見出し画像

【世界の出生率一覧表】気になる国の出生率がぱっとわかる!

日本の合計特殊出生率は低下傾向にあり、少子化の進展が大きな社会問題になっています。一方、世界の出生率はどのようになっているのでしょうか。

本稿では、日本と世界の出生率の現状を比較し、少子化に至った理由について考察します。日本と世界の出生率から浮かび上がるものとはなんでしょうか?


日本の出生率は長期低下傾向にある

厚生労働省が2024年6月5日に発表した2023年の合計特殊出生率は1.20となり、統計を取り始めて以降最も低い数値となりました。日本の少子化が一層深刻さを増しています。合計特殊出生率とは、「15~49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもので、1人の女性がその年齢別出生率で、一生の間に生むとしたときの子どもの数に相当」(厚生労働省見解)します。

資料:2019年までは厚生労働省制作統括官付参事官付人口動態・保健社会統計室「人口動態統計」(2019年は概数)、2040年の出生数は国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」における出生中位・死亡中位仮定による推計値
出典:厚生労働省「出生数、合計特殊出生率の推移」よりニッセイアセット作成

日本の出生率の推移を見ると第2次ベビーブームといわれた1970年代前半以降は、ほぼ右肩下がりで低下が続き出生数自体も第2次ベビーブームの半分以下まで減っています。国立社会保障・人口問題研究所の予測では、人口減少が進んだ2040年には出生率は1.43まで改善するものの出生数は74万人に減る見通しです。

全国の出生数は西高東低の傾向が顕著

全国の出生率を見るとトップは沖縄県で1.60です。以下長崎県、宮崎県、鹿児島県、熊本県と続き、上位を九州・沖縄地方が占める結果となりました。なお出生率が「1」を割ったのは、全国でも東京都だけで0.99となったニュースは社会に大きな衝撃を与えました。下位は、最下位の東京都をはじめ首都圏や北海道、東北地方が並んでおり西高東低の傾向が出ています。

都道府県別合計特殊出生率(2023年)

出典:厚生労働省「令和5年(2023)人口動態統計 結果の概要」よりニッセイアセット作成

世界の出生率もやはり低下傾向

次に、世界各国の出生率は、どのようになっているのか確認してみましょう。

世界の出生率の推移(Fertility rate)

注記:( 1 ) United Nations Population Division. World Population Prospects: 2022 Revision;
( 2 ) Statistical databases and publications from national statistical offices;
( 3 ) Eurostat: Demographic Statistics.
出典:世界銀行グループ

世界銀行が公表している「特殊出生率(女性1人当たりの出生数)」のデータ(上図)によると、2022年における世界各国の出生率は平均で2.3でした。日本に比べれば、まだ「2」以上をキープしていますが、傾向としては同じく右肩下がりで低下が続いています。そのため少子化問題は、日本だけではなく世界共通の問題といって良いでしょう。

国別出生率では地域間格差が大きい

では、具体的に世界の出生率の現状を見てみましょう。出生率を国や地域別で見ると以下のとおりです(小数点2位以下は四捨五入)。

世界別出生率(2022年)

注記:( 1 ) United Nations Population Division. World Population Prospects: 2022 Revision;
( 2 ) Statistical databases and publications from national statistical offices;
( 3 ) Eurostat: Demographic Statistics.
出典:世界銀行グループ

日本が所属するアジアも少子化が深刻です。韓国は、東京都を下回る0.8まで低下して壊滅的状況となっています。かつて人口の増加に歯止めをかけるために「一人っ子政策」まで行った中国も香港・マカオを含めて少子化に歯止めがかかりません。中国の出生率は、1.2で日本と同じ水準になっています。

注記:( 1 ) United Nations Population Division. World Population Prospects: 2022 Revision;
( 2 ) Statistical databases and publications from national statistical offices;
( 3 ) Eurostat: Demographic Statistics.
出典:世界銀行グループ

