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ジュニアNISAはいつまで? 廃止後の扱いについても押さえておこう

いよいよ2024年から「新NISA」がスタートします。それに伴い、子どもの将来に向けた資産形成のサポートを目的とした未成年者向けのNISAである「ジュニアNISA」の制度が、2023年いっぱいで廃止されることになりました。では、このジュニアNISAは、いつまで利用できるのでしょうか?また、ジュニアNISA口座内でこれまで運用してきた資産は、2024年以降、いったいどのような扱いになるのでしょうか?この記事ではジュニアNISAの今後について詳しく解説します。


そもそも「ジュニアNISA」とは?いつまで利用できる?

そもそもジュニアNISAとは、NISA(少額投資非課税制度)の子ども版ともいえる制度です。18歳以上の成人しか利用できないNISAに対し、ジュニアNISA は0~17歳(口座開設年の1月1日現在)の未成年が利用できる非課税制度です。

非課税となる対象は通常のNISA同様、株式や投資信託などへの投資で得られる配当金、分配金や譲渡益で、非課税期間も一般NISAと同じく最長5年間です。通常、これらの利益には約20%の税金がかかりますが、NISAの各口座で購入すればその税金がかからず、有利に運用できます。

ジュニアNISAイメージ図

ただし、ジュニアNISAの場合、非課税投資枠は年間80万円が上限で、18歳(3月31日時点で18歳である年の前年12月31日)までは原則として払い出しができません。

ジュニアNISA概要

参照:ジュニアNISAの概要(金融庁)

2024年になったらジュニアNISAはどうなるの?

未成年者の資産形成を非課税で行う手段として利用されてきたジュニアNISAですが、2024年の新NISAの開始を前に、2023年で廃止されることになりました。それに伴い、これまでジュニアNISA口座で運用してきた資産は、下記のような扱いになります。 

①2023年末までは新規買付できる

まず、制度が廃止されるのは2023年の年末なので、年末までは投資枠の範囲内で新規買付が可能です(ただし、受渡日ベースなので、受渡日が年内最終営業日までに収まるように買い付ける必要があります)。

②成人(18歳)になるまで非課税で運用が可能

これまでジュニアNISAは非課税期間が最長5年間でしたが、制度廃止後は成人(18歳)になるまで非課税で運用できるようになります。

③ロールオーバーの手続きが不要に

なお、これまでのジュニアNISAでは5年間の非課税期間終了後、続けて非課税特典を受けるにはロールオーバー(移管)の手続きが必要でしたが、2024年以降はその手続きなしに、自動的に「継続管理勘定」に商品が移管され、非課税での運用が継続されます。

④いつでも払い出しが可能に

しかも、これまでジュニアNISAで買い付けた商品は、18歳になるまで原則として払い出しができませんでしたが、2024年以降はこの制限が解除され、いつでも払い出しが可能になります。払い出す場合はジュニアNISA口座で保有している商品、現金が全額払い出しとなり、その時点でジュニアNISA口座は廃止されることになります。

⑤成人になると「課税口座」に払い出される

ただし、これまでのジュニアNISAでは成人になると(18歳になる年の1月1日に)自動的に成人向けのNISA口座が開設され、そこに移管される仕組みでしたが、2024年以降は自動的に「課税口座」へ払い出されることになるので、注意が必要です。

【廃止時】成人になるタイミングによりジュニアNISAの扱いが異なる

ジュニアNISA口座で保有する商品については、成人(18歳)になるタイミングによって今後の扱いが下記のように違ってくることになります。

①2023年12月末までに成人(18歳)になる場合

これまで通り成人になった段階で、自動的に成人向けのNISA口座が開設されて移管され、そちらで運用されることになります。一般NISAの非課税期間は最長5年間で、2024年以降の新しいNISAとは別枠での運用となります。

②2023年12月末までに成人(18歳)にならない場合

ジュニアNISAで運用している資産は、2024年以降の各年において非課税期間(5年)が終了した商品が「非課税継続管理勘定」に自動ロールオーバーされ、非課税での運用が継続されます。継続管理勘定では18歳になるまで(1月1日時点で18歳である年の前年の12月31日まで)非課税で保有し続けられます。そして、成人になった段階で自動的に課税口座に払い出されます。

【廃止目前】ジュニアNISAを2023年末までに始めるメリットとは?

ここまでジュニアNISAの概要と制度廃止後の扱いについて説明してきました。すでに利用している方にとっては、非課税のメリットがその後も続き、しかも払い出し制限もなくなるわけですから、利用価値は高いといえるでしょう。もしまだ2023年の非課税枠が余っているなら、年内に上限額いっぱいまで買い付けるのもいいかもしれません。

では、まだこの制度を利用していない方にとって、廃止直前のこの時期でもジュニアNISAを始める税制上のメリットはあるのでしょうか?

答えはYESです。その理由を説明しましょう。

メリット① 非課税だから有利に運用できる

NISA以外の口座で運用すると、利益が出ても通常約20%の税金がかかり、その分受け取る金額が減ります。一方、ジュニアNISAを利用すればその分については税金がゼロになり、利益をそのまま受け取れるので、有利に運用することができます。

メリット② 1人当たり80万円の非課税枠を確保できる

2024年からジュニアNISAがなくなり、残念ながら未成年の非課税枠はなくなります。もちろん、新しいNISAにより成人(親)の非課税枠が拡充されるので、そちらで運用すればいいのですが、1年分とはいえ、せっかくジュニアNISAの非課税枠があるのなら、これを利用しない手はありません。2023年内にジュニアNISAを利用すれば、家庭全体の非課税枠を子ども1人当たり80万円分増やすことができるからです。子どもが2人なら160万円、3人なら240万円も増えることになります。

メリット③ いつでも引き出せて、成人まで運用が継続

ジュニアNISAの廃止に伴い、2024年以降は制限が緩和されていつでも引き出せるようになり、また非課税期間も5年限定ではなく、成人(18歳)になるまでに延長されます。その間の配当金や分配金もすべて非課税になるので、メリットは大きいといえるでしょう。

メリット④ 2023年末まで新規買付が可能

ジュニアNISAは2023年12月末まで新規買付が可能です。これまで以上に魅力が増したこの制度を今ならギリギリ駆け込みで利用することができます。ただし、こうしたメリットが注目されてジュニアNISAの新規口座開設数は急増しており、ジュニアNISA口座の開設の期限を設けている証券会社や手続きに通常より時間を要する場合もあるので、余裕を持って早めに申し込むのがよいでしょう。

まとめ

ここまで見てきた通り、ジュニアNISAは2023年限りで廃止されます。そして、これまで制度を利用してきた方にとっては、2024年以降も成人になるまで非課税での運用が可能で、いつでも払い出しできるようになるなど、よりメリットが大きくなります。

さらに、まだ利用していなかった方にとっても、年内に利用すれば非課税枠をより多く確保でき、成人になるまで非課税で有利に運用することができるという大きなメリットがあります。したがって、廃止直前とはいえ、今からでもジュニアNISAを始める価値は大いにあるといえるでしょう。

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