テイラー・スウィフトが東京ドームで来日公演。米国ツアーでは、約6532億円の消費支出に
2024年2月、テイラー・スウィフトさんの最新ツアー「The Eras Tour」が、日本の東京ドームで行われる予定です。テイラー・スウィフトさんは、米国の女性シンガーソングライター。世界で最も権威のある音楽賞とされる「グラミー賞」を過去十数回も受賞している実力者です。また、2023年には、米フォーブス誌の「世界で最も影響力がある女性100人」にも選出されました。ここでは、そんな彼女のお金にまつわる話の一部をご紹介しましょう。
米国内だけで約6532億円の消費支出。ギャラは一晩数億円!
テイラー・スウィフトさんの来日公演は、2024年2月7~10日までの4日間、東京ドーム(東京都文京区)で予定されています。約5年ぶりとなる来日公演の名称は、「The Eras Tour」。Eras(エラズ)には、時代や年代といった意味があり、「(現在から過去の)音楽を巡る旅」がテーマとなっています。
残念ながら、東京ドーム公演のチケットはすでに完売となっていますが、SS席で3万円(税込み)、ポスターや限定グッズがセットになったステージに最も近いエリアのVIPパッケージは12万2800円(税込み)という高額で販売されました。
2023年3月に米アリゾナ州を皮切りにスタートした「The Eras Tour」は、すでに米国公演を終了し、今では世界各国を巡るワールド・ツアーに突入しています。当時の米ビジネス誌の「フォーチュン」によると、「The Eras Tour」は米国内だけで46億ドル(約6532億円/1ドル=142円で換算)の消費支出を生み出す可能性があるとのこと。さらに、テイラー・スウィフトさんの公演収入は、1回あたり8ケタドルに達し、一晩で数百万ドル(数億円)を稼ぐと報道されました。
一方、米ビジネス誌の「フォーブス」が選ぶ「2022年最も稼いだエンターテイナー」の9位にもランクインしたテイラー・スウィフトさんは、2022年には9200万ドル(当時の為替レートで約123億円)を稼ぎ出したとのこと。「The Eras Tour」が開催された2023年は、さらに多くの収入を得たのではないでしょうか。
製作費1500万ドルの映画版は、興行収入2億5000万ドルを突破
また、2023年より米国でスタートした「The Eras Tour」はカメラに収められ、同年10月に映画化されています。製作費1500万ドル(約21億3000万円/1ドル=142円で換算)とされるこの映画コンサートですが、2023年11月末には世界の累計興行収入が2億5000万ドル(約355億円/1ドル=142円で換算)を突破したと複数のメディアが報じています。なお、バラエティ誌によると、チケット売上の約57%が彼女の収入になるとの記載も。
世界で最も影響力がある女性100人。日本人は3名がランクイン
新しいところでは、2023年12月5日に米フォーブス誌が「世界で最も影響力がある女性100人(The World’s 100 Most Powerful Women)」を発表。テイラー・スウィフトさんは、ここでも5位にランクインし、保有資産を11億ドル(約1562億円/1ドル=142円で換算)に増やしてビリオネアの仲間入りを果たしたことが伝えられました。
ちなみに、選出された100人の中には、56位に女性初の日銀(日本銀行)理事となった清水季子さん、62位に東京都知事の小池百合子さん、86位にサントリー食品インターナショナルの社長に就任した小野真紀子さんなど、3名の日本人も含まれています。
消費支出約6532億円が持つ意味とは?
ここまで、テイラー・スウィフトさんにまつわるお金の話をご紹介してきましたが、ここからはそのお金の価値について考えていきたいと思います。
まず、「The Eras Tour」による米国内の消費支出46億ドル(約6532億円)ですが、この金額は小さな国の国家予算をも上回ります。国家予算とは、簡単に言うと、国の1年間の予算のこと。一般会計と特別会計に分けられますが、日本の場合、2023年度の一般会計歳出は114兆4000億円となっています。これらは主に、社会保障、国債費、地方交付税交付金等に使われており、これらで3分の2を上回っています。
6532億円は、日本のエンタメ市場規模とほぼ同額
さて、長引くコロナ禍の影響により、一時は大きく落ち込んだ日本のライブ・エンタテインメントの市場規模ですが、足元では力強い回復が続いています。ぴあ総研が行っているライブ・エンタテインメント市場の調査によると、2022年の国内ライブ・エンタテインメント市場の規模は、2021年の3072億円から2580億円増加し、5652億円(対前年比84%増)まで回復、コロナ禍前の2019年の6295億円に近づいてきました。なお、ぴあ総研では、2023年の市場規模を6408億円と予測しています。
6408億円といえば、テイラー・スウィフトさんの「The Eras Tour」による米国内の消費支出46億ドル(約6532億円)と限りなく近い数値。これを見るだけでも、米国人のエンターテインメントに対する熱意が伝わってきそうです。
エンタメ先進国の米国は、運用でも先進国だった
最後に、少し脱線しますが、日米欧の先進国のお金に対する意識を比較してみましょう。日本銀行調査統計局が発表した「資金循環の日米欧比較」によると、家計の金融資産構成は下図の通りです。
日本でも2024年から個人の資産運用を後押しする「新NISA(少額投資非課税制度)」がスタートしましたが、米国ではすでに家計の金融資産構成のうち株式や投資信託などリスク資産への割合が51.3%と、日本の15.4%を大きく上回っています。逆に、現金・預貯金の比率は54.2%と、日本が欧米を上回っています。デフレの時代には、預貯金が有利と言われることもありますが、現在は世界的にインフレが続いています。インフレでは、モノやサービスの価格が上がることで、現金や預貯金は実質目減りしてしまいます。そういった意味でも、あらためて資産運用について真剣に考える必要がありそうです。
もちろん、ビリオネアの仲間入りを果たしたテイラー・スウィフトさんが、どのような資産管理を行なっているのかはわかりません。しかし、実は、彼女の父親は資産家でもあり、大手投資銀行のメリル・リンチの財務顧問を務めたこともある人物だそうです。また、母親は投資信託のマーケティング管理部門で勤務していた過去を持っているとか。きっと、テイラー・スウィフトさん自身も資産運用を行っているのではないでしょうか。