カバディというスポーツの経験を通じて、チャレンジに備えることを考えてみた
1.まずはクイズから
クイズから始めます。
次の①と➁の人数は何を意味しているか分かりますか?
① 11 / 766,610 人
➁ 15 / 86,691 人
ヒントは、それぞれスポーツに関係するものです。
分子になっている数字で分かるかもしれません。
正解は・・・
① 分子の11はサッカーの1チームあたりのフィールドプレーヤー数です。
分母の766,610 は、サッカーの日本での男性選手人口です。(2022年度のサッカー選手登録数。日本サッカー協会ホームページより)
すなわち、サッカーの男子日本代表のスターティングメンバ―人数に対する、選手人口を示しています。
➁は、ラグビーにおいて①と同じような人数を調べたものです。(2022年3月度のラグビー選手登録数。日本ラグビーフットボール協会ホームページより)
ラグビーの1チームのフィールドプレーヤー数は15人です。
サッカーは言わずとしれたメジャースポーツ。
日本代表の試合となるとほとんどの場合でテレビの地上波にて放送され、日本での開催の場合は国内の大きなスタジアムで試合が行われ、多くの方が注目しているかと思います。
小学生はおろか、未就学児から参加できるようなスクールも珍しくなく、学校教育の各段階で部活動が行われ、国内ではJリーグを筆頭に、クラブチームも数多く存在するなど、非常に裾野が広いスポーツで、それが選手人口に表れていると思います。
ラグビーの選手人口はサッカーとは一桁変わりますが、タックルのあるコンタクトスポーツというハードルの高さを考えたときに、それでも9万人近い方が選手としてプレーされているというのは十分大きな規模だと思います。
ちなみに私も高校時代のラグビー経験者なので、この数字がいかに大きいかは分かるつもりです。
それでは、次の➂の人数は?もちろん何かのスポーツのものです。
➂ 7 / 約300 人
サッカーとラグビーとはもう桁が2つ3つ違いますね。
これはこの記事のタイトルにもある通り、私が社会人になってからプレーしている「カバディ」というスポーツのものです。
カバディで一度にコートに立てるプレーヤー数は7人。また、年1回、国内チャンピオンチームを決める全日本大会があり、全国のチームが予選なしでエントリーするのですが、2022年度は男子で26チームでした。
それらのチームのレギュラー7人に加え、控えメンバーや、エントリーしていない活動中のプレーヤーなどを含めて、私は300人程度と推計します。
今回、カバディと他のメジャーなスポーツとの差を具体的な数字で表してみました。分かってはいたものの、我ながら衝撃的な差です!
前置きが長くなりましたが、今回はそんなカバディの話です。
私はカバディの経験者で、カバディに出会うことで得難い経験をさせてもらったと感じる一人でもあります。
2.カバディとは
カバディがどんなスポーツか、どんなルールかは、日本カバディ協会のホームページなどに映像などとともに掲載されていますので、この場では簡単な説明を。
ほとんどの方はあまり知らない、知っているとしても、インド発祥の鬼ごっこ、あるいは「カバディ」と言い続けるスポーツ、というのが一般的なイメージだと思いますが、本質的にはタックルを仕掛ける、それを避ける、というような接触プレーが激しいスポーツです。
観戦すると、非常にエキサイティングで組織戦術の要素があり、面白いです。そうですね、例えるなら1チーム7人でやる集団レスリングみたいなもの。ラグビーやレスリングなどを経験された方にとっては、馴染みやすいかもしれません。
以下、カバディの画像をいくつか紹介しますので、雰囲気だけでもご理解いただけると幸いです。
① カバディはいわゆるターン制の競技です。一人の攻撃プレーヤーが相手コートに入って、相手チームの複数メンバーと対峙するところから1つのターンが始まります。攻撃プレーヤーは必ず一人です。
➁相手コートに入った攻撃プレーヤーが、相手の誰かをタッチして自分のコートに無事戻ると、タッチした人数の分だけ得点が入ります。この、相手コートに入ってタッチして自コートに戻るというターンを、チーム交互に繰り返していくのですが・・・
➂攻撃プレーヤーを自コートに戻らせないようにするために、相手チームの複数プレーヤーが体を張って止めようとしてきます。この一人対複数の肉弾戦が、カバディの醍醐味だと私は思います。
この後の画像は肉弾戦の数々です。攻撃プレーヤーの 足首を吊り上げたり。
④画像では分かりにくいのですが、攻撃プレーヤーを2人組で手を繋いで進路を塞いだり。(カバディでは2人で手を組むのが一つのセオリーになってます。2人の方が強いから。)
➄一人が攻撃プレーヤーの足に仕掛けて、他のプレーヤーが突っ込んだり。
⑥これも➄と同じで足への仕掛けと突っ込みです。
➆攻撃プレーヤーを複数人で取り囲んだり。もう誰がどこを掴んでいるのか分かりませんね。