「人口爆発」が大きな問題になっているアフリカは、まだ「多産国家」が多い傾向です。なかでもニジェールは、データに掲載されている国で最高の出生率となっています。まだしばらくは、人口の増加が続きそうです。

注記:( 1 ) United Nations Population Division. World Population Prospects: 2022 Revision;
( 2 ) Statistical databases and publications from national statistical offices;
( 3 ) Eurostat: Demographic Statistics.
出典:世界銀行グループ

人口維持には「2.07」の出生率が必要といわれていることから、今後欧州の人口減少する可能性が高いといえるかもしれません。

注記:( 1 ) United Nations Population Division. World Population Prospects: 2022 Revision;
( 2 ) Statistical databases and publications from national statistical offices;
( 3 ) Eurostat: Demographic Statistics.
出典:世界銀行グループ

注目のアメリカは、1.7で日本よりは高いものの人口を維持できるといわれている2.07の水準を下回っています。北米地域も着実に少子化の傾向があり、今後アメリカがなんらかの政策を打ち出すかが注目されます。

注記:( 1 ) United Nations Population Division. World Population Prospects: 2022 Revision;
( 2 ) Statistical databases and publications from national statistical offices;
( 3 ) Eurostat: Demographic Statistics.
出典:世界銀行グループ

南米は、北米に比べると出生率がやや高い傾向ですが、やはり少子化の波が押し寄せていることがうかがえます。中心的存在のブラジルも1.6と低迷しており、全体的には人口減少に向かっているといえるでしょう。

注記:( 1 ) United Nations Population Division. World Population Prospects: 2022 Revision;
( 2 ) Statistical databases and publications from national statistical offices;
( 3 ) Eurostat: Demographic Statistics.
出典:世界銀行グループ

オセアニアは、アフリカに次いで出生率が高い地域です。先住民が多く経済発展が進んでいないことが影響しているのかもしれません。先進国のオーストラリアは、他地域の先進国と同じような水準です。

地域別に出生率を確認しましたが、アフリカ・オセアニアと他地域の格差が広がっている印象です。先進国のほとんどが人口減少に向かう一方で、アフリカは今も人口が増え続けています。国連の「世界人口予測2022」によると、「2050年には世界の人口の4分の1をアフリカが占める」と予測されています。

さらに進んで2100年にはアフリカの人口が全世界の38%に達すると予測されており、食糧問題が深刻化することが懸念されます。

現役世代の負担増に備えて、投資を検討してみよう

日本は、少子化に加えて超高齢化社会への対策も求められています。出生率が下がり、高齢化率が上がれば当然高齢者を支える現役世代の負担が増えていく傾向にあります。税金や社会保険料の増加など現役世代の負担増は避けられない状況のため、これからの時代は投資でカバーすることが必要となる可能性が高いです。

折しも2024年1月から新NISA(少額投資非課税制度)がスタートし、非課税枠も拡大されたため、投資環境は整っています。しかし投資といってもリスクの高い商品に投資して元本を割ったのでは、負担のカバーになりません。現役世代が給与から毎月投資するのであれば、積立投資信託が適しているといえます。

積立投資信託は、毎月一定の金額を自動的に買い付けしていくため、相場が高いときは少ない口数、安いときは多くの口数を購入することになります。長期的には買値が平準化されるため、個別株投資のように高値づかみをする心配がありません。無分配型のファンドであれば分配金が再投資されて1口価額も上がっていくことから長く運用するほど元本割れリスクは小さくなります。

「つみたてNISA」を利用して積み立てれば年間120万円まで非課税枠で購入することが可能です。負担を少しでもカバーするために、検討の一つに加えてはいかがでしょうか。

※世界の出生率データは世界銀行の発表によるものであり、データが公表されていない国もあります。また、地域区分では国の一部が他地域に所属する場合もあります。参考程度にご覧ください。

新NISAについてはこちらのマガジンもご参考にしてください

資産運用は もっと手間なく、 もっと効率的に