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一生涯にわたる資産形成のヒント~②シングルライフ~


シングルライフを選ぶ「自由」と「責任」

国勢調査(2020年)による生涯未婚率は男性が28.25%、女性が17.85%となっています。この傾向が続けば、男性の3人に1人、女性の5人に1人がシングルライフを過ごすことになります。
もはや社会的にみて、シングルライフを選ぶ人は少ないものではありません。

いろんな人生がありますが、結婚という道を選ばず、シングルライフを過ごすという人生の決断をしたのであれば、自分の選択に自信を持って、前向きに楽しく自由な生活を過ごしていただければと思います。

シングルライフは何をするにも自由ですが、これは同時に、自分のことはすべて自分でやりくりしなければならないという責任も負います。

特に、老後のお金をどう準備するかという問題を、シングルの方々は真剣に考えていく必要があります。

シングルライフの老後のお金について、じっくり考えてみましょう。

ひとり分の公的年金 シングルライフにはやや不足

老後のことを考えるとき、シングルライフは「老後のお金のやりくりも自分ひとりで責任を持つ」ということを意識しなければなりません。そのためには「ひとりで老後のお金をしっかり準備してリタイアする」ことが必要です。

経済的に誰かに頼ることもできませんし、「投資はよく分からないから配偶者に任せる」のようなこともできません。夫婦のように2人分の年金でやりくりし、自分の年金が少なかったとしても、配偶者の遺族年金があるので老後をやりくりするようなこともできないのです。

まずは、シングルの公的年金はやや不足することを意識することが、老後に備える第一歩です。国のモデル年金の水準は、「会社員男性と専業主婦」のパターンで示されますが、このうち「会社員1人分」を計算してみると月15.8万円が1人分のモデル年金水準となります。
(なお、この金額は正社員として厚生年金に加入していたモデルなので、パートや自営業者の場合は年金額が少なくなることに注意)

一方、シングルの老後の生活費はどれくらいかかるでしょうか。総務省の家計調査年報で、高齢者の単身世帯の家計をみると、月15.5万円の支出となっており、1人分の公的年金水準ではほぼトントンとなっています。

とはいえ、シングルで現役世代をお過ごしになられた人にとっては、この生活水準は「けっこうキツいな……」と感じるものだと思います。感覚的には大卒初任給の手取りくらいに生活コストをダウンサイジングすることになるからです。

また、年金水準の変動、税率などの変動、物価水準の変動などを考えれば「収支がぴったりトントン」という状態はあまり安心できるものではありません。病気になって医療や介護の負担が増すこともありえます。

そうなってくると、計画的な資産形成を通じて老後の備えを上積みし、しっかり確保しておくことが大切になってきます。

一時期、「人生100年時代」「老後に2000万円」と騒がれましたが、65歳女性の平均的な老後の期間である25年分くらいは余裕を作っておきたいところ。仮に月に3~4万円の取り崩しができる余裕を作りたいとなれば、900~1200万円くらいを用意しておきたいことになります。

また、困ったときに使えるまとまったお金を、別枠で銀行に残しておきたいと考えるのも一般的な感覚でしょう。そうなると公的年金は何十年長生きしてもずっと受けられる安定収入として位置づけつつ、「老後に2000万円」のようなイメージを持って老後のための資産形成に取り組んでいく必要があります。

会社の退職金・企業年金からもらえる金額を勘案したうえで、NISAやiDeCoを活用して、自助努力でも老後のための資産形成をしていくことを考えていきましょう。

シングル女性はNISAを上手に活用して資産形成している?

シングルの老後のお金の準備、実は「男女差」があるみたいです。それは「女性のほうがしっかりしている」というものです。

ニッセイ基礎研のレポートによれば、NISA口座の開設割合が男性全体で平均10.3%、女性全体で平均9.0%であったところ、高齢者のシングル女性はなんと25.8%がNISA口座を開設していると回答が得られたとのこと。

同年齢のシングル男性はNISA口座開設率が8.8%となっており、これは大きな違いです。

おそらく、シングル女性は老後の不安というものをしっかり受け止め、そのために何かしなければという意識が反映されているのでしょう。

ただし、現役世代ではNISA口座の開設率は特別に高くなってはおらず、リタイア前後に意識が高まっているものと考えられます。できれば、早い段階から資産運用の力を活用し、老後資産形成に取り組んでいきたいものです。