⑧捕まって持ち上げられてしまうこともあります。
(持ち上げられているのは私です)いわゆる胴上げで祝福されているわけではないですよ。社会人が他の人に物理的に持ち上げられることは、日常生活ではまずなさそうなので、貴重ですね 苦笑
3.私がカバディにチャレンジしたきっかけ
私がカバディに出会ったのは、2007年でした。
フットサルをやっていた友人らと、一緒に大会観戦に行ったのがきっかけです。
独特の間合いと死角からタックルを仕掛ける選手、そしてそれをまともに食らう選手の様を見て、なんてクレイジーなスポーツだ!と思ったものでした。
ですが、ラグビー経験者でもあった私にとっては心を揺さぶられるプレーが多く、すぐにやりたいと思って、友人らと日本カバディ協会に問い合わせました。
そこで言われたのは・・・
「次の土曜日に〇〇区のXXXXXのグラウンドで日本代表が練習をしていますので、よかったら来てください」
というようなことでした。
協会との直接の連絡は友人が行ったので、私はその友人から伝え聞いただけなのですが、
「えっ!なぜ日本代表の練習に!?」
と思ったものでした。
本当に意味が分かりません。
実際そこに行くと分かったのですが、代表練習をやっている横にコートを作れるスペースがあり、そこで練習しましょうという意図だったようです。
その時、怪我をされている選手が相手をしてくれて、毎週未経験の我々に丁寧に指導をしてくれました。飲みに行ったり連絡先を交換したりなどして交流を深めました。
ここまで読んで、どなたもあることを感じたと思います。
信じられないくらい代表選手との距離が近いんですよね。
サッカーなどのメジャースポーツで、一般の人が代表の隣で直接指導してもらい、さらに交流も深めることができるなんて、まずないと思います。
このような温かな雰囲気もカバディ界の魅力のひとつだと思います。
その後、ご指導いただいた甲斐もあり、初心者中心で即席チームを組んで初出場した大会では初勝利、および3位入賞の成績を収めることができました。
誤解のないように言うと、小さな大会だったのでエントリーしたチーム数も少なく、運よく1勝しただけなのですが 苦笑
しかし、私は見事に勘違いしました。
代表選手の直接の指導を受け、しかも入賞で気をよくして、冒頭で紹介したような計算が頭に浮かびました。
「これ、選手人口少ないから、頑張れば日本代表も行けるんじゃないの!?」と思ってしまいました。
「鶏口となるも牛後となるなかれ」 とか、「大鳥の尾より小鳥の頭」
といったことわざがありますが、まさに言葉通りマイナースポーツであるカバディで一旗揚げようと思った瞬間でした。
以上が私がカバディを本格的にやろうと思ったきっかけです。
4.カバディを通じた得難い経験
大きな希望を胸に正式に友人たちとチームを立ち上げましたが、カバディの世界はそんなに甘くありませんでした。しばらくの間は負けることが多く、特に最初の1年はほぼ全敗でした。
いろいろな壁にもぶつかりました。チームメンバーの離反とか、大きな怪我とか、練習場難民になったりとか!
ただ、カバディをプレーすること自体が非常に楽しかったので、チームや代表候補の練習には、常に課題を持ちながら参加し続け、自主トレも開始。
早い段階で趣味の域は超えて、カバディが日常生活の柱のひとつと言える状況になりました。
そして、熱心な取り組みの甲斐あって、2011年と2013年に計2回だけではありますが、日本代表に選出していただけました。
ただ、最終的には国内トップ選手との実力差は大きく、日本代表の常連になることはできませんでした。
30歳以降でカバディを始めて、自分のチームを引っ張りながら35歳で初選出されたケースは私の把握している限りは他にはなく、マイナーなカバディ界でも、さらに異色というか変わったおっさんプレーヤー、というのが私のポジションでした 笑
もっと早く始めて欲しかった、と言ってくださった関係者の方もいましたが、カバディに出会うこと自体が奇跡みたいなものなので、この期間にやれたのが私にとってのベストなタイミングだったんだと思います。
本格的な活動から退いた今、残ったものと言えば、物としてはわずかな記念品しかありません。
しかし、それよりも次のような形のないものをもらえたのが大きいですね。
試合を観に来てくれた友人や同級生の声援。
練習参加等についての職場でのご理解、ご協力。
大会の会場で、後輩選手がすれ違いざまにかけてくれた言葉。「相田さんのプレー、観てました」
ブログ読者として連絡をくれて、実際にカバディを始めた後輩選手の言葉。「相田さんのブログを読んで私もカバディがやりたくなりました」
お付き合いのあった学生チームの監督からのメールでのメッセージ 「立ち上げ時に、指導を毎週してくれたので今があります」
私のプレーを、「カバディ界のストロングスタイルだ」とか、「沸点の低いプレーだ」とか、独特な表現で評してくれた先輩選手の言葉。
