新NISAはロールオーバーできないのか?2024年の改正までに抑えておくべきポイント
2024年から新NISAが始まります。制度が恒久化して、投資可能額も拡大しますが、既に現行NISAで投資をしている人にとっては、保有している金融商品がどうなるのかも気になるところでしょう。2024年以降の新NISAとロールオーバーについて、詳しく解説します。
【押さえておこう!】新NISAの制度概要
ロールオーバーの話に入る前に、まずは2024年から始まる新NISAのポイントについて、現行NISAと比べながら確認していきましょう。
改正のポイントは大きく3つあります。
(1) どちらか選択から、併用可能に
これまでの制度では「つみたてNISA」と「一般NISA」のどちらか一つを選択しないといけませんでした。現行の二つのNISAは投資対象も投資可能額も非課税期間も異なるため、どちらを選ぶべきか悩む人も多かったのではないでしょうか。
新NISAは、つみたて投資枠と成長投資枠が一つになった制度で、併用することもできます。
(2) 期間限定から恒久化に
現行NISAは期間限定の制度であるため、限られた非課税期間が終わった後にその資産をどうするか、対応を考える必要がありました。新NISAは恒久的な制度に変わるため、期間を気にすることなく非課税投資することができるようになります。
(3) 非課税保有限度額が拡大
現行NISAの「つみたてNISA」は最大で年間40万円×20年間=800万円、「一般NISA」は最大で年間120万円×5年間=600万円まで非課税投資ができます。
現行NISAのように非課税期間から計算する方法で非課税保有限度額を計算すると、非課税期間が無期限になったことで非課税保有限度額も上限がなくなるように見えますが、新NISAではこの非課税保有限度額に、最大1,800万円までの上限が設けられました。また、1年あたりの投資枠(非課税枠)も従来から拡大しています。
新NISA制度でロールオーバーはどうなる?
ロールオーバーとは、NISA制度で運用してきた資産を非課税期限到来後に再度新たなNISA口座に移し替えることをいいます。現行NISAには5年間の非課税保有期間がありますが、この期間が終わるタイミングで次の非課税保有枠に資産をロールオーバーすれば、さらに5年間非課税期間を延長することができます。
NISAは投資で得た利益が非課税になる制度ですが、非課税保有期間中に値下がりしたり、今後もっと値上がりの期待が持てたりするなど、5年で売却したくない場合はロールオーバーを活用することができます。
2023年末までのロールオーバー
現行制度の「一般NISA」にはロールオーバーの仕組みがありますが、制度改正により2023年末までに購入した分は5年間の非課税期間が終わったら課税口座へ払い出しされます。
なお「つみたてNISA」にはロールオーバーの仕組みはありません。
2024年からのロールオーバー
2024年から始まる新NISAでは、非課税期間が無期限となります。ずっと非課税で保有できるため、ロールオーバーをする必要がありません。
現行NISAから新NISAへのロールオーバーはできない
現行NISAと新NISAは別々の制度です。既にNISA口座がある人は2024年以降もそのまま現行NISAを続けられ、新たに新NISA口座を持つことができます。
新NISAにはロールオーバーの制度が無いため、現行NISAの非課税期間が終わっても新NISAにロールオーバーすることはできません。
【既に活用している人】新NISAにロールオーバーできない商品はどうする?
既にNISA制度を活用している場合、現行NISAで保有している商品がロールオーバーできないことに不安や疑問を抱いている人もいるでしょう。
現行NISAから新NISAへロールオーバーすることはできませんが、新NISAが始まった後も非課税期間が終わるまではそのまま非課税で保有することができます。例えば、2021年にNISA口座に120万円投資した場合、5年間の非課税保有期間があるので、2025年末までは非課税で保有することができます。非課税期間があるうちは慌てて売却する必要はありません。
【非課税期間終了後】現行NISAの商品は課税口座へ払い出し
ただし、非課税保有期間が終わるまでに、その後どうするかを考えておく必要があります。ロールオーバーの選択肢はありませんから、非課税期間のうちに売却して非課税メリットを享受するか、課税口座に移して資産を保有し続けるかのどちらかになります。
【まだ始めていない人】2024年までにNISAを始めたほうが良い?
これから投資を始めたいと考えている人の中には、2023年中に現行NISAで投資を始めるか、2024年に新NISAが始まるのを待ってから投資を始めるか、悩んでいるという人もいることでしょう。
例えば、2023年にNISA口座で投資を始めると、2027年末まで非課税保有期間が継続します。一般NISAでは1年あたり最大120万円の投資ができ、最大5年間の運用に係る利益について非課税となります。これは、新NISAの非課税保有枠1,800万円とは別枠となりますから、2023年中に始めた方がより多くの非課税枠を活用できることになります。
既にNISA口座を持っている人の場合、何も手続きをしなくても2024年からの新NISA口座が同じ金融機関で自動的に開設されます。新NISAのために特別な手続きをする必要はありません。(詳しくはNISA口座をお持ちの金融機関にお尋ねください。)
まとめ
2024年から始まる新NISAでは非課税期間が無期限となるため、ロールオーバーの制度がありません。現行NISA(一般NISA)で既に投資を始めている人は、5年間の非課税保有期間がいつ満了するのかを確認しておきましょう。
非課税保有期間が終わっても新NISA口座へロールオーバーすることはできないため、非課税期間中に売却等の対応をするか、課税口座に資産を移すことになります。ロールオーバーができなくなるように、制度改正により今までと異なる点がありますので、改正内容について十分に理解したうえで活用しましょう。
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