男性と比べれば女性のほうが長生きをする可能性が高いわけですから、シングルライフも長期に及びます。これは老後のお金の準備もたくさん必要になることを意味しています。

毎月数万円でもいいので、NISA口座などを活用し、投資信託を使った長期積立分散投資をしておくことができれば、老後には安心と余裕が手に入ることでしょう。

特に注意したい? シングル男性の老後準備

老後資産形成で気をつけたいのは、むしろシングル男性のほうかもしれません。NISA口座の開設割合の違いだけではなく、シングル男性は、相対的に健康管理などセルフマネジメントが十分ではないこともしばしば指摘されています。

お金の面でも、シングル男性は、一人暮らしをするには十分な収入を得ていることが多く、生活水準をアップさせ、将来のために貯蓄をしていないことがあります。

正社員男性が、現役時代の感覚でお金を使い続けることは老後にはできません。先ほど説明したとおり、老後の年金収入は20歳代の水準に逆戻りすることになるからです。

この大きな差を意識したのであれば、目の前の生活は少し出費を抑える習慣をつけ、その差額を貯蓄や投資に振り向けることが必要です。貯蓄というとガマンをするイメージがありますが、「数十年後の自分が楽しく支出するためのお金」だと考えてみてください。。

「実は貯金ほとんどゼロなんです……」というような人もいるでしょう。こうした人もあきらめる必要はありません。まだまだ間に合いますから資産形成をスタートさせていきましょう。本気を出せば一気に支出を抑え、ハイペースでの貯蓄や投資をできるのも、シングル家計の特徴です。

50歳以降で一念発起し、本気で資産形成に取り組む人にとっては、2024年からスタートした新しいNISAの「非課税投資枠1800万円」「年間投資可能額最大360万円」というのは大きな味方になってくれるでしょう。つみたて投資枠の上限である月10万円に少しでも近づけるようがんばってみてください。

もちろん、すでにNISAやiDeCoを活用している男性は、今のペースを維持し、気を緩めずに資産形成を継続していってください。さらに積立額を増やすことができれば理想的でしょう。

まとめ:シングルライフは最期まで自分に責任を持つ

シングルライフが、老後のことを考えるとき、まずは未来のお金の不安を解消する取り組み、つまり資産形成に取り組んでいきましょう。経済的な不安が小さくなれば、ひとりの老後もぐっと心が落ち着いてきます。

ところで、金融資産の残高を増やすだけが老後の安心ではありません。楽しい時間を共に過ごすことのできる友人、困ったときに支え合える友人はいるでしょうか。結婚をしないことと、すべてひとりで時間を過ごすことは同じではありません。

友人や知人と過ごす時間、同じ趣味を共有したり、ただ雑談をするような相手を増やしておきましょう。古くからの交友を温め直したり、新たな友人を作っていくことが大切です。できれば年代を幅広く人間関係が広げられると理想的です。

また地域とのつながりも無理のない範囲で持っておきたいところです。会社員をしていると、地元とのつながりが希薄になりがちですが、実はいろんなところにきっかけがあったりします。私自身、気まぐれで参加した地元のまちおこしNPOのイベントが地域活動の原点となりました。何かひとつでもいいので、つながりをみつけてみてください。

――自分の人生、自分ですべて責任を持つシングルライフですが、それは何にもしばられず自由に自分のやりたいことをできるということでもあります。

経済的な不安を解消し、楽しく悔いのないセカンドライフをエンジョイできるようにしていきたいところです。

【筆者紹介】
山崎 俊輔:フィナンシャル・ウィズダム代表 ファイナンシャルプランナー
1972年生まれ。中央大学法律学部法律学科卒業。企業年金研究所、FP総研を経て独立。企業年金連合会調査役として確定拠出年金の調査、制度改善要望等を担当。老後の年金や退職金制度も考慮したトータルな資産運用プランを提案。1級DCプランナー、消費生活アドバイザー。

・当資料で、筆者の紹介のある記事においては、掲載されている感想や評価はあくまでも筆者自身のものであり、ニッセイアセットマネジメントのものではありませんが、ニッセイアセットマネジメントと筆者との間でこれらの表示に係る情報等のやり取りを直接的又は間接的に行っているため、実質的にはニッセイアセットマネジメントの広告(「不当景品類及び不当表示防止法」におけるニッセイアセットマネジメントの表示)等に該当する場合がございますので、ご留意願います。

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