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ニッセイアセットマネジメント版生成AIチャット活用コンテストを開催しました。~①開催概要編~

当社では、ChatGPTを始めとした「言語生成AI」や「LLM(Large Language Model:大規模言語モデル)」の活用に積極的に取り組んでおり、今年の8月にセキュアな環境で利用できるニッセイアセットマネジメント版生成AIチャットをリリースし、社内で利用しております。

今回は、「生成AIチャット」の利活用推進を目的に、今年の9月8日から10月26日までの約2ヶ月間実施した『第3回DXブートキャンプ(生成AIチャット活用コンテスト)』についてレポートいたします。

「ChatGPTがすごいのはわかるけど、社内でどのように活用すればよいかわからない」というIT・DX部門の方や、「社員の言語生成AIやLLMに関するリテラシーを高めたい」とお考えの人事部門の方に、ご参考にしていただければ幸いです。

『DXブートキャンプ』とは?

ニッセイアセットマネジメントでは、2年前から、DX人材の育成DXプロジェクトの発掘を目的に、『DXブートキャンプ』を開催しています。

第1回、第2回は、チーム内でのディスカッション・プロトタイプ(MVP)作成・プレゼンというグループワークが中心の、一般的なビジネスコンテストの形式で開催しましたが、今回はテーマが「言語生成AI(ChatGPT)」「LLM」ということもあり、多くの社員・業務に影響を及ぼすと感じ、個人でも参加可能な「コンテスト」形式での開催といたしました。

『第3回DXブートキャンプ(生成AIチャット活用コンテスト)』概要

『第3回DXブートキャンプ(生成AIチャット活用コンテスト)』概要、運営体制等についてご紹介します。

ゴール設定

ゴール設定

筆者は前職を含め、社内アイデアソン、ハッカソンを何度か運営したことがあります。その経験の中で、イベントの目的・ゴールを明確化し、参加者・評価者で共有することは非常に大切だと感じています。目的やゴールが明確でなく、共有もされていない場合、成果物の方向性がバラバラになり、参加者、評価者双方にとって、イベントに対する満足度が下がることになりかねません。

今回は、「言語生成AI(ChatGPT)」や「LLM」と親和性が高いと考えられる「社内業務」に焦点を絞り自身の携わる業務について課題を設定し、効率化や付加価値向上アイデア・ソリューションの創出することをゴールに設定しました。

全体の流れ

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1.初学者・中級者以上でのコース分け
既存の知識・スキルレベルにある程度のばらつきが予想される場合、レベルに合わせたコース分けがおすすめです。

アイデア・ソリューション創出の社内イベントでありがちな問題として、「知識・スキルレベルの偏りによる、一部社員への依存」というものがあります。社内にエンジニアが少ない(いない)企業では、例えば社内ハッカソンでモックアップを作成する際にも、どうしても限られたプログラミングスキルがある社員に頼りがちになってしまいます。

イベントを円滑に進めるためには、知識・スキルレベルにあったコースを用意し、メンバー自身で参加コースを選んでもらうことで、このような問題をなるべく発生しないようにしました。


2.全社員向け「レクチャー」と、参加メンバーとの「個別セッション」
今回のイベントのテーマである「言語生成AI(ChatGPT)」については、既にメディア等で大きく取り上げられていることもあり、多くの社員が参加しやすい「馴染みのある」テーマである一方、「チャットに打ち込めば、なんでも自動で作ってくれる魔法の箱」というイメージを持っている社員も少なくなく、言語生成AI(ChatGPT)の仕組みや得意領域について、しっかりと体系立ててレクチャーする必要性も感じていました。

また、「言語生成AI(ChatGPT)」について「チャット」のイメージが先行するあまり、「自分の業務にどのように活用したらよいかわからない」という社員が多くいることも分かっていました。

そこで、多くの社員に「言語生成AI(ChatGPT)」や「LLM」に関する正しい理解をしてもらう目的で、誰でも参加できる「レクチャー」を複数回実施しつつ、メンター陣(社員4名)が、参加メンバーに寄り添い、設定した課題に対する「言語生成AI(ChatGPT)」や「LLM」の活用方法を一緒に考える「セッション」を数多く設けました。


社員メンター陣

アイデアソン・ハッカソンやビジネスコンテストを社内で実施しようとする場合、外部の研修企画会社に委託したり、外部講師を招聘したりするケースが多いと思います。

今回のイベントにおいても、主に中級者以上向けとなる「LLMの専門的な理論」や「プログラム開発における実践的な箇所」については、”LLMラボ”を持つ「株式会社ナウキャスト(※)」様へ講師を依頼しましたが、その他は全て社員がメンターとなり、自身の本業が忙しいなか、非常に数多くのセッションをこなしてくれました。

※ナウキャストCEO辻中様の記事

社員がメンターとなるメリットは大きく3つあります。

メリット1:参加メンバーが設定する「課題」への理解が早い
例え同じ部署で働いていなくても、社内独自の枠組みや背景などを理解している社員であれば、より早く課題を理解することができます。

メリット2:課題を取りこぼさない
参加メンバーの中には、「課題」を細かく分析できていない方も多くいます。メンター陣には、丁寧に、かつ辛抱強く参加メンバーと対話を重ねながら「課題」の分析を行っていくことが求められます。社員であれば、同じ会社で同じ目的に向かって一緒に働いている仲間として、しっかりと寄り添うモチベーションが維持されやすいと思います。

メリット3:メンター自身の財産になる
筆者自身もメンターとして参加メンバーとのセッションに参加する中で、様々な部署の方とコミュニケーションし、実際に行われている業務を目の当たりにすることができました。日常的に業務をこなしているだけでは、なかなか得ることのできない幅広く濃密な知識を吸収でき、自身の本業(DX推進業務)に大いに役立っています。きっと他のメンターも同じことを感じているはずです。

