DC(確定拠出年金)向け投資信託の3つの特徴
DC(確定拠出年金)は、老後の資金の形成を目指す多くの人々にとって重要な選択肢となっています。しかし、「DC向けに提供されている投資信託って何か特徴あるの?」と疑問に思う方も少なくありません。
投資信託には、DCでしか購入できない「DC専用の投資信託」があります。この記事では、「DC専用の投資信託」と「一般の投資信託(DC専用以外)」を比較し、DC専用の投資信託の特性を考えてみます。特に、投資初心者にとっての利点や、長期的な資産形成にどのように寄与するのかを探っていきます。これを通じて、あなたの投資選択に役立つ情報を提供できれば幸いです。
1.商品分類ではバランス型、運用手法ではインデックス型の残高が多い
まずは、商品分類で比較してみると、「DC専用の投資信託」は、「一般の投資信託(DC専用以外)」に比べて、海外株式の割合が低く、バランス型が多いことが特徴です(図表1)。また、運用手法では、インデックスファンドの比率が高いです(図表2)。
図表1 商品分類別残高割合
出所:野村Fundmarkのデータをもとにニッセイアセットマネジメント作成
2024/3末時点、追加型株式投資信託(ETF除く)
図表2 運用手法別残高割合
出所:野村Fundmarkのデータをもとにニッセイアセットマネジメント作成
2024/3末時点、追加型株式投資信託(ETF除く)
DCは投資初心者の方も多く、投資初心者でも1つのファンドで分散投資が可能なバランス型商品や、シンプルな商品性や信託報酬等のコストの観点でインデックス型が選択されやすくなっているとことなどが背景にあるのかもしれません。
2.信託期間は無期限がほとんど
DCは老後資金の確保のための制度であり、長期運用が基本となります。投資信託には、信託期間が定められています。信託期間が終了すると、そこでファンドは償還し、運用は終了することになります。
実際、信託期間がどのくらいに設定されているか見てみましょう。「DC専用の投資信託」は、98%のファンドが信託期間無期限(図表3)となっています。ちなみに、新NISAの対象商品の条件は信託期間20年超が対象です。
図表3 信託期間別ファンド数割合
出所:野村Fundmarkのデータをもとにニッセイアセットマネジメント作成
2024/3末時点、追加型株式投資信託(ETF除く)
DC向けの投資信託は、信託期間が無期限のファンドが多いため、信託期間を気にすることなく、長期の資産形成が可能といえそうです。ただし、残高が少なくなった場合などには、投資信託は繰上償還の手続きによって、信託期間の前に運用が終了することもあり得ることには留意が必要です。
3.資金流入が安定的
投資信託の購入額と売却額を合計した資金流入の状況をみてみましょう。「一般の投資信託(DC専用以外)」に比べて、「DC専用の投資信託」は安定した資金流入となっていることが確認できます。DCは、原則毎月掛け金が入ってくる制度であり、老後資金の運用でもあることから、頻繁に売買するのではなく、長期保有の傾向にあるのかもしれません。また、加入対象者の拡大や掛金上限額の引き上げ等、DCに関する制度が拡充されている段階であり、安定した資金流入の要因の一つと考えられます。
資金流入が安定しているファンドが全て良いという訳ではありませんが、例えば、急激に資金が入出して運用が難しくなり償還となる可能性も少なく、安定した長期運用に寄与すると考えられます。
図表4 資金流出入額
出所:野村Fundmarkのデータをもとにニッセイアセットマネジメント作成
各年の1~12月の合計。追加型株式投資信託(ETF除く)
まとめ
今回の記事では、DC専用の投資信託が、バランス型やインデックス型が多く、投資初心者に適している点、信託期間は無期限のものが多く、資金流入も安定しており長期の運用に適している点などについて解説しました。これらの利点を活かし、ぜひDC向け投資信託を検討してみてください。あなたの未来のために、賢い投資を始める第一歩を踏み出しましょう。
※DC(確定拠出年金)では、「DC専用の投資信託」だけではなく、「一般の投資信託(DC専用以外)」も購入可能な場合もあります。この記事では、野村Fundmarkから、DC専用の投資信託のデータを抽出し利用しています。
ニッセイアセットマネジメント株式会社
DC戦略推進室 松下雅幸
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