私の経験を「後輩たちに引き継いで欲しい」と言ってくれた所属チームのキャプテンの言葉。
怪我などたくさん心配をかけたが、見守ってくれた家族の思い。
など、挙げたらきりがありません。
本当にいろいろな方々との関わり、温かさに支えていただき、前向きにカバディに取り組めました。
そのおかげで今の自分がある気がします。
こちらの外部サイトの記事でも、冒頭の方で私がどのように活動したのか少し取り上げていただいているので、よかったら読んでみていただきたいです。
ちょっとしたきっかけで、私の人生の一時期を大きく占めることになったカバディ。
たまたま訪れたチャンスを逃さずに生かせたのは本当によかったと思います。
カバディを始めた時に指導してくれた方のように、私自身が初心者の問い合わせを受け指導したことが何度もありましたが、私と同様にチャンスを感じて、一緒のチームで頑張ってくれたり、素晴らしいプレーヤーに成長してくれたりした方もいれば、明らかに素質はありそうなのに、数回だけ練習に来てそれっきりの方も大勢います。
後者、もったいないです。
興味を持つ持たないは人それぞれですが、チャンスはいつ訪れるかわからないし、何がチャンスなのか分かりません。
特に他の人があまりやらないようなものはチャンスになりやすいと思うので、ぜひそれを敏感に感じ取り、これぞと思ったらぜひ積極的にチャレンジしてみてください。
5.新NISAで将来のチャレンジに備えよう
さて、2024年から新NISAが始まります。
これをきっかけとして、あるいはひとつのチャンスととらえて、資産運用を始めてはいかがでしょうか。
資産運用では、何のために備えるのか、目的をしっかり定めることが重要とよく言われ、特に老後の備えなどが代表的なものとなりますが、私は長い目で見て「チャレンジに必要になる支出に備える」こともひとつの目的になりうると考えています。
例えば、カバディのようなスポーツではなかなかスポンサーはつかないため、代表選手になった場合、海外への遠征費はかなりの部分が自己負担となることが多いようです。
私自身はあまり機会はありませんでしたが、大きな国際大会の前は強化のための遠征が複数回設けられるケースが多いため、代表の常連選手の場合はその都度大きな出費となるでしょうし、その間は仕事を休む必要があります。
また、選手によっては本場であるインドに滞在して経験を積む方もいらっしゃいますが、そういったことでも多くの費用がかかります。
カバディに限らず、他のスポーツや、あるいは何らかの目的の留学など、海外に頻繁に行く必要があることにチャレンジする場合、本当に多くの費用が必要となると思いますが、費用のためにチャレンジを諦めることがあるとしたら、それは悲しいことです。
今は必要なくとも、長い目で見た場合、そういったチャレンジのための支出が必要になることが大いに考えられます。
そのための支出に備える手段として、ぜひ新NISAを始めて、長い期間で運用しながら備えることを、検討してみてはいかがでしょうか。
親世代の方にとっては、ご自分のことだけでなく、お子様が大きくなって、何かにチャレンジするときの支出の備えとしても、新NISAはひとつ手段になると思います。
例えば学生のカバディ選手の場合、学業や練習に取り組みながら、アルバイトで資金を貯めて海外挑戦の準備をするのは年単位の時間がかかり、タイミングを逃してしまうことにもなりかねません。
まずはお子様ご本人が努力なり工夫なりをして資金を準備して欲しいことかもしれませんが、足りない時に手を差し伸べることができるのは親だけかもしれませんね。
ちなみに私も小学生男子の父親です。
このようなことを書くと、息子がインターネットを自由に使うようになったときに、この記事を読んで安易に支援を期待してしまうかもしれませんので、まずは自分で工夫し、足りないときに納得のいく説明をして、頑張って説得してくれない限り、そう簡単には貸しません!
ということを書き添えておきます 笑
【筆者紹介】
相田秀久:1999年に証券会社入社後、リテール営業を経験するが、その後は転職し複数の企業で金融機関のITに関わってきた。2007年の当社入社後は社内システムの開発に継続して携わり、2023年現在は当社システム開発部システム開発室の室長として、開発業務のリーダーを担当している。カバディについては2006年から競技を開始。なお、その活動は当社とは一切関係ありません。
・当資料で、筆者の紹介のある記事においては、掲載されている感想や評価はあくまでも筆者自身のものであり、ニッセイアセットマネジメントのものではありませんが、ニッセイアセットマネジメントと筆者との間でこれらの表示に係る情報等のやり取りを直接的又は間接的に行っているため、実質的にはニッセイアセットマネジメントの広告(「不当景品類及び不当表示防止法」におけるニッセイアセットマネジメントの表示)等に該当する場合がございますので、ご留意願います。