「メンターをやってください」と言われると、「圧倒的な知識と経験で、参加メンバーの悩み全てに対応しないといけない」とか、「高度なスキルで、的確なソリューションを提案しなければならない」など、身構えるかもしれませんが、「メンター」の本来の役割は「信頼できる相談相手」です。参加メンバーの話をしっかりと聞くことができる方であれば、知識・スキルレベルや経験は、それほど問われないのではないかと思っています。


コンテスト

冒頭でお伝えした通り、今回のイベントでは、「言語生成AI(ChatGPT)」や「LLM」を活用した業務効率化や業務の付加価値向上に関するアイデア・ソリューションを数多く集めるため、個人の参加も可能なコンテスト形式としました。

このような開催方式とすると、「空想的なアイデア」「コンテストの対象テクノロジー(今回でいえば言語生成AI(ChatGPT)やLLM)と関係のないソリューション」が集まってしまう、ことがよくあります。
案件化が困難な活用方法やソリューションばかりが集まってしまうと、効果測定が非常に難しいイベントになってしまいます。

そうならないよう、以下のポイントを念頭に、セッションを通じて参加メンバーを上手く誘導するとともに、コンテスト応募時の記載内容についても様々な工夫を施しました。

【的外れなアイデアが集らないようにする ポイント①】:解像度の高い「課題設定」
例えば「特定のウェブサイトから数値をコピーして、エクセルに貼り付けている」業務を課題に設定したとします。

一見すると、具体化された課題のように感じますが、業務の一連の流れを把握するには、これだけでは不十分です。そこで、コンテスト応募フォームでは「インプット」と「アウトプット」を明確に記載してもらうようにし、セッションでも参加メンバーに対して徹底的にヒアリングを実施しました。

先ほどの例で改めて考えてみます。
「インプット」は“特定のウェブサイトの数値”で、「アウトプット」は“エクセルファイル”なのでしょうか?参加メンバーに話を聞いてみると、実は「インプット」は“〇〇部が必要としている■■という指標の数値”であり、「アウトプット」はエクセルファイルからさらに転記された“▲▲報告書”なのかもしれません。

このように、参加メンバー自身が「インプット」「アウトプット」のデータやファイルを意識することで、真の、業務の一連の流れを認識しやすくなるとともに、当初は「言語生成AI(ChatGPT)」や「LLM」の活用が難しそうに感じた課題であっても、適用箇所を見出すことが可能となる場合があります。

【的外れなアイデアが集らないようにする ポイント②】ソリューションの「機能分解」
ポイント1で一連の業務の流れが明確になった次の工程として重要なのは、課題を解決するために、どのような機能を、どのようなテクノロジーやサービスを用いて作り上げていくか、設計していくことです。私はこれを「機能配置」「アーキテクチャ設計」工程と呼んでいます。

先ほどの例で考えてみましょう。「特定のウェブサイトから指標の数値を抽出し、エクセルファイルに転記のうえ、報告書を作成する」という業務では、以下のような機能が考えられます。

機能①:当該業務を開始するきっかけ(トリガー)に気づく機能
機能②:機能①をきっかけに指定したウェブサイトにアクセスする機能
機能③:指定した指標の数値を抽出する機能
機能④:指定したエクセルファイルの指定した箇所に転記し、保存する機能
機能⑤:指定した報告書ファイルの指定した箇所に、エクセルファイルの数値を転記し、保存する機能
機能⑥:業務が完了したことを宣言し、当該ファイルを他者に共有する機能
など

このように一連の業務を機能分解することで、「言語生成AI(ChatGPT)」や「LLM」の適用可能性のある箇所をあぶりだすことができます。

例えば、機能⑤の「報告書ファイルの指定した箇所に」についてさらに深堀してみると、機能②で抽出した指標をもとに文章を書き分けていることがわかり、この部分に「言語生成AI(ChatGPT)」の活用を検討してみることができます。

また、このように機能分解を行っておくと、機能数の多少が開発工数や規模感を算出する際の参考になるので、案件化の検討も進めやすくなります。


開催結果

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結果として、約2ヶ月の開催期間中、のべ全社員の半数近くが何らかの形で本イベントへ参加してくれました。これは、筆者の過去の経験の中でも非常に多く、大変驚きました。
また、53名の参加メンバーとメンター間のミーティングは、なんと計46回(40時間)にもなり、とても有用な時間を過ごすことができました。

コンテストで集まった「言語生成AI」や「生成AIチャット」の活用方法・ソリューションについては、技術的な解説も含めて、「②活用方法・ソリューション編」にてご紹介します。

※本記事内でご紹介しているイベント「DXブートキャンプ」の運営やコンテストの内容などについてより詳しく知りたい方は、「クリエイターへのお問い合わせ」より、お気軽にご連絡ください。


【筆者紹介】
山田智久:大手証券会社入社後、ネット銀行立ち上げを経て、大手小売業にて複数の大型DXプロジェクトに従事。2022年よりニッセイアセットマネジメントにて資産運用に関するDX業務を担当。CFP🄬認定者。UX検定™保有。

・当資料で、筆者の紹介のある記事においては、掲載されている感想や評価はあくまでも筆者自身のものであり、ニッセイアセットマネジメントのものではありませんが、ニッセイアセットマネジメントと筆者との間でこれらの表示に係る情報等のやり取りを直接的又は間接的に行っているため、実質的にはニッセイアセットマネジメントの広告(「不当景品類及び不当表示防止法」におけるニッセイアセットマネジメントの表示)等に該当する場合がございますので、ご留意願います。


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