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アセマネ会社のトレーダーによる債券超入門

皆さん、債券についてご存知でしょうか?

「株と比べると何やらわかりづらくてマイナー」
「日銀がどうとか聞くけど難しそう」
「PCで「さいけん」を変換しても最初に債「権」が出てくるけど債「権」とは違うの?」 (←若手が資料の誤字をする債券あるあるネタです。)

そんなイメージをもっていらっしゃる人もいるのではないでしょうか?

今日は、そんな債券の世界を少しでも身近に感じてもらえるよう、難しい話はせず、アセマネ社の債券トレーダーをしている私が、ごく簡単にではありますが、円債債券トレーダーが何をしているかについてお話ししたいと思います。


債券はどこで売買されている?

「株ってどこで売買されてるの?」と聞かれたときに、
「東証!」「取引所!」はたまた「電光掲示板がぐるぐる回ってるとこ!」
など、比較的イメージしやすいかと思います。

(こんなイメージ)

一方で、「債券ってどこで売買されてるの?」と聞かれても、なかなかイメージしづらいものかと思います。

では、一体どこで売買されているのでしょうか?

取引所取引と店頭取引

具体的な話の前に、仕組みの話を少し。

株や債券の売買は売買する場所によって、取引所取引と店頭取引に分かれます。

取引所取引とは、すごく簡単に言うと、証券取引所などで売買することを指します。
まさに、先ほどのコメントのように、株式の売買の中心は取引所取引となります。

一方で、債券は主に店頭取引で売買が行われています。
店頭取引とは、取引所ではなく、証券会社などの店頭で取引することを指しています。
証券会社が投資家の相手方となり、一対一で売買価格や数量などを決めて取引を行います。
日本の債券市場においては、その大部分を店頭取引が占めています。

ここまで読んでいただいた方、
「店頭!?わざわざ証券会社まで行くの!?」、と思われた方もいるかもしれません。

残念ながら、実際に証券会社に足を運ぶことはありません。
では、次で、具体的にどのように運用会社のトレーダーが売買しているのか、お話していきます。

機関投資家が売買する場合

ニッセイアセットのような機関投資家が債券の売買をする場合、先ほどお話しした通り、店頭取引で行うことが大半です。
では、どのように売買するのでしょうか?

一番、イメージしやすい取引方法は、電話での売買だと思います。
我々運用会社のトレーダーは、証券会社に電話をし、
「●●という債券を**億買いたいので価格の提示をお願いします。」(ここでは分かりやすく書いていますが、実際はこんなに丁寧ではありません。)と、価格を提示してもらいます。
この価格が納得いく価格であれば、(このケースであれば)「買います」と意思表示をし、売買成立となります。

一日に何件もある売買。全て電話で売買していると、とてもじゃないですが、15時までには終わりません。(株のように明確に決まっているわけではありませんが、15時頃までが、当日の売買時間となっています。)
そのため、主には電子取引プラットフォームを利用して、電話で行う会話と同じ内容のやり取りを、電子的に実施しています。
この円建て債券の対機関投資家向け電子取引プラットフォームを提供している会社には、エンサイドットコム社や、Tradeweb社、Bloomberg社などがあり、これらを活用し売買を行っています。

証券会社の売買

債券が約定にいたった場合、証券会社は、その後どうするのでしょうか?
証券会社も営利企業であるため彼らの収益最大化のために活動しています。「さっきの債券、もう少し持っていたかった」、「売れたからまた在庫として持っておこう」などと考えることもあるでしょう。

たまたま他の機関投資家が同じ債券を売りに来てくれればいいですが、そのようなことばかりではありません。これを実現するために、証券会社自身も、ポジション調整のための売買を実施しています。
では、どこで債券の売買をしているのでしょうか?

証券会社のトレーダーが売買したいと思った際、それを仲介する会社があり、この会社を利用したりします。業者ブローカー、などと言ったりしており、これは業者(=証券会社)間(の)市場を運営する会社、のことを指しています。
証券会社のトレーダーは「●●という債券**億買いたいから探してきて」と言った趣旨の内容を、業者間ブローカーに伝え探してきてもらい、業者間ブローカーは、他の証券会社から売りを探してきます。このように各証券会社はポジション調整の売買を行っています。

日本国債の世界では、日本相互証券など複数の民間の会社がこの役目を担っています。

債券市場豆知識

円債チームにいると、社内でも他のチームから、よく「おまじないを唱えているよう」などと言われますが、独特の表現を使っています。

円債の世界で使われるおまじない(独特の言い回し)の例を見てみましょう。

1bp = 0.01% を 1毛(いちもう)
0.1bp=0.001% を 1糸(いっし)
0.01bp=0.0001% を 1忽(いっこつ)

と表現します。

野球の打率などを表現する 「3割(わり)3分(ぶ)3厘(りん)」であったり、四字熟語の「五分五分(ごぶごぶ)」などと同じような表現ですね。

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございました。
少しは債券の世界を身近に感じていただけたでしょうか?
ニッセイアセットでも、債券ファンドを取り扱っていますので、どんな商品があるか、ぜひのぞいてみてくださいね。

【筆者紹介】
丹羽俊文:新卒で日本国債の業者間ブローカー入社後、2006年よりニッセイアセットマネジメントにてトレーディング業務に従事。現在は、円建て債券や店頭デリバティブのトレーディング業務を担当。

・当資料で、筆者の紹介のある記事においては、掲載されている感想や評価はあくまでも筆者自身のものであり、ニッセイアセットマネジメントのものではありませんが、ニッセイアセットマネジメントと筆者との間でこれらの表示に係る情報等のやり取りを直接的又は間接的に行っているため、実質的にはニッセイアセットマネジメントの広告(「不当景品類及び不当表示防止法」におけるニッセイアセットマネジメントの表示)等に該当する場合がございますので、ご留意願います。

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