前回、新しいNISA制度を効率的に活用するための“ほったらかさない”長期運用として、「含み損商品の買い直し」による生涯投資枠の再利用についてお伝えしました。

運用開始後、含み損商品の買い直しを継続的に行い、再利用できる枠が積み重なっていけば、NISA枠への追加投資が可能となり、その分だけ多くの非課税資産を保有できるのです。
今回は、金融商品の保有の仕方を工夫することで、新しいNISAをより効率的に活用できる方法をお伝えします！

ファンド分散の効用

「含み損商品の買い直し」を考えた場合、金融商品をどのように保有するのが効果的でしょうか。
全世界株式（オール・カントリー）に1,800万円を投資する際、2つのファンドで保有する場合と1つのファンドで保有する場合でどのような違いがあるかを見てみましょう。

（地域毎に2つのファンドで保有する場合）
年初から年末にかけてファンド（地域A）が上昇し240万円の含み益、ファンド（地域B）が下落し240万円の含み損となり、含み損が発生したファンド（地域B）を買い直した場合、簿価と時価（評価額）は、それぞれ以下の図のようになります。
このケースでは、含み損商品であるファンド（地域B）の買い直しにより、新しいNISAの生涯投資枠240万円分の再利用が可能となり、非課税資産を2,040万円まで増やすことができます。

上記はイメージ図です。買い直しや追加購入の際は、年間投資枠（つみたて投資枠：120万、成長投資枠：240万円）の範囲内での再利用となります。

（1つのファンドで保有する場合）
1つのファンドで保有する場合、地域A株式の含み益と地域B株式の含み損が相殺され、ファンドとして含み損益は発生しません。このケースでは、買い直しで生涯投資枠の再利用はできないため、追加購入する場合は課税口座を利用することになり、非課税資産は1,800万円のままとなります。

全世界株式（オール・カントリー）１本ではなく”ファンドの分散”を

分散するファンド数が多いほど買い直しの機会は多く生まれます。売却した後に生涯投資枠の再利用が可能となるのは翌年の年初に枠が復活した後になるので、全世界株式（オール・カントリー）ファンドに20年間投資していても「買い直し」のチャンスは最大20回しかないことになります。しかし、一例ですが、北米株と欧州株、日本株、アジア株、エマージング株の５つのファンドを組み合わせて分散投資すれば、「買い直し」のチャンスを5ファンド×20年の100回に増やすことが期待できます。

新しいNISAで全世界株式（オール・カントリー）ファンド1本への投資を検討している方は、特定の地域に絞ったファンドへの分散投資を検討してみてはいかがでしょうか。

※一部のファンドでは成長投資枠での買付時に購入時手数料がかかることがあります。また、当該売買に伴って信託財産留保額を負担いただくことがあります。
※売却から再購入までの間に金融商品の時価が上昇したことにより、取得価額が却って上昇してしまうことがあります。また、買付額が成長投資枠の買付可能額を超過することがあります。このような場合には、買い直しによる枠の再利用のメリットは享受できません。

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