」:サービス等への申込を希望する場合に、ユーザーに能動的にチェックさせる方式

  • 「Opt-out(オプトアウト)」:サービス等への申込を希望しない場合に、ユーザーに能動的にチェックさせる方式

高浜町では、このオプトイン方式をオプトアウト方式へ変更、つまり「がん検診」を初期値(デフォルト)とすることにより、同意率の改善に成功しています。

「EAST(Easy, Attractive, Social, Timely)」フレームワーク

ナッジ理論を実際のビジネスの現場で使いやすいよう考え出されたフレームワークが「EAST(Easy, Attractive, Social, Timely)」です。英国内閣府の傘下組織である The Behavioural Insights Team(BIT) ※が考案したもので、具体的には以下のようなアプローチ方法です。

Easy(カンタンに)

ユーザーが正しい選択ができるよう、意思決定のプロセスをカンタンにしたり、情報をわかりやすく整理したりすることです。

冒頭の「Opt-in(オプトイン)」「Opt-out(オプトアウト)」の例も、ユーザーにサービス等の申し込み選択を能動的にさせるのではなく、初期値(デフォルト)を「申し込み」と設定することで、ユーザーが選択する手間を省き、カンタンな意思決定を可能としています。

Attractive(魅力的に) 

ユーザーが行動を起こした際のインセンティブ(ご褒美)の設計です。人の”損失回避性”を提唱した「プロスペクト理論」を活用した事例が多いようです。例えば、以下のような選択肢をユーザーに提示した場合、どちらが多く選択されるでしょうか。

  1. 研修を受講すると、1万円もらえる。

  2. 研修を受講しないと、現在給付されている自己啓発補助費(1万円)がもらえなくなる。

人は、何かを得る喜びよりも、失うことの辛さを回避する傾向にあるようで、同じ1万円という経済価値でも、2.を選択するケースが多い、というのが本理論の考え方です。

「受診率向上施策ハンドブック明日から使えるナッジ理論」では、東京都八王子市の「大腸がんリピート検診受診率の改善」事例が紹介されており、「検診に行くと、来年度『大腸がん検査キット』がもらえる」グループと、「検診に行かないと、来年度『大腸がん検査キット』がもらえなくなる」グループと分けて検診の受診状況を調査したところ、後者のグループの方が受診率が高かったそうです。

Social(社会的に)

まわりの人の行動や発言に影響を受けることを意識して、施策を考えるアプローチです。
「既に●%のお客様に選ばれています」や「多くの方が△しています」というメッセージは、日常的によく目にするのではないでしょうか。

また、”社会”を活用する方法として、「友人に約束する」や「宣言を公表する」という手段は、禁煙やダイエットの成功に有効なようで、実際に禁煙を公に宣言することで禁煙成功率を高めるための「禁煙宣言書」が、多くの健康保険組合で導入されています。

Timely(タイムリーに)

ユーザーが正しい選択をするためには、背中を押すタイミングをしっかり見極めることも大切です。ユーザーが関心を持つタイミングで、適切なアプローチができれば、正しい行動をしてくれるはずです。例えば、人事担当者が「スキルアップ研修」の受講案内を社員に送付する際、受講率を高めるとするなら、ただ単に、決められたタイミングで決められたメッセージを送るのではなく、ユーザーの心理状態を想像しながらアプローチするタイミングを考える必要がありそうです。

当社目標達成型資産運用アプリ「Goal Navi(ゴールナビ)」でのナッジ理論活用について

当社においても相場変動のタイミングで「Timely」にメッセージを出したり、他のユーザーの申し込み状況等を適切にご案内したり、様々なアプローチ方法でみなさまに最適なご選択をいただけるよう、検討を続けて参ります。

引き続き、「Goal Navi(ゴールナビ)」を、よろしくお願いいたします。

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